ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

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The Power Behind The Mask

メキシコで有名なルチャ・リブレのマスクのデザインが人気のテキーラMUCHA LIGA(ムチャ・リガ)。今回は、日本では全く知られていないムチャリガのキャッチフレーズである
「The Power Behind The Mask(マスクの下に隠された力)」=真のストーリーについてご紹介したいと思います。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

テキーラ造りが地域貢献に!

テキーラを造るアガベアスルの生産地としては大きく2つのエリア、ハイランド(Los Altos)とローランド(Valle)がありますが、今回紹介するテキーラ「ムチャ・リガ」はそのどちらにも属さない新しい地域で造られるテキーラです。

 

もともとは、初代オーナーのラウル氏を中心に、2007年に「ファナカトラン」という土地に住む80家族の生活を守るために、アガベ農家や蒸留所スタッフとして職を与えることで雇用を生み出し、地域が発展することを目的に蒸留所を造り、2008年から本格的にテキーラビジネスがはじまりました。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

ファナカトランの地域は、標高1500メートルの場所にあり、日照時間や標高がアガベの生育にベストと考えられており、使い古されていない新しい土地のため土がフレッシュで栄養が蓄えられています。あまり手を加えず、自然に近いオーガニック栽培とほど同じ条件で造られているため、非常に質が高いアガベが育てられると言われています。

 

6年~10年の生育のものを中心に、24%以上の糖度(一般的なアガベは22%以下)、葉を切り落とした状態で20kg以上の大きいアガベのみ使用するという規定を設けています。
決められたファナカトラン地域のパートナー企業から仕入れているため、過剰に育てすぎたり、収穫しすぎたりしないようにアガベの生産量も調整しています。よって、アガベの値段も一定に保つことができるので、近年問題となっているアガベ不足やアガベの高騰化などは一切影響がなく、テキーラの値段も適正な価格のまま健全なビジネスを続けています。

 

毎年6~8%の割合で売上も伸び、畑の広さも拡大していっているなど、この10年間でテキーラ造りが地域貢献につながるという本来の目的がしっかり叶えられています。

こだわりの製法とファナカトラン蒸留所の新しい取り組み

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収穫されたアガベは、25トン入るマンポステラ(煉瓦製のオーブン釜)で28時間加熱され、その後釜の中を10時間冷まし、蓋をあけてさらに10時間おいて、合計48時間かけてじっくり加熱した後シュレッダーに運ばれます。

5段階のシュレッダーにかけてアガベジュースを絞汁した後に残ったアガベの搾りかすは全てリサイクルされ、アガベ畑に肥料としてまいて再利用したり、煉瓦にして貧しい人の家を建ててあげるなど地域に貢献する活動に使われています。

 

アガベジュースは、網のネットで簡単にフィルタリング(ゴミを取り除く)して、ステンレスタンクで自家製酵母を加え、3~5日間自然発酵し6%のアルコールにします。

その後、ステンレス蒸留器(内側は銅製)で2回蒸留されますが、メタノールや苦みの元となるヘッドとテールは全て取り除かれ、樽熟成の過程に入ります。

樽はテネシー州やケンタッキー州のアメリカンオークの中古樽を使用し、樽を焼いて何度か再利用しています。湿度を20%に保った貯蔵庫で熟成させ、レポサド、アネホ、エクストラアネホの全種類を作っており、ボトリング設備も同じ敷地内にあります。

通常、レポサドは○○ヶ月間、アネホは○○ヶ月間と決めている蒸留所もありますが、季節や温度、湿度、使用する樽の状態によって毎回味が変わるため、ムチャ・リガの場合は正式な熟成期間を決めずに熟成度合いを見ながら、一番バランスの良い状態の時にボトリングするのが特徴。

 

ムチャ・リガの他にもセカンドラインやプライベートブランドのプロデュースなどもありますが、ブランドによって、酵母の種類や量、発酵期間、ヘッドやテールをカットする量などで味を変えているそうです。

ちなみに、テキーラの製造で使っている水も、この土地のものにこだわり、100メートル下からくみ上げた地下水を使っています。水質は6ヶ月ごとにチェックをしているので、水質も保証されています。

 

厳選された最高品質の原料のみをシンプルな製法で引き出し、余分な事は一切せずに、アガベ本来の旨味を引き出すこの蒸留所は、自然に囲まれた広大な土地にありながら、コンパクトで風通しが良く、全く無駄がありません。

目立った演出や革新的な技術があるわけではないですが、とても健全で訪問したみんなが感動するような不思議な魅力があります。

 

また、新しい取り組みとして、メキシコではまだ根強い貧困問題に向き合い、女性の社会進出を支援しているため、テキーラ業界では珍しく女性に役職を与え、積極的に女性を雇用しています。各部門に女性管理職がいて、生き生きと働いている姿は、テキーラ産業の新しい可能性を感じられます。女性の労働力は、ブランドのテーマである「THE POWER BEHIND THE MASK(マスクの下に隠された力)」の1つと言えるでしょう。

