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伝統と革新への「確信」。ハンガリーワインの新時代
いきなり結論めいたことを書くのだけれど、ハンガリーワインは決してマニアックなアイテムではありません。
その理由は3つ。
「ワインそのものの親しみやすさ」
「歴史」
「幸せなテーブル」
本格的なぶどう栽培は古代ローマ帝国時代。5世紀ごろにはアジア系の遊牧民族であるマジャール人によって大規模なブドウ栽培がおこなわれていた、いわば世界の中でもワインの伝統国と呼べる歴史を持っています。特に世界三大貴腐ワインとも言われる、トカイ地方の甘口ワインは、フランス王ルイ14世からも「王のワインであり、ワインの王である」という言葉を引き出し、歴史の中でも高い評価を得ている、むしろメジャー感をまとうワインカントリーなのです。第二次世界大戦後、ソ連(当時)陣営となったことでワイン作りは大量生産を強いられ、一時的に質の低下を招きましたが、現在ではそのワイン作りの魂が蘇生し、新しい高品質ワインへの挑戦が続いています。伝統国の復権、革新という、うれしいトピックスに加え、アジア系をルーツに持つハンガリーですから、ワインも日本人には意外と親しみやすいテイスト、というのもうれしいお話。
シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨンといった国際品種ももちろんよいのですが、ハンガリー固有の品種もとても魅力的。特に日本人、日本のテーブルに置きたいのが「フルミント」というぶどう品種。中でも、画像の「Szent Tamas,Percze Furmint 2012 Tokaj」はその象徴的アイテム。ハンガリー大使館が海外のゲストのためにセレクトした最上級でありハンガリーらしい個性、技術を味わえる「グランド・スーペリア」クラスのワインで、高級貴腐ワイン「トカイ」の生産者の中でもリビング・レジェンドと評されるセプシ氏の息子さんが仲間と作ったワイナリー、というのもそそるプロフィール。
ドライタイプのフルボディ。ブルゴーニュの格付けワインのテイストもありながら、キラキラと輝くようなミネラル感、心地よい後味のほのかな苦み。伝統をベースにしながらも軽快で快活。美しい夏のレイクサイドで繰り広げられる青年たちの青春ストーリー、ロードムービー、という想像が思わず。緑が見えるテラス、春から初夏の日本。ハードタイプのチーズと薄く切って軽くトーストしたバゲット、それにハンガリー産、食べる国宝とも言われる薄切りのマンガリッツァ豚のハム。幸せな休日。
ほかにも、1800年代の東アフリカの港町にタイムスリップしたような強烈だけれどひきつけられるスパイス的アロマを放つワイン、森の中で味わう世界一上品なハチミツレモンのようなワイン、極上の甘さながら後味ののびやかな酸味でどこか異国の果樹園に迷い込んだようなワイン。騎馬民族が見つけた安住の地で長い時間をかけて出来上がったワインの伝統がもたらしてくれる、ワインからあふれるおとぎ話の中の世界旅行。幸せな倒錯感と明日への元気。どうぞハンガリーワインを友達に。
※掲載情報は 2015/03/12 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインナビゲーター
岩瀬大二
MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。