英国チェダー地方で生まれた世界で愛される「チェダーチーズ」

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産業の近代化とともに製法も進化

英国チェダー地方で生まれた世界で愛される「チェダーチーズ」

英国を代表するチーズで、まず挙げられるのは「チェダーチーズ」です。発祥地が英国南西部のサマセット州チェダー地方なので、その名前が付けられています。硬さはセミ・ハードタイプのナチュラルチーズで、現在では英国だけではなく世界で最も多く生産されています。英国におけるチーズ生産の歴史は600〜700年ありますが、「チェダーチーズ」が今の形になったのは150年くらい前のことです。「チェダーチーズ」の生産にはチェダリングという工程が欠かせません。これは、チーズになる前の「カード」と呼ばれる状態のチーズを積み重ねて、何度もひっくり返す作業を指します。カードは大きく重いので、人の手でチェダリングを行うには大変な労力が必要となります。そのため、チェダリングに機械が使われるようになる前は大量生産ができませんでした。現在、昔ながらの製法でチーズ職人によって作られるものは「アルチナザル・チーズ」、機械で大量生産されたものは「インダストリアル・チーズ」と呼ばれています。

英国チェダー地方で生まれた世界で愛される「チェダーチーズ」

駐日英国大使館 貿易・対英投資部 Mark Hastie-Oldland

 

英国における「チェダーチーズ」の産地はチェダー地方だけではありませんが、「ウエスト・カントリー・ファームハウス・チェダーチーズ」は、原産地名称保護制度(POD)の対象となっています。サマセット、デヴォン、ドーセット、コーンウォールの4州で生産され、かつ、地元の材料を使って伝統的な製法で作られたものだけが名乗ることを許されています。その味わいはリッチでクリーミー。他とは違う特別な「チェダーチーズ」と言えます。「チェダーチーズ」を熟成させるためには、温度と湿度が高すぎても低すぎてもいけません。そのため、伝統的な製法では、温度や湿度の面において適した環境である鍾乳洞で熟成が行われていました。

熟成期間の長さによって味わいがより芳醇に

「チェダーチーズ」の見た目は主にオフホワイトですが、オレンジ色のものもあります。これは、製造過程で着色されているからで、味に違いはありません。それよりも「チェダーチーズ」を特徴づけるのは、その質感です。「チェダーチーズ」の生産過程では表面に塩を振り掛ける工程があり、塩分によりチーズの表面が侵食されます。そのため、熟成期間が長ければ長いほど、外側がでこぼこしています。

 

また、「チェダーチーズ」は熟成期間によって分類されます。熟成期間が1カ月程度の「マイルド」、数カ月の「ミディアム」、1年以上は「エクストラ」、10年ものともなれば「ビンテージ」となります。やはり長期間熟成されたものは味わい深く、香りも異なります。英国以外の国では「マイルド」や「ミディアム」が多く作られており、エクストラ以上は英国ならではのものです。中でも「ウエスト・カントリー・ファームハウス・チェダーチーズ」は特別で、高品質な英国産チーズを象徴しています。

英国人の食生活には欠かせない食材の一つ

英国チェダー地方で生まれた世界で愛される「チェダーチーズ」

英国人にとっての「チェダーチーズ」は、日本人にとっての「醤油」のようなものです。それほど人々の食に欠かせず、様々な料理に使われます。価格も手頃で、スーパーには多様な「チェダーチーズ」が並んでいます。食べ方の例としては、切り分けてトーストやウォータービスケットなどのクラッカーにのせるシンプルな食べ方や、ベイクドポテトにのせたり、サラダやサンドイッチ、パイにも使います。日本ではパルメザンチーズをパスタの上にかけて食べることが多いと思いますが、英国では代わりにチェダーチーズを使うことがあります。マイルドタイプは主に料理に、エクストラやビンテージタイプはチーズそのものの味わいを楽しむ食べ方が合います。もちろんワインとの相性も抜群です。

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※掲載情報は 2015/06/04 時点のものとなります。

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駐日英国大使館

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駐日英国大使館、並びに、大阪の英国総領事館は、日本で英国政府を代表する機関であり、日本における様々な英国の利益をサポートしています。当館では、2006年から「A Taste of Britain」キャンペーンを展開しています。2012年には、エリザベス二世女王陛下の誕生祝賀会や、ロンドンオリンピック・パラリンピックを通して英国への注目が高まり、「美味しいイギリス」の今がより広く世界に知られるようになりました。

Food is GREATは、英国政府が2011年から世界に向けて展開するGREATキャンペーンのテーマの一つ。日本では、「Food is GREAT: A Taste of Britain ためしてみて、美味しいイギリス」として、パートナー企業のご協力のもと、英国フード&ドリンクのイベントを開催してきました。また、多くの方々に「美味しいイギリス」を体験していただける機会や、英国の食にまつわる様々な情報をFacebookで発信しています。ご家庭で気軽に「美味しいイギリス」を楽しんでいただけるよう、家庭用レシピもクックパッド「英国大使館のキッチン」で随時ご紹介しております。

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