ルチャドールをイメージした「ムチャ・リガ」のコンセプト

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

ムチャ・リガは、メジャーリーグのように「沢山の人、モノを集めて造ったブランド」を意味していて、その中には、メキシコ文化を発信することを目的に、メキシコの国民的スポーツであり、ルチャ・リブレの名で知られるメキシカンプロレスをコンセプトとしたボトルデザインと、3人の架空のルチャドールのキャラクターを生み出したことも含まれています。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

期待の新人BRAVO(ブラーヴォ)は、ブランコのキャラクター。若い顔立ちながら、謎を内に秘めた実直のルーキーで、ハリスコ州テキーラ生れ。綿密な戦略をたてて相手を打ち倒すという今までになかった新しい潮流を造り出し、時代を代表したルチャドールの家族のもとで育ってきた。

未だ若いが同世代では敵なしの新しい時代を代表する期待の新人。

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型破りなヒールCANIBAL(カニバル)はレポサドのキャラクター。単にヒールだけではなく

愚直でタフなルチャドールである、相対すると非常にやっかいなライバルとなる。

「愛とムチャ・リガにおいては全てが公平である」をモットーに、常識を覆す型破りな戦法を駆使する。勝利に貪欲な精神を持ちながら、豊富な経験から生み出される戦略で恐れられるヒールのリーダー。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

生けるレジェンドINVICTO(インヴィクト)はアネホのキャラクター。リングの上では何事にもひるまず勇敢にたたかい、リングの外では心優しいムチャ・リガの代表選手。正義と真実を愛し、豊富な経験で培った知識と多彩な技を駆使し、正当派のリーダーとして長年不敗の記録を打ち立て続けている。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

一見華やかなプロモーションや、ブランドコンセプトの面白さ、斬新なボトルデザインなど表のイメージが目立つブランドではありますが、その裏にはファナカトラン蒸留所がある地域の人々や80社の契約農家に雇用機会を与え、社会貢献、環境問題への取り組み、女性の社会進出支援など、ムチャリガに関わる全ての人々にとって、テキーラを造る事で幸せになり、利益を還元し、自分達のホームタウンを活性化するために団結する。そんな素晴らしい活動が隠れています。
テキーラの味へのこだわりはもちろん、ボトルデザインやそれぞれのキャラクター設定も、まだまだテキーラの良いイメージが定着していない国でも、とっつきにくさを感じず、あえてカジュアルさを出すことでテキーラをもっと気軽に楽しんで欲しいという思いを感じます。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

クールなマスクの下に隠されたテキーラへの情熱と真のストーリー。

「簡単ではないけど、チャレンジし続けたい。」

先日FOODEXとセミナーイベントのために来日したムチャ・リガオーナーのブルーノ氏が最後に伝えてくれた言葉です。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

2012年に出会ってから、毎年メキシコに行く度に蒸留所見学や食事に連れて行ってくれたり交流を続けてきましたが、初めて聞く彼の強い想いに感動しました。

ルチャドールのマスクの下に隠されたテキーラ「ムチャ・リガ」の真のストーリーに迫る

日本には今回でなんと10回目の来日となったブルーノ氏。1つ1つのブランドと向き合う機会がなかなかなかったので、今回の来日でムチャ・リガについて改めて勉強する機会をいただいたことに感謝しています。

 

日本を愛し、日本のマーケットに期待してくれている彼の活動のサポートができるように、ムチャ・リガの魅力をもっと沢山の方に知っていただきたいと思います。

※掲載情報は 2019/03/27 時点のものとなります。

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キュレーター情報

目時裕美

テキーラPRプロデューサー

目時裕美

アジア最大級のテキーラの祭典「TEQUILA FESTA/TEQUILA LOUNEG」の主催をはじめ、日本におけるテキーラの記念日となる7月24日「テキーラの日」&2月22日「マルガリータの日」のプロモーション・記念セミナーやイベントの運営を手がける。

テキーラの主要機関であるCRT(テキーラ規制委員会)とCNIT(全国テキーラ産業会議所)、メスカルの主要機関であるCRM(メスカル規制委員会)のサポートの元、情報誌「TEQUILA JOURNAL」を発行。

2011年から毎年メキシコに通い、134ヶ所あるテキーラ蒸留所のうち80ヶ所以上を訪問しテキーラ業界の動向や最新情報を日々ブログやSNSで発信し続けている   
テキーラ生産者やブランドオーナー、海外のブランドアンバサダーなどテキーラ業界関係者との交流も深く、新商品のリリースやローンチ企画、来日セミナーやイベントのプロデュース、販売サポート等にも携わる。

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