牛乳を輸送するには容量が大きく賞味期限も短いことから、牛乳は地産地消の代表格とも言える食材のひとつ。全国各地には実にさまざまなご当地牛乳が存在します。牛乳の味には、牛の種類だけでなく餌や環境が色濃く反映されます。旅先や出張先で、またお取り寄せできるものもあるので、個性あふれる味わいを飲み比べてみてはいかがでしょう。

『カネカ食品』が販売する「パン好きのための牛乳」。北海道生乳100％のコクがあるのですが、後味がとてもすっきりしていてパンの邪魔をしないと話題になっています。この“スッキリ感”がパンとの相性を引き出す上で非常に重要で、ヨーロッパ各国で定評があり、オーガニックチェーンでも高く評価されているベルギーの『PUR NATUR』社と提携して作り出しています。低温殺菌技術を用いた、牛乳本来のすっきりした味わいを楽しんで。

とにかく濃厚なミルクが好きという方におすすめなのが「蒜山ジャージー牛乳プレミアム5.0」。日本で流通している牛乳のほとんどが、いわゆる白と黒の模様のあるホルスタイン牛のミルクで乳脂肪分は3.6%以上。こちらは茶色い毛のジャージー牛の生乳のみを使用し、乳脂肪分は5.0%以上あります。一般的な牛乳と並べると、見た目の色合いからして濃厚なのがわかります。実際に飲んでみると、舌で強い甘味とコクを感じることができますよ。

山形県南陽市で『510Maison de cinq-dix』を営むパティシエの後藤昌利さんが、お菓子作りにはなくてはならないと紹介してくれたのが、『飯豊ながめやま牧場』の広大な自然でのびのびと育つ牛から作られる「山形県産放牧酪農牛乳」です。すっきりとしたのど越しの良さがある生乳本来の甘みをしっかり感じることができる牛乳を使って、後藤さんはカスタードクリームなどを作っているそうです。

岩手県で山地酪農にこだわり、ジャージー牛を育てている『なかほら牧場』の「中洞牧場牛乳」は、ふくよかな桃のようなマシュマロのようなふんわりした“まぁるい甘さ”と、その甘みがスーッと引いていく爽やかな後味が印象的な牛乳。徹底的にストレスを排除した好環境で育てているだけでなく、搾りたてのミルクを牧場内の製造棟でノンホモ低温殺菌するなど、加工方法さえも手間暇を惜しんでいない牛乳は、納得のおいしさです。

ブランド名：なかほら牧場

商品名：中洞牧場牛乳（お取り寄せ可）

“どこよりも美味しい牛乳を作りたい”と研究と努力を重ねて作られた、新潟県『加勢牧場』の「ガンジー牛乳」。ガンジー牛は世界的にも頭数が少なく、日本には200頭しかいません。加勢牧場では約20頭を飼育。大変希少な牛から採れた牛乳は一般的な牛乳よりも栄養価が高く「ゴールデンミルク」とも呼ばれています。生クリームのように濃厚な味わいでミルクジェラートを食べているような風味に後味はすっきりと飲みやすい牛乳です。

熊本県小国郷では16戸の酪農家が約1200頭のジャージー牛を飼育しています。ジャージー牛はホルスタイン種に比べると小柄で1日に出す乳量も少ないですが、高タンパク・高カルシウム・高脂肪分といった豊かな栄養と芳醇な風味の良質の牛乳として、国内外で評価を得ています。その希少性から高級ブランド牛乳でもある「阿蘇小国ジャージー牛乳」ですが、地元でも絶大な人気を誇ります。

北海道赤井川村にある『山中牧場』の「山中牛乳」は、自然がテーマの牛乳。牛乳本来のコクがしっかりあるのにまろやかでさらっとした飲み口。牛の餌は天然飼料をできる限り選び、乳牛に無理をかけずに出る量だけしか搾乳しないという希少性から市販の牛乳よりも割高になりますが、一度味わうとほかでは満足できないおいしさに出会えます。新鮮なものよりも、冷蔵庫で二日ほど熟成させると旨味が増すというから試してみたくなりますね。