歴史ある和栗の街で「栗強飯」

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栗の町、長野県小布施へ。

みなさまはじめまして!ippinキュレーターの岡田美里です。

星の数ほどの食にまつわる関係者さまがいらっしゃる中で、キュレーターにご指名をいただきまして大変光栄です。ここでは1960年代生まれの私らしい、そして紅茶に関わりをもつ私らしい、また紅茶と関係ないけれどトロールビーズのブランディングオフィサーとして全国に足を運ぶライフスタイルの中で出会った美味しいものを、私らしくご紹介できましたらと思っております。ゆっくりになるかもしれませんがよろしくお願いいたします。

ふたりの娘からの美味しい情報と、私と同年代35年の付き合いになり私のジェットコースター人生を一緒に歩むパートナーPとの東京と長野県、そして時々まいります祖母の国デンマークでの暮らしの中からも肩の凝らない逸品をご紹介しようと思います。どうぞよろしくお願いいたします!

さて先日、長野県の小布施町に旅してまいりました。ずっと行きたかった小布施町。そう、もう40年も前のこと…子供の頃に参加していたスキースクールでは長野駅から野沢温泉までは観光バスでの移動でした。「ほらみんな小布施だよ。栗の町だよ。」そこは車窓から眺めただけの小布施の町。古い街並みは京都みたい…と憧れを描いて通りすぎておりました。が、その後スプーンでちょっとだけ食べさせてもらった小さな缶に入った小布施の栗鹿の子が、子供ながらに(これはかなりの高級品)と感じた思い出が蘇ります。

ずっと行ってみたかったそんな小布施でまず入ったのが竹風堂小布施本店。2階に上がりお食事所で「栗強飯(くりおこわ)山里定食」を注文しました。割り箸の袋に印刷されていた文章が最も的確かつ精魂こめて表現されていますから転載させていただきますね。(この柳ごうりに盛られた「栗おこわ」は、昭和四十七年に竹風堂がはじめて売り出したもので、今や、そばやおやきと並んで北信濃を代表する食文化として定着しています。ふんだんに混ぜこまれた栗のホコホコ感は、手むき自家仕込みならではのもので、容易にマネできない手数(てかず)がかかっています。

また、小鉢のつぶつぶは、千曲川の河川敷で栽培される長芋の子「むかご」で、茹でてクルミゴマ和えとして珍味です。味噌汁のダシは、鰹節を削ってとる昔ながらのやり方、山野の幸による煮物なども、すべて手づくりに徹した、郷土色ゆたかで安心・安全なお食事となっています。) ちなみにこの箸袋も少し高級な割り箸も持ち帰ることができます。

さて「栗強飯」には蒸されて柔らかくなった薄甘い、栗の甘露煮がたくさん入っています。もち米の蒸し方は、ご自宅でおこわやお赤飯を炊いたご経験のある方でしたら、それがどんなにか難しいかおわかりかと思いますが、ぺチャともせずにネチッともせずに一粒一粒が独立していながらお互いにくっついて、ギュッと柳ごうりに詰められている…ああ、小布施に来てほんとうに良かった、これが産地でしかいただけないお味なのね、と思うものでした。

栗を剥いて薄甘く煮てからもち米と一緒にふっくらと炊くという簡単なようでいて難しい技に加えて、栗を収穫してから時間をおかずに地元で煮るということがいちばん大切。もうね、スーパーマーケットで買ったパサパサした栗を必死で剥いてぎりぎりの甘さで煮るなんてできないですし、自分で作る栗ごはんとはぜんぜん違います。そしてこの栗強飯が炊きたてを冷凍してお取り寄せが可能なことは、小布施に足を踏み入れるまで存じませんでした。強火できちんと蒸せば遜色のない味わい。蒸し物というのは蒸し方すべてですからね、ぜひグラグラと沸いたお湯で一気にきちんと蒸して召し上がってください。

栗ざんまい

歴史ある和栗の街で「栗強飯」

年間120万人が訪れるという小布施町。小さな町ですがあちこちで栗ぜんざい、栗饅頭、栗アイス、栗みつがけの氷を食べることができます。注文すると絞ってくれるモンブランや栗あんソフトクリームもいただきたいなら、女性はランチには鱒の甘露煮のついた「山家定食」ではなく、つかないほうの「山里定食」にしてください。そして11時くらいには到着すること。混みますからね。「自分が年寄りだってことを忘れんで、無理をしんこんづら。」という連続テレビドラマ小説のセリフを聞いたことがありますが、もうお腹いっぱいすぎて、Pと私はちょっと後悔したほど美味しい小布施町でした。

※掲載情報は 2014/10/30 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岡田美里

日本紅茶協会名誉ティインストラクター

岡田美里

聖心女子大学卒業、28歳から3年連続で「婦人女性誌の表紙を最も多く飾った女性」に選出、「カリスマ主婦」と日本で初めて言われ、料理教室は4年後の予約まで埋まった。テレビ朝日の芸能人料理番付「愛のエプロン」で最終首位となる。2006年にデンマーク王室御用達180年の老舗紅茶店を日本に招聘し、2012年から日本紅茶協会認定名誉ティーインストラクターとなる。50歳を超えてからは体力のいる料理教室は引退し、紅茶店経営の頃からスタートした紅茶と刺繍教室のみ続けている。本業はデンマークで35年の歴史をもつアクセサリー「トロールビーズ」の輸入総代理店の代表者、全国に23店舗を展開しチーフブランディングオフィサーを務めているが、どちらかというとスタッフのお母さん的存在。プロモーションも兼ねた「イレブンシズ(am11:00)のお茶会」に力を注ぐ日々。祖母はデンマーク人、父はE.H.エリック、叔父は岡田真澄。
グラフィックデザインを手がけるモデルの長女(24)、造形学部建築インテリア学科の大学生(20)の次女がいる。
現在幼馴染のパートナーとジェットコースター人生を驀進中。

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