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一貫して手づくりによる製法を守ってきた、変わらぬ「カステラ」の味
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今でも食べているお菓子の一つ「カステラ」。パリで修行をしていたとき、スペイン人の同僚にカステラの作り方を聞かれたことがありました。調べて作ろうとしましたが、なかなか難しかったことを覚えています。帰国後、その経験もあり作り方を調べたり、食べ比べたりしていた時期もありました。子供のころから、ザラメ糖のシャリシャリと、しっとりした生地とのコントラストが好きで美味しいなと思っていたのが、寛永元年(1624年)創業の老舗『福砂屋』の「カステラ」です。
特に好きなのが、底に残っているザラメ糖の食感。他のカステラに比べても残っている量が多いですが、これは『福砂屋』ならではだと思っています。
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材料を撹拌するときに、ザラメ糖の角をすり減らしながら生地になじませ、その一部を沈殿させて残すという、職人の方ならではの技術によるものだそうです。季節や温度の具合によって、ザラメ糖がカステラに溶け込んでしまう場合もあるとのことで、それを均一にしていつでも同じ味を提供するという難しさも、食べて実感します。
『福砂屋』の「カステラ」は、一口食べてふっくら、しっとりが楽しめ、最後に丸みを帯びたザラメ糖の優しい甘さとシャリッとする感触は、他のカステラでは味わえない味だと思います。
今日に至るまで、一貫して手づくりによる製法を守ってきた、変わらぬ歴史ある味、一度食べてみてくださいね。
※掲載情報は 2018/09/06 時点のものとなります。
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キュレーター情報
パティシエ・シマ オーナー・シェフ
島田徹
東京都出身。大学で経営情報学を学んだ後、2000年日本で最初のフランス菓子専門店「A.ルコント」に入社。
2004年に渡仏しMOF(フランス最優秀職人章)「ローラン・デュシエーヌ」に勤務。2005年にはパティスリー界のピカソ「ピエール・エルメ」に入社。さまざまなポストを経験し、3年半の間にパティスリーの奥深さ、芸術性、価値を学び、そしてピエール・エルメの才能やカリスマ性に大きく影響を受け、パティシエとしての感性が研ぎ澄まされる。2008年フランスを代表する超一流ホテル「ル・ブリストル」に入社。バンケット・レストランデセールの仕事から型にとらわれない自由な発想と洗練された装飾方法を知る。
帰国後、2009年に「パティシエ・シマ」シェフ就任。現在は、フランスに本部を持つ「レ・ザミ・ド・キュルノンスキー」正会員、「チーズ鑑評騎士の会」シュバリエとして入会を認められ、東京都洋菓子協会公認指導委員にも任命されている。
その他TVや雑誌などへの出演や、「味覚の授業」をはじめ、台湾や北京など海外でも講師としても活動している。