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グアダラハラに到着した2日目の朝、送迎のバンに乗り込み一般公開していない「ドン・フリオ」のスペシャルツアーへ。アガベ畑と蒸留所の見学へ出発です。
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メキシコで最初にプレミアムテキーラとして販売された「ドン・フリオ」。メキシコでその名を知らない人はいません。しかし創始者フリオ・ゴンザレスが歩んできた道のりは決して平坦なものではありませんでした。彼は15歳にして父を亡くすと同時に、一家の家長として6人の兄弟を養うこととなりました。農場で職を見つけましたが、そのわずかな賃金では家族を養っていくことができません。そこで彼は、テキーラを作り、販売することで家族の生活を支えました。そして少しづつ貯金をして、1949年念願の蒸留所を手に入れます。
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彼は、ハリスコ州の高地アトトニルコの土地でテキーラの原料であるアガベを育て、よりおいしいテキーラを作るために改良を重ねます。テキーラに品質は求められなかった当時、フリオ・ゴンザレスは世界一おいしいテキーラを作ることに情熱を燃やします。
しかし、1985年に脳卒中で倒れてしまいます。意気消沈したフリオ・ゴンザレスのために、家族が友人やバイヤーを招いてパーティーを開催しました。そこで、彼が自宅で大切に保管していた秘蔵のテキーラを振舞ったところ、これを飲んだ人たちはびっくり。バイヤーから是非譲って欲しいという要望から、「ドン・フリオ」のブランドは始まりました。当時、テキーラの販売価格は4ドル程度でしたが、ドン・フリオは17ドルで販売されていた事からも、そのクオリティーの高さが伺えます。
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グアダラハラ中心地のホテルから約2時間。アガベ畑に到着すると、テキーラの原料となるアガベを収穫する職人「ヒマドール」が登場。デモンストレーションをしてくれました。
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ヒマドールは、コアという円形をした刃で葉を切り落としていきます。
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テキーラの原料として使用されるのは、この「ピニャ」と呼ばれる茎の部分です。テキーラの原料となるまでになんと5~6年の歳月を要し、重さ100kgになるものまであります。これをトラックで蒸留所まで運びます。
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蒸留所に運ばれた「ピニャ」は、専用のオーブンで蒸し焼きにされ、搾汁、発酵、蒸留、そしてろ過・ボトリングという過程を経てテキーラとなります。
蒸留のあとに樽で熟成されるものもあります。
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ドン・フリオの蒸留所には、テイスティングルームとミュージアムが隣接されています。
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今回は、熟成期間がない「ブランコ」と呼ばれるクリアなものから、順番にオーク樽での熟成期間8ヶ月の「レポサド」、1年以上熟成した「アネホ」、そして70周年記念に作られた「クリアアネホ」をテイスティング。「ドン・フリオ」では、原材料のアガベと伝統的な製法にこだわっていることから完璧なブランコをつくる事を1番重要視しています。樽で熟成しないので、アガベ由来の香りと味わいが一番感じられるのがブランコです。「ドン・フリオ」のブランコは、非常にまろやかでシトラスのような爽やかな味わいです。
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今テキーラ界で話題の新ジャンル、クリアアネホ(クリスタリーノ)もテイスティング。1年以上樽で熟成したテキーラは樽の色がテキーラに付きますが、カクテルを作る際に、クリアなテキーラの方が色を綺麗に出せることからドン・フリオが世界で初めて開発した特別な製法でつくられました。
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ミュージアムでは、ビンテージのボトルなども展示があり、フリオ・ゴンザレスの人生を再現したショートフィルムを見ることができます。また、来場者がメッセージを樽に書くことができます。
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ツアーの後は、レストランに場所を移してランチタイム。中庭に進むと「ドン・フリオ」のロゴ付きのランチスペースが用意されていました。
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ウェルカムドリンクとして用意されたのは、メキシコで定番のカクテル「パローマ」。ドン・フリオブランコとスクワートというグレープフルーツソーダのジュースを混ぜて塩をグラスの周りに付けたら出来上がりです。爽やかな甘酸っぱさと塩のしょっぱさが癖になります。
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瓜の一種で酸味のある「チャヨテ」の漬物と、梨のような食感の「ヒカマ」の組み合わせも絶品。さっぱりとしていて、テキーラのおつまみにもぴったりです。
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牛肉、豚肉、鶏肉とどれもボリューム満点。「ドン・フリオ」にとてもよく合いました。デザートをいただいた後、再びホテルへバンで送っていただきドン・フリオツアーは終了となりました。
残念ながら2012年にフリオ・ゴンザレスはこの世を去りましたが、「世界一のテキーラを作る」というモットーは守り続けられている事を感じられることができるツアーでした。伝統を守りながら、新しいものを生み出していく「ドン・フリオ」ブランドの今後が楽しみです。
※掲載情報は 2018/12/25 時点のものとなります。
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キュレーター情報
メキシコ合衆国大使館
北・中央アメリカに位置するメキシコは、西は太平洋、東はメキシコ湾とカリブ海に面していて、国土の3分の1は平均高度約1700mのメキシコ高原が占めています。古代にはマヤやアステカ文明で栄え、16世紀にはスペインによって支配されます。1810年まで続いた300年ものスペインによる長い統治にもかかわらず、7000年という歴史を持つメキシコ料理はその影響を最小限にとどめ、トウモロコシ、マメ、唐辛子をベース にした伝統料理をベースにした独自の食文化を守り続けてきました。その結果、2010年にメキシコ料理はユネスコ世 界無形文化遺産として登録されました。日本人に馴染みの深い「タコス」以外にも、さまざまな絶品料理がありますので本場メキシコ料理の魅力を発信していきます。