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まさに出会いが生んだ塩のプロフェッショナルへの道
10月26日(水)東京・銀座にあるレストラン、ヤマガタサンダンデロを会場に行われた特別ディナー『ソルトde イタリアン』。
ippinキュレーターでソルトコーディネーターとして活躍する青山志穂さんが国内外の塩245種類を紹介した著書「日本と世界の塩の図鑑」の出版記念イベントとして、山形県のアル・ケッチァーノなど、多くのイタリアンレストランを手がけるカリスマシェフ奥田政行さんとコラボレーションしたディナーイベントが行われました。
青山さんにとって、奥田シェフは塩の世界を極めようと決意したきっかけをくれた恩人でもあります。9年前、沖縄で奥田シェフから「専門家を目指すなら、世界一になれ」と励ましの言葉をもらった青山さん。その後、ひたむきに「塩」の研究を続け、塩という調味料の魅力を普及する活動に努めてきました。著書「日本と世界の塩の図鑑」は塩の使い分け方や基礎的な知識のほか、これまでで一番多くの種類の塩の情報をまとめた一冊となりました。
塩がもたらす不思議体験!味の変化を学ぶ口内調理を楽しむ一杯から
料理に、塩に、ともに情熱を持ったお二人の共演は、3種類のリンゴを使った鮮やかな黄色のりんごのコンポートと茶褐色の塩「ローソク島藻塩」の皿が添えられた1杯のスプマンテの謎解きから始まりました。
まずは、りんごのコンポートを口に入れます。そこに褐色の藻塩を加えます。すると、口の中は、りんごを使ったスイーツ「アップルパイ」の味に変化します。この変化を青山さんは「口内調理」と表現します。さらに、洋梨の香りのするスパークリングワインを含めば、ワインの爽やかな風味が加わり、あっさりした甘味の「大人のアップルパイ」に変化。繊細な味の変化をじっくりと楽しみます。
{満月の日に採れる塩には海のパワーが宿っている}
「始まりの皿」庄内浜のワラサ × 月の雫&塩の花
瑞々しいワラサの素材の味を生かす2種類の塩「塩の花」、「月の雫の塩」が添えられた一皿。どちらも同じ製塩所で、同じ原料、同じ製法で作られた塩ですが、原料となる海水を汲み上げるタイミングに違いがあるといいます。「満月の日の海水で作った塩って、そうでない時に採取した塩と味が違うんです。その違いを感じてください」と青山さん。同じ海水塩でも満月の日に採取されたものはミネラルが豊富で力強い味になるそう。海の神秘の力を感じさせます。
豆腐に降り注ぐ雪のような塩。旨味を融合させて、食感も楽しむ
豆腐とキリンサイ × 雪塩
奥田シェフがこのイベントのために岩手から取り寄せた素材の味が生きた「豆腐」。主張しすぎない淡白な味の中に隠れた旨味を引き出すのは宮古島で生産される「雪塩」。瞬間的に海水の水分を乾燥させるため、さらさらとしたパウダー状になり、にがり(マグネシウムとカリウムを主体としたミネラル溶液)が分離せず塩の中に残ります。そのため、にがりを使った豆腐との相性はピッタリ。添えられた海藻「キリンサイ」のシャキシャキの食感が、なめらかな豆腐の食感と合わさることで、口の中でうまさを生みだします。
クリーミーな濃厚な味をしっかりと味わい、香ばしさで引き立てる塩
フォアグラのムースとクレームブリュレ × ローソク島の藻塩
島根県隠岐の島から日本海に沈む夕陽をバックにすると、まるで火の灯ったローソクのように見えることから名付けられたローソク島。その近くにある製塩所で作られるのが日本で一番色の濃い藻塩である「藻塩の神秘」。その特徴はカラメルのような香ばしさ。優しい味に仕上げられたフォアグラのムースとクレームブリュレ。一緒に口に含むと、藻塩が結びつけた濃厚な香ばしさに嬉しい驚きを感じずにはいられません。
料理人からも愛されるバターのようなコクを感じさせる大谷塩}
栗のリゾット白鷹の桜肉のタルタル × 大谷塩&伊達の旨塩
秋の恵を存分に味わえる栗のリゾットには山形県白鷹産の桜肉のタルタル。栗の濃厚な甘みと鉄分を多く含む桜肉のほのかな酸味の競演の一皿。この多彩な味を楽しむためには、しっかりとした旨味をもった塩ではないと太刀打ちできない。青山さんセレクトの塩は甘みやバターのような旨味を感じさせる石川県「大谷塩」と、この塩をきっかけに「塩好き」を増やしたという人気の高い宮城県「伊達の塩」。「大谷塩」の風味が栗の甘味を濃厚にし、「伊達の旨塩」のうまみと鉄分が桜肉のうまみを引き出している。どちらの塩も、料理人からの指名も多いのだとか。
土の香りを感じる素材を最高に引き出した真っ黒な3種の塩
山伏豚のグリルと藤沢カブの焼き畑仕立て × 黒い三連塩
かすかな硫黄臭を感じる秋田県の「黒い塩」は山伏豚の甘みを引き出し、香ばしさを感じさせる石川県の「珠洲の竹炭塩」は香ばしく焼き目のついた藤沢カブにも相性抜群。キプロス産の大きな結晶塩「フィオッキディサーレ ブラック」は両者の食感を増してくれる。庄内地域で代々受け継いできた自然の力を生かす焼き畑農法で作られた藤沢カブは土の香りそのままを感じさせ、そこに個性ある塩味が加えられることで、野性味を感じさせる一皿に仕上がっています。
{塩と素材が口の中で出会い新たな味の世界へ導く}
今回のイベントでは、すでに調味され姿が見えない塩ではなく、はっきりとした存在感で力強くもあり、同時に繊細な味を届けてくれました。青山さんセレクトの塩が、奥田シェフがこだわり選び抜いた主役である素材と出会ったときに起こる嬉しい相乗効果をはっきりと感じさせてくれる機会となりました。
参加された皆さんも口の中で素材と塩が溶け合い彩られていく「口内調理」を存分に楽しまれていたようです。
日本と世界の塩の図鑑 あさ出版
青山志穂 (著)
1500円(税抜)
2016年11月1日から全国書店にて販売
塩の基礎的な知識や選び方・使い分け方をはじめ、世界各国の245種類の塩の味わいや相性のよい食材・製法などについて詳細に記載されている。塩の魅力がよくわかる1冊。
奥田政行シェフによる塩使いのアドバイス付き。
■取材協力
YAMAGATA San-Dan-Delo (ヤマガタ サンダンデロ)
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座一丁目5-10ギンザファーストファイブビル
山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」2階
電話:03-5250-1755
定休日:毎週月曜日・年末年始
Lunch:11時00分−15時00分(L.O.14:00)
Dinner:18時00分-23時00分(L.O.20:30)
アクセス:JR「有楽町駅」徒歩5分
地下鉄有楽町線「銀座一丁目駅」5番・6番出口 徒歩1分
※掲載情報は 2016/11/06 時点のものとなります。
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