ザッハトルテ
ホテルザッハ
ザッハトルテ。ウィーンにある『ホテルザッハ』の2代目、エドワルド氏が考案したとされていますが、もともとは、ハンガリーで作られていたお菓子だそうです。ハンガリーからやってきたウィーン菓子店『ハイナー』の創業者も作っており、そこで修業したエドワルド・ザッハが今のザッハトルテを確立。その後同じくザッハトルテを販売するようになった洋菓子店『デメル』と裁判で争うことになってしまうのですが、双方に生産販売の許可が出て、『ホテルザッハ』のものは、「オリジナルザッハトルテ」、『デメル』は「デメルのザッハトルテ」と呼ばれるようになりました。
今回ご紹介するのは、ウィーンから持ち帰った本家『ザッハホテル』の、直径9cmのザッハトルテです。チョコレートスポンジの中央と上面にアプリコットジャムが塗ってあり(『デメル』のザッハトルテは上面だけにジャムが塗られています)、上掛けされているチョコレートには当時高価だった砂糖がたくさん使用されています。砂糖とチョコレートを混ぜてツヤを出す作業がマイスターの腕の見せどころ。小さいサイズは上掛けチョコの部分が全体量に対して割り増しで、ザラザラしたザッハトルテ独特の食感がより楽しめますよ!
ホテルザッハ
※掲載情報は 2017/12/14 時点のものとなります。
フランス菓子・料理研究家
大森由紀子
学習院大学文学部仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルドン・ブルーで、料理とお菓子を学ぶ。パリ滞在中、ツール・ダルジャン、アンブロワジー、アルページ、フォション、ホテル・ニッコーなどで修業し、ピエール・エルメやジャン・ポール・エヴァンとともに仕事をする。フランスの伝統菓子、地方菓子など、ストーリーのあるお菓子やフランス人が日常で楽しむお惣菜を、メディアを通して紹介している。目黒区祐天寺にてフランス菓子と惣菜教室を主宰。フランスの伝統&地方菓子を伝える「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の理事。「貝印スイーツ甲子園」のコーディネーター、「世界50ベストレストン」の審査員、ル・コルドン・ブルー卒業生代表を務める。毎年、フランスの地方の食を訪ねるツアー、サロン・ド・ショコラツアーを開催。主な著書:「フランス地方のおそうざい」「私のフランス地方菓子」「パリ・スイーツ」「フランス菓子図鑑」など30冊以上。