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中国がルーツともいわれる秋田名物の落雁「もろこし」
秋田は角館に行きました。東京から新幹線で3時間、けっこう気軽に行けちゃうのも魅力です。一番良い時期は桜の季節で、桧木内川沿いに桜並木がずらりと並ぶ様は、まさに圧巻。国の名勝にも指定されています。でも、他の時期でも素敵です。古くからの街並みは、散策しているだけでも楽しい気分になるものです。そんな角館というか秋田の銘品に「もろこし」があります。とうもろこしは関係ありません。和菓子です。落雁の一形態で、木などの枠に、小豆を炒って粉にしたものや砂糖などを入れて固めて焼いたもの。もう少し深く言うと和菓子の中で「打物(押物)」と呼ばれる分類のタイプ。ルーツをたどれば、奈良時代の「日本書紀」に「モロコシ」(中国のこと)という言葉が出てくることから、中国から伝来したものがルーツになっていると見る説もあり、江戸時代にお殿様に献上してたいそう喜ばれたりしたそう。感じでは「諸越」「唐土」と書くこともあります。
爽やかな小豆風味の「もろこし」が、口の中で溶けていく
そんな「もろこし」の中で、僕が一番好きなのは『唐土庵』の「うす焼きもろこし」です。『唐土庵』は昭和32年(1957年)の創業。昭和38年にもろこしの製造を始めました。通常バージョンはもちろん分厚いのですが、この「うす焼きもろこし」は昭和57年に考案、発売開始されました。全国菓子大博覧会、名誉金賞受賞。北海道産の小豆の芯の部分のみを使用しているため、上品な小豆風味。しかも秋田産小豆をブレンドすることで、地産地消的な良さも。極限まで薄くしたというだけあって、薄いことにより、口どけが凄く良いんですね。ほろりと優しく溶けていく感じ。甘さも控えめで小粋な味わい。プレーンのほか、小豆風味が強めのさらしあん、抹茶風味の抹茶も入っていて、味の違いも楽しめます。
※掲載情報は 2017/07/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。