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クロテッドクリームとは？
駐日英国大使館 大使公邸シェフ 吉田龍貴
「クロテッドクリーム」は英国特有の乳製品です。バターの乳脂肪分が約80％なのに対し、クロテッドクリームは約60％。一方、生クリームの乳脂肪分は約40％なので、バターと生クリームの中間のようなものと言えます。味も同様で、バターほど濃厚ではないけれど、生クリームよりしっかりしています。色は黄味がかった白で、バターよりも柔らかいため、塗ったり混ぜたりはもちろん、ホイップすることもできます。「クロテッドクリーム」と言えば「スコーン」に合わせるのが代表的な食べ方ですが、それだけではありません。「タルト」や英国のデザートとして有名な「トライフル」など、バターのように使うことも可能です。家庭料理に「クロテッドクリーム」を使うと、素朴でどこか懐かしい味わいになります。また、「パウンドケーキ」のようにバターを入れて焼き上げるケーキなら、代わりにクロテッドクリームを使って焼くと、冷えても固くならずにしっとり柔らかい仕上がりになります。
スコーンに合わせるのが、最高のおいしさ
紅茶文化が古くから発達している英国において、ティータイムに「スコーン」が欠かせないのと同じように、スコーンには「クロテッドクリーム」が欠かせません。スコーンの基本的な材料は小麦粉とバター、牛乳、少しの砂糖、ベーキングパウダー。スコーンそのものはそれほど甘くないので、クロテッドクリームとジャムを合わせると一体感のあるお菓子になります。日本の「味噌汁」に家庭の味があるように、英国の家庭にもそれぞれのスコーンのレシピがあります。握りこぶしくらいの大きさもあれば、一口サイズのものもありますし、形も丸型だけではなく、三角や四角もあります。さらに、生地の中にレーズンや紅茶葉を加えるなど、いろんなアレンジができます。ちなみに駐日英国大使館では、毎年秋になると旬のリンゴとシナモンを使ったスコーンが好評です。
甘みがあるものだけではなく、ポテトを入れた「ポテトスコーン」や、チーズやカレー粉を加えたスコーンはお菓子ではなく食事として出します。目玉焼きやベーコンを添えれば朝食メニューになりますし、ランチのデザートにアレンジするなど、実は幅広い楽しみ方があります。
「クリームティー」と「アフタヌーンティー」の違い
スコーンの食べ方は人によって様々ですが、上下を半分に切って、間にたっぷりの「クロテッドクリーム」とイチゴジャムを塗って食べるのが一般的です。やはり飲み物は紅茶が何よりもマッチします。そして、このようなスコーンと紅茶の組み合わせを「クリームティー」と呼びます。これに対し、紅茶にスコーンだけではなく、サンドイッチやケーキも一緒に食べるのが「アフタヌーンティー」です。
スコーンはスコットランドが発祥地と言われていますが、「クリームティー」はイングランド南西部に位置するデヴォンかコーンウォール生まれという一説があります。温暖な気候で、クロテッドクリームの原材料である乳脂肪分の高いジャージー牛が育ちやすい環境の両地域。実は、デヴォンとコーンウォールでは、スコーンにクロテッドクリームとジャムを塗る順番が異なります。クロテッドクリーム、ジャムの順がデヴォンスタイル、ジャムの次にクロテッドクリームを塗るのがコーンウォールスタイルと呼びます。
※掲載情報は 2015/06/17 時点のものとなります。
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キュレーター情報
駐日英国大使館
駐日英国大使館、並びに、大阪の英国総領事館は、日本で英国政府を代表する機関であり、日本における様々な英国の利益をサポートしています。当館では、2006年から「A Taste of Britain」キャンペーンを展開しています。2012年には、エリザベス二世女王陛下の誕生祝賀会や、ロンドンオリンピック・パラリンピックを通して英国への注目が高まり、「美味しいイギリス」の今がより広く世界に知られるようになりました。
Food is GREATは、英国政府が2011年から世界に向けて展開するGREATキャンペーンのテーマの一つ。日本では、「Food is GREAT: A Taste of Britain ためしてみて、美味しいイギリス」として、パートナー企業のご協力のもと、英国フード＆ドリンクのイベントを開催してきました。また、多くの方々に「美味しいイギリス」を体験していただける機会や、英国の食にまつわる様々な情報をFacebookで発信しています。ご家庭で気軽に「美味しいイギリス」を楽しんでいただけるよう、家庭用レシピもクックパッド「英国大使館のキッチン」で随時ご紹介しております。
