魚を育み人に滋養をもたらす「海中林」の一族。
「海中林」という言葉をご存じだろうか。水深2~5m程度の磯場に潜ると、長い棒状の茎を岩に根づかせ、先端にはワラワラと長い枝葉をたなびかせている海藻…
水産庁加工流通課 魚食普及担当課長補佐
世界200ケ国の中にあって、面積にして60位、しかし海岸線にして6位という環境にある我が国ニッポンは、約500種もの食べられる水産物に恵まれ、深い森林が育む豊かな水と相まって、世界でも有数のバランス食「日本料理」を生み出しました。その主役は魚でしたが、この30年間のうちに、肉と油中心へと日常の食の形が変わってしまい、国民全体レベルで健康の不調も増えつつあるようです。いまいちど、私たちの日常の食を見直す時期に来ているのではないでしょうか。
いまや魚料理は家でつくるものではなく、外食する嗜好品になりつつありますが、これを日常の食卓にもういちど取り戻すことができるならば、必ずや魚に付随する米や野菜が見直され、質の良い国産の肉が輝いてくるでしょう。私たちが住む日本という国は、必要な栄養の全てが揃い、獲る人・作る人・売る人・買う人・食べる人すべてが末永く暮らせるだけの”風土の力”を持っています。ここでは魚を中心に、手に入りやすい鮮魚や加工品、相性の良い水・米・野菜・酒などを紹介することによって、日常の中の輝く恵みを再発見していきたいと思います。