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カナダ建国150周年!豊かな風土から生み出される美食材
3月24日(金)東京・渋谷区でカナダ連邦結成150周年を記念した「カナダの食・文化プロモーションイベント」が行われました。今回のイベントは、建国150周年を祝うイベントの一環として行われ、山形 アル・ケッチャーノの奥田政行シェフをゲストに迎え、カナダの豊かな風土から生み出される豊富な食材の魅力をご紹介していただきました。
カナダの食材といえば、国旗にも描かれているメープル(サトウカエデ)から採取されるメープルシロップがあまりにも有名ですが、世界第2位の広大な国土、太平洋、大西洋をはじめとする海洋資源から生みだされるのは、穀物・大豆・肉類・魚介類・ワインと数え切れないほど多くの食材です。
現在、日本はカナダにとって世界で3番目に大きな農産品・食品の輸出先で、あまり知られていませんが、非常に多くのカナダ産食材がすでに日本国内に流通しています。
カナダ大使館のクリス・アンダーソン一等書記官は奥田シェフのデモンストレーションに先立ち、今後はより高い鮮度を保った食材と地域性のあるスペシャリティな食材を、日本の市場に導入していき、カナダ食材の特色をいかした料理をもっと知っていただきたいと述べました。
奥田シェフが誘うカナダ食材の旅へ
今回のメインイベントである、カナダ食材を使ったデモンストレーションに登場した奥田政行シェフ、開口一番会場のゲストを驚かせたのは「家庭でできるコース料理」「素材は3種だけ」「必要最小限の手間と味付け」といったなんとも奥田シェフらしい素材の生きたレシピ説明です。
果たして、どんなカナダ食材料理を披露してくれるのでしょうか?
1:カニ×キュウリ×パクチー
くるっと巻いたキュウリの薄切りに包まれたカナダ産ズワイガニのサラダ。こちらは風味付けにマカダミアナッツオイルを使用し、淡白なカニの味にコクを与えます。パクチーを添えることで、爽やかなパクチーの香りがアクセントとなります。
この日はマカダミアナッツオイルをカナダ産のアマニ油を使用し、刻んだマカダミアナッツを加えて加熱することでオイルに香りをつけた奥田風マカダミアオイルの作り方も披露。あえて塩・コショウなどで味をつけない素材の旨味を感じさせる引き算レシピです。
2:カボチャ×ホイップクリーム×メープルシロップ
カボチャのマッシュにとろりとホイップクリームをかけ、最後にほんの数滴のメープルシロップで味を引き締めた一品。ポイントとなるのはクリームの中に隠れた半熟に仕上げた卵黄です。カボチャの甘味と卵黄の旨味が溶け合いより濃厚さを増します。
仕上げのメープルシロップの前にシェリービネガーを数滴たらすことで、ほのかな酸味を効かせ、爽やかさがプラスされます。食べる直前にブラックペッパーを挽く事でデザートとは違うスパイシーさが加わります。
3:メープルヴィネガーで和えたミミノリ×ムール貝×フェンネル
カナダプリンスエドワード島で採取し、新鮮な状態で加熱処理後に冷凍加工されたムール貝は解凍後そのまま食べることができます。奥田シェフは同じ海のもの、海草のミミノリをまろやかな酸味とメープルの香ばしさを感じるメープルヴィネガーで和え、ハーブのフェンネルとディルを添えました。シンプルかつ力強い味覚の旅を楽しむ一皿です。
ムール貝はみずみずしく、旨味をしっかりと感じます。海草と甘い酢の相性は良く、口いっぱいに広がる海の香りは海草を好む日本人にも馴染みのある味。そこにハーブが加わることで西洋の香りが私たちを味覚の旅に連れて行ってくれます。
■メープル製品取扱い店・企業リスト
http://www.pure-maple.com/shop_list2/
4:馬肉×パプリカ×カッペリーニ
カナダ産馬肉を使用したタルタルの中には甘味の強いカナダ産パプリカとケッパーが加えられ、アマニ油が素材同士を馴染ませています。黄色のトマトであえた冷たいカッペリーニの上にタルタルをのせ、メープルシロップを染み込ませた特製「庄内麩のラスク」を最後に添えます。
カナダ産馬肉のタルタルは生肉独特の臭みはまったく感じられず、肉質は程良い弾力で、「固い」といった馬肉のイメージとはまったく異なります。タルタルの旨味とさっぱりとしたカッペリーニは好相性。シンプルなのに、一皿に旨味が凝縮された組み合わせは素材同士を引き立たせる奥田シェフならではの取り合わせです。
5:オマールエビ×洋ナシ×メープルシロップ
