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南阿蘇の美しい景色、良質な水、作り手の息づかいが伝わる器
女性陶芸家・川原喜美子の半生を描いたNHK朝の連続ドラマ小説「スカーレット」、ご覧になっていますか。
今年に入ってこの主人公・喜美子が、穴窯というなんとも難しく手強いものと対峙しながら作品を仕上げていく過程を、もどかしさを感じながら見守っています。
器を見るのは好きでしたが、こんなにも作品をつくる背景に困難と苦労があるということは、正直よく理解していませんでした。このストーリーを追いかけるなか、思い出したのが
熊本県・阿蘇山の麓にある「陽窯」。
ここには工房に穴窯(登り窯)を構える女性陶芸家・髙島李恵さんがいらっしゃいます。
私は仕事柄、ヘルシーでオーガニックなものを研究しているのですが、そこで行きついたのがこの髙島さんの作品です(参照:https://ippin.gnavi.co.jp/article-3092/)
2003年に登り窯をつくり創作活動を続けている髙島さんの器は、世界農業遺産でもある阿蘇での暮らしが作品の色合いや佇まいにも表現されています。
作品とはつくり手のセンスや才能だけでなく、その方の生活や息づかいのような目に見えないものが反映される…ということを感じさせてくれたのは髙島さんの器が初めてでした。
遠く離れた鎌倉に住んでいても、陽窯での様子を写真で見るたびに、その澄んだ空気や風の音、景色の色合いがやさしく伝わってきます。
実は2016年の熊本大地震で、我が家で大切にしていた髙島さんの器はすべて粉になってしまいました。他にも多くの食器が割れましたが、髙島さんの作品が手元になくなってしまった寂しさは、しんみりと心に残るものでした。
数年後、再び髙島さんの陽窯を訪れた際「あぁ、またこの可愛らしい器を手に取ることができた」と嬉しくなり、工房にあるすべての種類を全部持って帰りたい衝動に駆られました。
これも、これもと欲しがる私に髙島さんが購入の許可を出してくれたのは、たった数品。
ご自身がちゃんと納得のいく仕上がりになっているもの、きちんと器として認めているものでないとお渡しすることは控えたい、とのことでした。
こういった、プロとしての精神やこだわりに触れると、我が仕事へのゆるみがちな姿勢をピリッと正されるので、好きです。
また陽窯を訪れてゆっくり創作活動の話を聴きたい…。
今度は窯もしっかり見せてもらって薪や温度や、釉薬と色のことなんかも「スカーレット」で得た知識をもとに、たくさん聞いてみたいことがあります…。
近くの素敵な長陽駅のシフォンケーキ久永屋さんも(土日・祝営業)のぞきに行きたいし、2022年に復旧・開通予定の南阿蘇鉄道に乗るのも楽しみなので、しばらくは熊本行きの旅行計画を立てつつドラマのなかの陶芸の世界を楽しみたいと思います。
※掲載情報は 2020/02/13 時点のものとなります。
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キュレーター情報
日本第1号オーガニックコンシェルジュ
岡村貴子
4年間のオーストラリア滞在中に自然の中を裸足で暮らす原始生活を体験。
自然との共存の大切さを学び、2004年にオーガニック・コンシェルジュ協会、
同時に資格制度を立ち上げる。オーガニックの魅力を伝える{案内人}として講演、執筆活動のほか業界初のエコタレントとしてソニーミュージックアーティストに所属。メディアを通じてナチュラルなライフスタイルのあり方を発信する。
2010年によりオーガニックを楽しむ場としてオーガニック研究所を設立。
2013年、初産ながら自宅出産にて男児を出産。
現在はタイムラインエージェンシーに所属し、東京と九州の都会・田舎暮らしの
2拠点居住を実践しながらリアルオーガニックを追求中。
著書「オーガニック入門」(ソニーマガジンズ)