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まるで、黒みつのよう!20年以上という熟成期間に生まれる芳醇な甘み
愛知県は昔から「みりん」造りが盛んで、今でも良質な「みりん」を醸造するメーカーが数多くあります。今では、毎日の食卓に煮物を出すご家庭は少なくなっていると思いますが、「みりん」は和食には欠かせない大切な調味料です。
糖類を加えずに、もち米と米麹で使った昔ながらの仕込みで造られる「本みりん」は安価ではありませんが、とても味わい深くお料理を一段と美味しくしてくれます。調味料の中でも、素材の味を引き出したり、甘味やうま味を整える「みりん」はまさに名脇役、だからこそ、きちんとしたものを選びたいと思うのです。
そんな「みりん」のなかでも、今回ご紹介するのはちょっと“特別なみりん”。愛知県蟹江町でみりんを造り続けて150年の歴史を持つ『甘強酒造(かんきょうしゅぞう)』の「黒みりん」です。もともとは、私の尊敬するグルメの方にご紹介いただいたものです。
『甘強酒造』さんでは、様々なみりんを作られているのですが、私は、その中で「昔仕込本味醂」を長年愛用しております。コクが深く、少しお料理に足すだけで、お料理の格をグンと上げてくれるようなみりんで、私のキッチンには欠かすことはできません。
その『甘強酒造』さんで、普段使いではない、こちらにしかない特別なみりんを造られているのです。それがこの「黒みりん」です。こちら、なんと真っ黒なみりんなのですが、その理由は20年以上という年月をかける熟成期間。じっくりと寝かせている間に甘味とうま味に深みが生まれ、まるで黒蜜のような味わいに変化しています。一度口にすると、何でこんなにまろやかなのに、印象に残る味わいなのかと不思議に思ってしまうほど、その魅力にはまってしまいます。真っ黒ですが、さらっとしていて、舐めてみるとコクがあって、深い香りが素晴らしく、スッとした後味が、意外なほど実に爽やかなのです。
そのままなめても、とっても美味しいのですが、ちょっと変わったアレンジもおすすめです。たとえば、バニラアイスにかけて「黒みりん」の風味を楽しんだり、チョコレートに生クリームと一緒に加えて、「黒みりん」の生チョコレートを作ったりと洋風のデザートにも大活躍。さらに煮詰めると黒蜜と同じように、葛きりやわらび餅などにも合わせられます。
以前テレビ番組でも、鳥の照り焼きや、カレイの煮付けなどに使うことを紹介されていましたが、普通の照り焼きや煮付けとは一段と違った、そして色も少し濃くつくので、見た目もいかにも美味しそうで、味わいも深みのある、高級感あふれた味わいになります。
20年以上という熟成が生み出す究極の「黒みりん」。日本の調味料の芸術品ともいえるような、貴重なまさに逸品のこの味わいを、ぜひ一度皆さんにも体験していただきたいです。
※掲載情報は 2018/10/28 時点のものとなります。
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キュレーター情報
おから料理研究家
高橋典子
料理研究家・おから料理研究家/NONNON cooking salon主宰/NIPPONおからプロジェクト代表
慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、金融機関で約6年間の勤務。ロンドンとニューヨークでの約3年間の在住中、新しい食材や各国料理に出会い食文化の違い、食の安全の大切さ、日本の食材の素晴らしさを感じたことが「食」の仕事へ進むきっかけとなる。
帰国後、集英社・料理月刊誌「TANTO」のホームシェフとして選出され、レシピ提供など誌面で活躍。豆富にとうさんのおからと出会い、おからをライフワークにすることと決める。
2002年から自宅で料理教室「NONNON cooking salon」を開始。
2010年5月、初の著書「おから、豆腐、豆乳、野菜のお菓子」(文化出版局刊、第3刷)を出版。
2015年の「これがおから?なDailyレシピ」(文化出版局刊)出版をきっかけに、「NONNONおから普及プロジェクト」(2017年「NIPPONおからプロジェクト」に名称変更)を立ち上げ、おからの新しいイメージを作り、日常の食卓で多くの人におからを活用してもらえるような普及活動を幅広く行っている。