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2018年メキシコと日本の外交関係が130周年を迎えました。その節目の年に、両国の更なる友好を深めようとメキシコ大使館主催で、ippinのキュレーターをゲストに向かえ「テキーラダイニングナイト」を開催致しました。今回は、メキシコ食材を織り交ぜた和食とテキーラベースのカクテルのマリアージュを楽しんで頂く初めての試みとなりました。
今回は、表参道にある「東京十月」を会場とさせていただきまして本格的な和食とテキーラベースカクテルのマリアージュを楽しんで頂くパーティーとなりました。非常に落ち着いた雰囲気の純日本建築の完全予約制の創作和食のお店です。
もともとは、皇室の方々もいらっしゃるすき焼き店でしたが、オーナーが引退する事になり、このお店のファンであったアッシュ・ペー・フランス株式会社の代表である村松孝尚さんのコンセプトのひとつ「東京十月」を店名として、新たにレストランを始めました。
十月は、東京で最も多く文化イベントが開催されます。今回のディナーパーティーが開催された日も、「青参道アートフェア」が開催されていました。今回、この会場で開催させて頂いたのも、テキーラとアートという新しい組み合わせを発信するという試みの中で生まれました。
テキーラは飲むものではなく味わうもの
皆さんは、テキーラといえばいっきに飲むイメージをお持ちではないでしょうか。実は、本場メキシコではショットで飲むという事はあまりせず、カクテルとして飲まれることが一般的です。また、その原料となるのはアガベという植物です。そして、テキーラとして販売するには、限られた栽培条件下でしか育たず、成長するのに7年の歳月がかかる「ブルーアガベ」を51%以上使用しないといけないという条件があります。
また近年ではアメリカを中心にその市場が拡大しており、自身のテキーラブランドを立ち上げるハリウッドスターが続出している事も、テキーラ人気に火をつけている理由のひとつです。
今回はTEQUILA FESTAをはじめ、数々のテキーラプロモーションイベント等で活躍する、神戸・三宮にあるBAR SLOPPY JOEの石本匡史さんに今回の料理に合う、とっておきのテキーラカクテルを作って頂きました。
サントリースピリッツ株式会社の「サウザ」を今回のディナーパーティーでご提供いただきました。「サウザ」は、メキシコ中部に位置するハリスコ州のテキーラ地区に蒸留所があります。このブランドは、テキーラの名付け親ドン・セノビオ・サウザによって1873年に創業が開始されました。歴史上で初めて他国にテキーラの輸出を開始し、テキーラを世界に広めた第一人者でもあります。
また、2015年に開催されたインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ 2015では、高品質で多彩な製品を生み出したテキーラメーカーたった1社に贈られる、テキーラプロデューサー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2018年にはメキシコで「働きがいのある会社」ランキングで2位に選ばれるなどさまざまな点で注目を集めています。
ゲストが揃ったところで早速パーティーが始まりました。最初のカクテルとして用意されたのが「オーガニックマルガリータ」です。オーガニック栽培されたブルーアガベを使用してつくられた“オーガニックテキーラ”がベースのマルガリータのことで、アメリカで人気の飲み方です。
柑橘や花を想わせる冴えた飲み口でほのかにブラックペッパーの風味を楽しめるオーガニックテキーラ「サウザ スリージェネレーション プラタ」とライムジュース、アガベネクターとミネラルウォーターを使用した、日本でもおなじみの「オーガニックマルガリータ」です。食前酒として口当たり良く食を促すようなカクテルです。
メキシコの食材を取り入れた創作料理
今回のディナーパーティーでは、9品の料理が用意されました。その中で、メキシコ食材を使った料理をご紹介します。
鮪、アボカド長芋、菊花と山葵のお造りには、メキシコ産のアボカドを使用して頂きました。メキシコは世界最初のアボカド生産地と言われています。メキシコはアボカドが年 4 回収穫できる世界で唯一の土地としても有名です。非常に甘みのある鮪に、ほどよく熟したとろみが絶妙の組み合わせです。