カナダ産オマールエビのテール部分を使った華やかな一皿。オマールの濃厚な旨味を引き立てる香り高い洋ナシとセロリのサラダを合わせ、かみ締めるごとにより印象深く、その美味しさを感じさせていきます。
隠し味のように控えめな存在のメープルシロップはまるみを帯びた甘味で洋ナシのサラダを彩ります。メープルシロップの微かな香ばしさが芳醇な洋ナシの香りに負けることなく、アクセントとなって濃厚なオマールエビに負けない風味を醸しています。
6:牛肉赤身×シナモン×ブルーベリー
メインとなる牛肉はアルバータ州産。繊細な肉質の赤身肉は柔らかくしなやか。ソースではなく、シナモンをまぶして焼いたブルーベリーを添えて一緒に味わいます。振りかけたのはほのかに紫を帯びたブルーベリー塩。よく炒った塩にブルーベリージュースを加え、揮発させ出来上がったものです。
ローストした牛肉の赤身はフレッシュな味わい。肉の旨味を邪魔しないよう濃厚なソースではなく、シナモンをふりかけてソテーしたブルーベリーを合わせています。ひと口食べるとその味わいにびっくり、フルーティーな赤ワインのような香りがします。もちろん牛肉との相性も素晴らしく、酸味を残したソテーがさっぱりと肉料理を食べさせてくれます。
7:シリアル×りんご×メープルシロップ
最後はメープルシロップで煮たりんごと香ばしいシリアルやナッツを楽しむデザートです。
りんごとメープルシロップはどこか懐かしいしっくりとくる組み合わせ。カナダ産純度100%のメープルシロップならではの自然な甘味を含み柔らかく仕上がったりんごとカリカリと香ばしいシリアルの食感を楽しめます。
メープルシュガーがまぶされたナッツはそれだけで、ずっと食べていたくなる美味しさ!一緒に食べると、ナッツの濃厚な風味を楽しめます。
■メープル製品お取り扱い店・企業リスト
http://www.pure-maple.com/shop_list2/
食事に合わせたカナダワイン
今回はカナダの素材を楽しむコースということで、ワインもメニューに合わせるのではなく、どんな素材を使った料理でもペアリングできる個性派の白ワインと、素材の繊細な味を引き立てる熟したベリーの香りを感じる絹のような食感の赤ワインをご紹介しました。
ノヴァ・スコシア州産の微発泡、やや辛口の白ワイン。淡くピンクがかった色、芳醇なフルーティ、フローラルな香り、飲む人に強い印象を残しながら、後味はすっきり爽やか。柔らかな酸味はフレッシュなシーフードやサラダなどに合わせて楽しみたい1本。
オンタリオ州ナイアガラ・エスカープメントで採れたピノ・ノワールを使った赤ワイン。クランベリーやラズベリーなどのベリー類やサワーチェリーの香りで非常にフルーティーな飲み口。軽めのボディながら、フレンチオークでの熟成でスパイシーな風味も楽しめます。
カナダ産食材の魅力を届ける今回のカナダ建国150周年記念イベント。奥田シェフの素材に向き合い、その声に耳を傾けるように繊細に仕上げていく調理方法は「家庭でもできる」というほど、余計な手を入れないシンプルかつスピーディーなレシピばかりでした。高い品質を持った素材の前では、「引き算」という表現を使う奥田シェフのレシピが最大の魅力を引き出す答えとなったようです。参加された皆さんも奥田シェフの考え方やアイディアから多くのヒントを得て、よりカナダの食材に興味をもたれたようでした。
カナダの自然の恵みをたっぷり受けた数々の食材。カナダ産食材が作り出す「美味しい」を日本の皆さんにこれからも届けていければと思います。
※掲載情報は 2017/04/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
カナダ大使館
世界で2番目に大きな国土のカナダ。カナダは三方を太平洋・大西洋・北極海に囲まれ、きれいな淡水の湖が点在し、広大で変化に富んだ景色が広がります。このカナダの大自然と、彩り豊かな季節の中で、実にいろいろなおいしい農産品・食品が育まれています。
またカナダは移民も多く多民族の国。さまざまな民族のそれぞれの伝統や調理法や味が、カナダの食文化の多様性を生み出しています。「カナダ料理ってどのような料理ですか?」と尋ねられると、私たちは「世界中のおいしいレシピをもとにカナダで育った新鮮、安全で高品質な食材で作った料理です」と答えます。
カナダ産の農産品・食品はたくさん日本に入ってきています。日本は世界で三番目に大きな輸出先です。皆さんが毎日食べているものにもカナダ産食材・食品が多く使われているのです。
カナダの大自然が育むおいしさ、そして多様な食文化についてお届けします。