極上の一本釣り鰹を燻して作られる「波切節」に和食伝統文化をみる

極上の一本釣り鰹を燻して作られる「波切節」に和食伝統文化をみる

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極上の一本釣り鰹を燻して作られる「波切節」に和食伝統文化をみる

大手百貨店の地域産品を扱う展示会は実に楽しいものです。腕利きのバイヤーが全国津々浦々から特徴ある素材や加工品を見つけ出し、工夫を凝らしたプレゼンテーションを行い、賑やかな様子を呈しています。先日もちょっとした手土産を探しに出かけたところ、目に留まったのが今回ご紹介させていただく「鰹節」です。

 

それはこれまで何気なく使っていたものとは全く違う、極上の「鰹節」だったのです。

極上の一本釣り鰹を燻して作られる「波切節」に和食伝統文化をみる

ほどよく賑わっていた催事場で生産者でありご主人の天白さんに製造方法など伺っていたときのことです。お得意様が丁重に割り込んでこられて私は話半分ながら、「どうぞ、どうぞ」とその場の離れて他のブースを見て回っていたのですね。そうしましたらしばらくして天白さんがわざわざ離れていたところまで私を見つけに来てくださって、先ほどの失礼を丁重に詫びてくださるのです。そのようなことは時折あるのでまったく気にはしていなかったのですが、そうしたお振る舞いにご主人の誠実さを見て取ることができたのです。

 

そのあとはゆっくりと商品について伺うことができ、そのなかで特に印象に残ったのが波頭という波切になった鰹節です。一本釣りの鰹を備長炭の薪をもってじっくりと燻し上げる、「手火山製法」。これは漁獲海域や季節によって異なる魚質を見極め、火加減を手で調整しながらじっくりと燻すこのスタイルです。いまや全国で10軒程度しかないと言われています。

 

手仕事ゆえ、生産量には限りがあるとはいえ、この香りや味わいの驚くべき深みと余韻は日常的に使う鰹節とはまさに異次元の味わいです。

食べてびっくり、極上の「波切節」で炊き立てごはんがごちそうに!

まずは、炊き立てのごはんにのせて召し上がってみてください。醤油もなにもいりません。ごはんのあたたかさと共に鰹のやわらかな風味がふわりと湧きたち、これ以上のごちそうはないと感じるでしょう。ごはんと波切節というシンプルかつ日本古来の最高のマリアージュの姿がここにあります。

極上の一本釣り鰹を燻して作られる「波切節」に和食伝統文化をみる

寒い季節の湯豆腐との相性もいいですね。出汁はいりません。お豆腐を煮たてて、そこに波切節を大きく一つかみ入れるだけ。アツアツの豆腐と鰹の風味が溶け合い、醤油につけていただきます!日本酒、とくにふくよかな純米酒を合わせたいですね。

 

天白さんの波切節は食べる鰹節。ぜひ普段の食卓でホンモノの贅沢をお楽しみください。

※掲載情報は 2022/01/28 時点のものとなります。

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キュレーター情報

嶋啓祐

フードビジネスデザイナー

嶋啓祐

全国の農村漁村をくまなく巡り、そこで使うホンモノの素材を探すことをライフワークにしています。ホンモノはいつも隠れています。全国の肥沃な土地で、頑固で不器用な生産者が作る「オーガニックな作品」を見つけて、料理人が少し手を加える。それが「ホンモノの料理」になります。毎月地方に足を運び、民泊に泊まり、地元の方々とのコミュニケーションを作るのが楽しみです。自然豊かな日本全体が食の宝庫です。自然、風土、生産者、素材、そして流通と料理人とその先にいる顧客。食に関わるすべての方が幸せになるような「デザイン」を仕事にしています。1963年に北海道は砂川(日本一になった美味しいお米ゆめぴりかの産地)で生まれ、18歳上京。大好物はイクラ、クレソン、納豆、ハーブ、苦手なのは天津丼などあんかけ系、豚足、焼酎。趣味は全国の神社巡りとご朱印集め。2018年より自宅料理コミュニティ「ビストロ嶋旅館」を主宰。

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