焼き八寸には、真魚鰹西京漬け、酢取茗荷、アスパラ醤油漬、子持ち鮎煮浸、栗八方煮、里芋、絹さえです。アスパラはメキシコ産を使用しています。
食事とカクテルで場が和んだところで、ゲストの皆様にサウザのストレートを飲み比べて頂きました。テキーラは熟成期間によってその読みかたが違います。熟成しないものを「ブランコ」。2ヶ月以上熟成したものを「レポサド」。1年以上のものを「アネホ」、3年以上熟成したものを「エクストラアネホ」と呼びます。
一般的なテキーラは、アガベという植物の茎根「ピニャ」をオーブンで加熱してからピニャジュースを取り出し、発酵して蒸留します。サウザの場合は、最初に「ピニャ」を加熱せずに、生のアガベからピニャジュースを最初に取り出してから加熱するという工程で作られます。これによってよりフレッシュなテキーラを作り出すことができるのです。
テキーラを気軽に楽しむことができる「サウザクーラー」もおすすめです。癖のないリッチでまろやかな「サウザブルー」にライム、グレープフルーツ、塩を加えた、アルコール度数4%のスッキリ爽やかなシトラステイストの炭酸入りカクテルです。ほどよい甘みで飲みやすく、女性にも大人気です。
メキシコ食材は使用していませんが、メインは黒毛和牛ステーキでした。塩だけで味付けをしているとは思えないほど、旨味があり柔らかく、噛めばかむほど肉の甘みが口の中に広がります。
今回、メインのステーキに合わせるカクテルは「ポワールマルガリータ」です。このカクテルに使用した「サウザ ブルー」は、上質なブルーアガベ由来のバランスの良いスパイシーさと華やかな香りが特徴的。ライムジュース、アガベシロップ、そしてルジェポワールを合わせる事によって、輪郭を整えた味わい深いマルガリータとなりました。
そして、今回使用されたグラスはオーストリア食器で有名なロブマイヤーさんがテキーラに最適なグラスをお貸しくださいました。ひとつひとつ手作りの非常に繊細なグラスでカクテルを飲むと、よりテキーラの味わいを楽しむことができます。
そしてパーティー最後のお食事は、メキシコ産松茸ご飯でした。メキシコでは、7月から9月にかけて松茸が出回ります。日本でもメキシコ産松茸を最近見かけるようになりました。価格は国産の1/3程度ですが、非常に風味がよく、食べ応えも非常によいです。
デザートはトマトとバナナのデザートです。どちらのフルーツもメキシコの食材が使われています。
そして今夜最後のカクテルは「バナナのティラミス」。サウザブルーを2ヶ月以上1年未満熟成させた「サウザブルーレポサド」にほうじ茶のパックを漬け込み、自家製カモミールシロップ、バナナ、ヨーグルト、マスカルポーネにココアパウダーをまぶして完成です。デザートカクテルとして、最後を締めくくるほんのりと甘い味わいです。食後の優雅なひとときをイメージしてつくられました。
今回、このディナーイベントへご参加頂きましたゲストの皆様から「テキーラの概念が変わった」「これからはテキーラのカクテルをオーダーする」というお言葉を頂きました。まだまだ、ショットで飲むイメージが強いですが、世界的にもその市場は年々伸び続けています。今回のイベントを通して、より多くの人にメキシコの最も重要な食文化のひとつとも言えるテキーラを知って頂けたと思います。皆様にも是非、テキーラの本当のおいしさと楽しさを体験してみてください!
SALUD!
※サウザのラインナップは下記のURLよりご確認ください。
※掲載情報は 2018/11/08 時点のものとなります。
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キュレーター情報
メキシコ合衆国大使館
北・中央アメリカに位置するメキシコは、西は太平洋、東はメキシコ湾とカリブ海に面していて、国土の3分の1は平均高度約1700mのメキシコ高原が占めています。古代にはマヤやアステカ文明で栄え、16世紀にはスペインによって支配されます。1810年まで続いた300年ものスペインによる長い統治にもかかわらず、7000年という歴史を持つメキシコ料理はその影響を最小限にとどめ、トウモロコシ、マメ、唐辛子をベース にした伝統料理をベースにした独自の食文化を守り続けてきました。その結果、2010年にメキシコ料理はユネスコ世 界無形文化遺産として登録されました。日本人に馴染みの深い「タコス」以外にも、さまざまな絶品料理がありますので本場メキシコ料理の魅力を発信していきます。