伝統的な手法が醸(かも)す秋田豪雪地の味噌

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麹蓋を使った昔ながらの製法

醤油メーカーを訪問していると、味噌も手掛けている蔵元に出会います。同じ醸造で原材料も似ていることがあるのですが、昔ながらの木桶が現役で使われていると嬉しくなってしまいます。秋田県の石孫本店に伺った時の衝撃は忘れもしません。ここ以上に「昔ながら」という言葉が似合う蔵元はそうそうお目にかかれないと感じる程に伝統的な手法が守られています。

伝統的な手法が醸(かも)す秋田豪雪地の味噌

山積みされているのは麹蓋といって麹をつくる道具。お盆状になっていてこれに麹を入れて発酵させます。この一枚一枚を室に運んで絶えず中の様子を観察、麹の様子に応じて積み方を変えたり入れ替えたりの作業が続きます。

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木桶の中でじっくり熟成。

秋田の豪雪地帯でもある湯沢市は仕込み時期の冬には2階の窓から出入りするくらいに雪が降り積もり、1日の仕事の半分が雪下ろしになることもあるそうです。「過去には、早く機械を導入したいねって、よく話していたんですよ」。ところがある日、雑誌取材で訪れたライターさんとカメラマンさんが、真剣に話をしてくれたそうです。「これまで全国を取材でまわってきたけど、この光景は本当に貴重。絶対に残すべきだ!」と。

「私たちにとっては目からうろこでした。自分たちを否定しなくていいんだ。このままでいいのだと頭の中を切り替えることができたのです」。そして、いつかは最新のものにと考えていた建物や道具の修繕をはじめたそうです。「毎年少しづつですけど、今では守ることが大切な仕事の一つなんです」。その話を伺って妙に納得した気がしました。石孫本店の道具を見ていて大切に使われてる以上の何かがあるような気がしていたのです。あぁ、そうか、ずっと使い続けるという蔵人たちの意志が込められているのんだなぁと、そんな感じがするのです。

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有限会社 石孫本店

※掲載情報は 2015/01/24 時点のものとなります。

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キュレーター情報

高橋万太郎

職人醤油 代表

高橋万太郎

1980年群馬県前橋市出身。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し、2006年退職。(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。現在は一升瓶での販売が一般的だった蔵元仕込みの醤油を100ml入りの小瓶で販売する「職人醤油」を主宰。これまでに全国の300以上の醤油蔵を訪問した。

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