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春先に家庭で炊くのも神戸の風物詩だった
関東、特に東京や神奈川だと小魚というと“しらす”とか“ちりめんじゃこ”とかを連想さる方が多いかもしれません。“いかなご”って、どうですか?そんなに知られていないかもしれませんが、関西などではメジャーな小魚です。浅い海に生息しているようで、しかも海底が砂利や砂のところ。水温が15度以上になると冬眠ならぬ夏眠しちゃって、秋になるとまた活動を始めるみたい。東日本では、“こうなご”と呼ぶという話もありますが、それすらあまり聞きません。本当は体長25㎝くらいになりますが、その前に小さいうちに「くぎ煮」にするのが一般的。「いかなごのくぎ煮」は、特に神戸の名産として知られています。小さないかなごを醤油や砂糖、生姜で
煮詰めて作ります。以前は各家庭でも気軽に作られていたようですが、それもまた少なくなりました。
様々な高級珍味を作る「伍魚福」ならではの味
いかなごは乱獲するとすぐに無くなってしまうので、一定のきまりがあって漁の解禁日が決まっています。だいたい春先。明石港や垂水あたりでは早朝に漁に出かけて朝に戻り、昼過ぎには新鮮ないかなごが店頭に並ぶという昼網というスタイルがあるので、それを目当てにスーパーなどに行き、自分で炊くのもいいですが、手間や味の深みを勘案すると、購入するのも手です。僕のおススメは「五魚福」。昭和30年に創業した、様々な高級珍味を製造販売する神戸市長田区の企業。もともとは明治時代に食品の加工製造を始めたのがルーツ。面白いのはひたすら「酒の肴」となる高級珍味を作り続けている点。淡路近海産の生いかなごを使用していて、新鮮さが溢れています。古い釘のように折れ曲がっていますが、これが実は美味しさの証明なんです。優しい甘じょっぱい味付けで、酒の肴はもちろん、熱々ごはんのお供にも最適。もちろん保存料不使用。生のいかなごを用いるため、春の限定商品なので、それまで要チェックです!
※掲載情報は 2017/09/21 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。