やってくる夏のご挨拶の季節。お世話になっているあの人に、気の利いたものを贈りたいけど、何を贈れば喜ばれるのかわからない。目上の人の心をつかむには定番ながらも、どこか新しいものを感じさせる上品かつイマドキな和菓子がおすすめです。ほかの人とかぶらない贈り物で、好印象を残したいですね。

日本人なら誰もが大好きなわらび餅。香川県高松市にある「松風庵かねすえ」の「さぬきわらび餅」は、ごくごくシンプルなわらび餅ながらも、素材にはとことんこだわったもの。本わらび粉で作ったお餅は、みずみずしさを保ちながらも、本わらび特有のコシの強さが感じられる食感が特徴。伝統的な製法で作られる讃岐特産の高級砂糖「和三盆」をたっぷり使ったシロップがお餅にからむ幸せに、ふだんは恐い上司も思わず顔がほころんでしまうかも？もちろん、きな粉も最上級のものを使用。本わらびと和三盆の上品な甘さと、香り高いきなこの相性はバッチリ。定番ながらも、極上の一品です。

秋田県の郷土料理「豆腐カステラ」。全国的にはあまり知られていませんが、秋田では昔からいろんなお店が出している定番和菓子です。豆腐と小麦粉、卵、砂糖を混ぜ合わせて作った和製パンケーキのようなもの。豆腐のさっぱりした旨さと、カステラのような柔らかい甘さが絶妙のハーモニーを奏でています。水分量が高くしっとりしているので食べやすく、程よい甘さはご年配の方にも喜ばれるもの。大豆とカステラという高級品であることから、もともとはハレの日に食べられていた縁起物だとお伝えすると、一層喜んでもらえそうですね。

世田谷の人気割烹料理屋「和shoku。の水」。化学調味料はもちろんのこと、砂糖を一切使わず素材の甘みを最大限に引き出す調理法が人気の秘訣です。その料理長が、料理と同じく砂糖を一切使わず作った「栗蒸しようかん」がこちら。通常、ようかんには驚くほど多くの砂糖が使われるもの。しかし、このようかんは赤酒というお酒を煮詰めて出した甘みを利用し、栗の甘みだけが感じられるものにしています。さつまいものような優しく自然な栗の甘みは、ほうじ茶などのお茶にぴったり。数に限りがあるので、前もって電話予約しておくのがベターです。

山梨県韮崎市にある「うさぎや」。「大福」で有名な和菓子屋さんですが、最近ひそかに人気を集めているのが「あんドーナッツ」です。和菓子屋さんなのだから、あんが美味しいのは言うまでもありません。しっかりと丁寧にこされた甘さ控えめのあんが、もっちりふんわりした生地に包まれて揚げられたドーナッツ。ドーナッツなのに油っぽさが全くなく、軽い食感でいくつも食べられるのも人気の秘密なのだとか。一口サイズでパクパク食べられるのも良いですね。うさぎやはご存知でもあんドーナッツは食べたことがない、という方も多いのでイマドキな贈り物として喜ばれるでしょう。

老舗料亭が軒を連ねる京都。中でも、お店で使用する材料を追求するあまり、ついには自前の森まで作ってしまったという驚きの料亭が「和久傳」です。その和久傳の人気スイーツの一つが、こちらの「笹わらび」。強く結ぶとこわれてしまうほど、みずみずしく柔らかいわらび餅を、一つ一つ手作業で笹に包んだもの。薬効成分もあると言われる笹と、美容効果の生薬として知られるオオバコを原料に、ほのかに林檎の香りをつけた生菓子です。すがすがしい笹の香りが、一足お先に夏を感じさせます。「これぞ、京都」と和菓子ツウをもうならせる格の高さがあります。

※販売期間は11月中旬から4月下旬です。ご注意ください。

京都左京区、下鴨にある茶寮宝泉。落ち着いた日本庭園を眺めながら、極上のお茶と和菓子をいただける茶寮として昔からお茶好きの間では、根強い人気を持つお店です。生菓子はお店でしか味わえないものが多いのですが、お土産に人気なのが「しぼり豆丹波黒大寿」。黒豆としては日本一と名高い丹羽産の黒豆。中でも粒が大きく高品質な「黒大寿」だけを丁寧に炊き上げたものです。ねっとりとした食感と、優しい甘みは旨味の強いお茶をさらにおいしくする名脇役。日持ちもするので、この季節にも贈りやすいもの。お茶好きの方に喜ばれる一品です。