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生麩のもっちりとした食感と炙った香ばしさが絶妙
3月14日に北陸新幹線が開業。そんなこともあって、今、北陸、特に金沢は大注目のエリアとなっています。僕も先日に行ってきました。盛り上がっているというより、町全体が“そわそわ”した感じ。期待と不安が入り混じっている、そんな空気が漂っていました。今回はそんな金沢から伝統的逸品をご紹介させて頂きます。『不室屋』は創業が慶応元年(1865年)の老舗。「加賀麩」と呼ばれる、独特の「麩」を作り続けている店舗です。 みなさんは「麩」というと乾燥したタイプを想像なさるかもしれませんが、実は種類がいくつかあります。『不室屋』でも「すだれ麩」、「車麩」、「細工麩」、「焼麩」、「生麩」、「宝の麩」など様々なタイプを扱っています。有名なのは「宝の麩」ですね。“ふやき”と呼ばれる、焼いた麩の中に細工麩や乾燥野菜が入っていて、ちょこっと割ってお椀に入れてからダシ汁をかければ、中からふわっと細工麩や野菜が顔を出して上品なお吸い物が完成。 それも人気ですが、僕が特に凄いなと思うのが「生麩」です。生といっても蒸し上げたタイプでして、形としては“蒲鉾”みたいな見た目で、切り分けて、田楽、鍋物、炊き合わせ、お吸い物、揚げ煮、蒸し物、天ぷらなどにして味わうというもの。僕は切ってから少し炙って、やや甘めな白みそ仕立てのたれをかけて、田楽スタイルで味わうのが大好き。生麩も、よもぎ、黒ごま、あわ、南瓜など数種あり。一番合うのは“あわ麩”ですね。優しい甘さを楽しみながら、もっちり&香ばしい風味を楽しむ。そんな風雅な味わいを堪能していると、「さすが加賀百万石!」という、伝統の重みみたいのまで感じてしまうのです。
※掲載情報は 2015/03/07 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。