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これまで感じたことのない噛み応え、そして深い味わい、後味の心地よい余韻
今回ご紹介させていただくのは鶏肉です。しかしただの鶏肉ではありません。
島根県の奥出雲地方は500年以上前から「たたら製鉄」と言って、山を切り開き砂鉄を採取し、それを鉄に変えて交易を行ってきました。当時から自然と産業の共生をテーマに事業を継続し、現在は静かな山間の地で至宝の軍鶏を育てて製品化を始めました。
山王軍鶏は肉の旨みが強い「龍軍鶏ごろう」と「岡崎おうはん」を交配させた地鶏です。それはいわゆる、一般的に目にする「地鶏」とどう違うのでしょうか?
まずはのどかに平飼いをしています。四方を山に囲まれた山麓地で軍鶏たちが走り回っています!次に「ごはん」ですね。ミネラル分や天然有機物を含む腐葉土や地元の豆腐屋さんのおから、ネギ、トウモロコシ、そして地元の高麗人参などを乳酸菌で発酵させて天然原料のまさに「おいしい食事」を作っているのです。
これにはびっくりですね。
そして中国山地から湧き出る天然の地下水。食事と水と環境によって滋味深い味を産み出す軍鶏が育つのです。
さて、さっぱりとした胸肉は生理食塩水程度の塩加減のお湯45度で5分、そして75度に温度を上げて5分。これで極上の鶏ハムの出来上がりです。ふわっとした食感の料理に仕上がります。難しい技術なんて要らないんですね。あとは塩と胡椒とオリーブオイルでもあれば最高です!
臭みもなくさっぱりとしつつも後味がしっかり残る味わいは良質な餌の影響によるものと思われます。塩胡椒はお好みであとからで大丈夫。
これまで感じたことのない噛み応え、そして深い味わい、後味の心地よい余韻。今までの鶏肉料理はいったい何だったんだ!と思うでしょう。
現在、ネット通販はお休みしており、電話にて注文を受けられるとのこと。ただし、生産量が少なくてこのところは数週間待ちになることも多いようです。
胸肉とモモ肉のセットで5,000円程度が目安のようです。
まさに幻の奥出雲たたら地鶏「山王軍鶏」。この機会にぜひお中元としていかがでしょうか。
※掲載情報は 2019/06/28 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードビジネスデザイナー
嶋啓祐
全国の農村漁村をくまなく巡り、そこで使うホンモノの素材を探すことをライフワークにしています。ホンモノはいつも隠れています。全国の肥沃な土地で、頑固で不器用な生産者が作る「オーガニックな作品」を見つけて、料理人が少し手を加える。それが「ホンモノの料理」になります。毎月地方に足を運び、民泊に泊まり、地元の方々とのコミュニケーションを作るのが楽しみです。自然豊かな日本全体が食の宝庫です。自然、風土、生産者、素材、そして流通と料理人とその先にいる顧客。食に関わるすべての方が幸せになるような「デザイン」を仕事にしています。1963年に北海道は砂川(日本一になった美味しいお米ゆめぴりかの産地)で生まれ、18歳上京。大好物はイクラ、クレソン、納豆、ハーブ、苦手なのは天津丼などあんかけ系、豚足、焼酎。趣味は全国の神社巡りとご朱印集め。2018年より自宅料理コミュニティ「ビストロ嶋旅館」を主宰。