LAの研ぎ師選の包丁。~築地とLAで調達可能なプロ仕様調理道具~【其の弐】

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包丁は料理の要!切り口は命。

LAの研ぎ師選の包丁。~築地とLAで調達可能なプロ仕様調理道具~【其の弐】

「料理は切り方、切り口。出汁の入り方で料理は決まる。歯ごたえは切り方。包丁もちゃんと研ぐように」まるで料理人に仕込んでいるかのように言い続ける父に、母は出来ているからと私が告げると、私に「自分のことと思って聞くように」と、まだ小学生だった私達姉妹に語気を強めた。昭和の醸造一家の食卓の一幕である。

 

そんな環境で育ったからか、やはり包丁は、料理の要と思っている。確かに、繊維を断つか、繊維に添わせるかで、素材が別物になり、出汁や火の入り方も違う。それを司るのが、いうまでもなく、包丁。その切り口が冴えれば、料理も冴える。

 

ロサンゼルスに住んでいた時、日本製のプロ仕様の調理道具を扱う、築地の『常陸屋』の姉妹店「HITACHIYA USA」で、包丁を求めた。店主に相談しながら、一本を選んだ。研ぎ師でもある店主に見てもらいながらの包丁の選定は、まるで、枕や靴のフィッティングでもしてもらっているかのようだった。
用途に細かく適した包丁を何本も持てることは理想のひとつだが、ロサンゼルス暮らしでは最小限にしたかったので、色々と兼務してもらえそうな一本を選べたのは助かり、以来、私は、日本製「堺兼近作」の包丁を、各所へ連れ歩き生活をしている。

 

更に、「HITACHIYA USA」では、アフターケアとして、1本10ドルから研ぎもして下さる。それもそのはず、店主は、築地仕込みの正真正銘の研ぎ師でもあられる。戦後、日本刀が多く海を越え、アメリカ大陸には多くの日本刀がある。よって、全米中のコレクターからの日本刀の研ぎの依頼も多く、新聞にも取り挙げられたほど。店主は、そんな米国での、研ぎ師の需要により渡米してきたのかと思いきや、本店である老舗の築地の店は子供に経営を任せ、昔から好きだったバイクや小型飛行機の運転を晩年謳歌する為、と聞き、これもひとつのアメリカンドリームの果たし方だと思った。いつもこのLAの店に行くと、久しぶり、という挨拶もよそに、「この前ね、4日かけてね……」と、昨日の話の続きかのように、少年のような笑みで、全米横断の話から始まる。

LAの研ぎ師選の包丁。~築地とLAで調達可能なプロ仕様調理道具~【其の弐】

米国の地で、日本の調理道具を広め、研ぎ師として、ひとりの男として、晩年を謳歌しながら、日本の食文化を広めている男の夢がつまったLAの店。築地の店は、タワシやふきん、鍋や籠類、一度店内に入れば出られなくなるような心地になる魅力的な品ぞろえ。もちろん、包丁も。

 

包丁の逸品が、愛ある毎日の家庭料理を生き生きと生み出し、人生の礎を築いていくことを信じている。

LAの研ぎ師選の包丁。~築地とLAで調達可能なプロ仕様調理道具~【其の弐】

【常陸屋 築地店】                 【HITACHIYA USA】

 

 

HITACHIYA USA(米国・ロサンゼルス)
URL:https://hitachiyausa.com/

※掲載情報は 2018/02/14 時点のものとなります。

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キュレーター情報

宇佐美志都

書家/宇佐美本店(株)

宇佐美志都

書家・文字文化文筆家。創業明治二十九年 宇佐美本店(株)代表取締役社長、四代目。  
官公庁・国連総会・企業等の書の揮毫、CM・書籍等々の書など手掛けてくる。文化勲章受章の漢字学者・白川静氏より、文字文化認定講師を拝命し、「漢字の成り立ち(白川文字学)」を規範にした、執筆や講演活動。  
また、家業である宇佐美本店(養生出汁醤油・ポン酢醤油等の和調味料メーカー)の四代目としても従事。
海外生活(シアトル3年、LA2年、ロンドン1年)から得た観点と、近年では、シアトルにて妊娠・出産した事を機に、海外での日本人の健康維持管理や海外健康生活を支える食を探求。現在、鎌倉在住。滋味滋養の逸品、海外生活にも重宝する逸品、和調味料に合う逸品を御紹介します。

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