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ゴールドラッシュの夢=象を描くビール
1840年代後半から50年のはじめにかけてカリフォルニアで巻き起こったゴールドラッシュ。1848年に農場で働いていたジェームス・マーシャルがアメリカン川で砂金を発見したことであっという間に噂が広まり、翌年以降、一攫千金を夢見た何万人もの人々がカリフォルニアに押し寄せます。彼らはその1849年にちなみ“フォーティーナイナーズ”と呼ばれていました。
夢は簡単にかなうものでもなく、苦労が重ねられました。労働の後に飲みたいのはやはり“ビール”。その需要に応えるため、ビールを東海岸から輸送したり、またその頃イギリスから植民地であるインドに向けて長い航海でも品質が持つようにホップを大量に使って作られたインディアペールエールもカリフォルニアに運び込まれていました。しかし、それらには時間もコストもかかるため、それならば地元でビールを造ろうじゃないか!ということで試行錯誤の上に出来上がったのが、アメリカ初のクラフトブルワリーとなるアンカーブルーイングの『スチームビール』です。そしてそれから100年以上の時を超え、当時愛されていたインディアペールエールを彷彿させるビールをアンカーブルーイングが手がけました。
6種のホップのフレーバーが気持ち良く駆け抜ける
アンカーブルーイングは、この『ANCHER IPA』を皮切りに、現在は『GO WEST IPA』『LIBERTY IPA』『BLACKBERRY DAZE IPA』も醸造していますが、使用するホップの種類の多さはこの『ANCHER IPA』が最多。カスケード、ブラボー、アポロ、シトラ、ネルソン・ソーヴィン、ハースエクスペリメンタルNo.431の6種を使用しています。
グラスに注ぐと、シトラスや桃、はちみつのようなアロマ。たまらずにビールをグイッと飲めば、ホップのグレープフルーツのようなフルーティさやほのかなフローラルの香りと苦味が爽快に口の中に広がり駆け抜け、4種のモルトの甘みのバランスも良く、フィニッシュはスッキリ、心地よいホップがほのかな余韻を残します。
ラベルの象のイラストは、アンカーブルーイングのラベルアーティスト、ジェームス・スティット氏によって手描きで描かれています。これは当時、リスクに片目をつぶり、夢と希望、幸運を掴み取りたいフォーティーナイナーズたちの間で流行っていた「I have seen The Elephant(象に出会った)」という言葉にちなんでいます。
そんな夢の“象”は王冠の裏側にも施されていました。
憧れ続ける象を目指し、ビールを飲み干して“夢は、願えば叶うんだ!”と叫ぶ…。そんな先人の声が聞こえてくる気がします。
このビールは、夢に向かって突き進む、そんなあなたに飲んで欲しい一本です。
※掲載情報は 2017/08/20 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト/パンコーディネーター
宮原佐研子
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。