小規模な醸造所がつくる個性的なクラフトビール。その人気も定着しつつありますが、昨今、世界的にもクラフトブームとなっていることをご存知でしょうか。ビールだけでなく、ジンやウォッカ、テキーラなどのいわゆるスピリッツと呼ばれる蒸留酒も多く、楽しまれています。実は国内にもクラフトスピリッツを手がけているところがたくさんあります。今回は国内で作られているさまざまなお酒をご紹介しましょう。

最初にご紹介したいのが、和歌山県の『中野BC』が、2017年に初めて和歌山の食材を使い手がけたクラフトジン「槙-KOZUE-」です。通常、ジンは風味づけに松のような香りのジュニパーベリーを使うのですが、波長の似た香りのする高野槙（こうやまき）を使用。高野槙は、高野山に多く生えている針葉樹です。温州みかん、レモン、山椒も使われているので、清々しい森林のような香りと柑橘系のフルーティーな香りが楽しめます。

ブランド名：中野BC株式会社

商品名：クラフトジン「 槙‐KOZUE‐」（お取り寄せ可）

沖縄北部に浮かぶ伊江島で作られるラム酒「IERUM SANTAMARIA」。世界の多くのラム酒は、砂糖の精製途中で出る糖蜜からアルコール発酵し製造しますが、伊江島蒸留所ではさとうきびの圧搾汁を濃縮して使用する、アグリコール製法という世界でも珍しい製法を採用しています。オーク樽で熟成された樽香豊かな「ゴールド」はロックで、サトウキビの甘い香りがストレートに立ち上がる「クリスタル」はカクテルでお楽しみください。

『辰巳蒸留所』の辰巳祥平さんは、岐阜県郡上市の地形がヨーロッパで飲まれる蒸留酒・アブサンの聖地ともいえるフランスとスイスの山岳地帯と地形が似ていることから、沖縄から移住。山奥に一人で蒸留所を開いてジンを作っています。ユニークなのは、レギュラージンのほかに、その時々の季節を感じさせる風味のジンを手がけているところ。元記事では、わさびを使ったジンが紹介されています。

『京都蒸溜所』は、イギリス出身のデービッド・クロールさんが創業。ドライジンの本場・イギリスと日本のジン造りのエキスパートが集まり、2016年に国内初となるクラフトジン専門の蒸溜所が京都に誕生しました。「季の美」は、お米からつくるライススピリッツとボタニカルに、玉露や柚子、檜、山椒など日本素材を積極的に取り入れ、伏見の柔らかくきめ細やかな伏流水で作ったクラフトジン。爽やかな清涼感で和のボタニカルを感じます。

南イタリア発祥のリキュール・リモンチェッロを製造するのは、愛媛県今治市大三島にある『リモーネ』。オーナーの山崎さんご夫妻は、リモンチェッロを作るために関東からのIターンで移住してきました。香料・添加物などは一切使わず、自家農園の無農薬レモンをたっぷり使った「大三島リモンチェッロ」は、天然のレモンの香りと甘みが広がり、後味にはほんのりビターな風味が残ります。夏場のかき氷にもぴったりの味わいです。

韓国の大衆酒・マッコリ。日本でマッコリは、常温で販売されているものがほとんどですが、在日韓国人である春玉さんのご家庭で仕込んでいたレシピを再現したという、福島県の『末廣酒造』では「生マッコリ」を手がけています。甘さを強く感じることの多いマッコリとは違い、米と名水だけで作るスッキリした上品な味わいが楽しめます。勢いよく開けてしまうとしゅわしゅわと吹き出すのでご注意を。

長野県の扉温泉にある老舗旅館『明神館』。館内にあるオーガニックフレンチレストラン『菜』で販売しているのが、「オーガニックハーブサングリアの手作りキット」です。赤ワイン用にはアサイーやローズヒップ、シナモンを、白ワイン用にはジンジャーとドライパインやオレンジピールなどが入り、それぞれ好きなワインを瓶にいれて、冷蔵庫で5日～1週間寝かせて出来上がりという手軽さも魅力です。