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フルーツの宝庫タイ王国
水上マーケットを後にして訪れたのが、ラーチャブリー県にある、「ランシーモック協同組合」が運営する果樹園と農園。今までレストランや、市場で見てきた、食べてきた食材が実際どうやって栽培されているのかという視察です。ここでも、組合長をはじめとして10名程度の方が我々をお出迎えしていただきました。
最初の視察地で、作られているメインの産物は「ヤシの実」、「ローズアップル」、「アスパラガス」等。組合長は、日本に10日間ほど滞在して、日本の農業、パッケージ方法などの研修をして、それを活かしながらこの組合を運営しているそうです。
この協同組合は、政府からの支援も受けて、土地開発を行いながらラーチャブリー県をタイでも有数な農業県に発展させることに寄与してきました。
建物の中に入ると目に飛び込んだのは大量のヤシの実。そして黙々と作業をしている組合員。しかも、全て手作業で行っています。
ヤシの実を包丁一つで、サクサクと皮を剥いていく姿は、淡々としていて、「職人」という言葉をほうふつさせます。ここの組合では、1日でなんと1万個程度のヤシの実を剥いて出荷しているとのこと。
そして、ラッピングから梱包も全て手作業で丁寧に行っています。機械化をしない理由としては、ヤシの実の個体差があるため、手作業の方が効率面で良いからということで、この手法は組合が発足してから10年変わらずに続けられています。
実際に農園も視察させてもらいました。ここでは様々な工夫がされています。例えばヤシの木は低木のものが栽培されており、長くなっても上に成長させるというよりも、幹を横にひっぱり地を這うように成長させたりもします。ヤシの実は一つの木でおよそ20日間で収穫ができるということで、人間の手で取りやすい工夫はキュレーターの関心を誘いました。
そして、もっともキュレーターを驚かせたのは、水の中に用地を作りそこで栽培するという発想。水路を作ってそれが囲うように農地を造っています。高温多雨のタイの天候を活かした栽培方法で、たっぷりと水を吸いながら作物は育っていきます。
この組合の主要作物に関しては、どこもこの水路を活かした栽培方法を行っており、安定的な生産を行っています。
そして、もう一つ我々を驚かせたのは、水路を活用したこちらの船。これは農薬ではなくて「水」を散布しているところ。根から水は吸収されますが、葉の表面にも水をやることが大切とのことで、定期的に手造りの船で水路を回りながら水の散布をするそうです。
そして、車で10分しないくらい移動した場所にある果樹園で目にしたのは「ソムオー」でした。最盛期は7月~8月と聞いていたので、我々が訪れた9月下旬にソムオーがなっているところを見ることができるのか一抹の不安がありましたが、目の前に広がっていたのはたくさんのソムオーを蓄えた木々。なんでも、ソムオーは1年に3~4回収穫が行える果実だそうで、我々が見たちょっと小ぶりのソムオーは来年の1月に収穫されるものだそうです。
8月からソムオーを使った料理、フルーツとしてのソムオーを体験してきたキュレーターは、ここでようやく実際に栽培されているソムオーを目の当たりにして、感動と喜びを感じ、思い思いにシャッターを切ります。
組合が用意してくれたノートにそれぞれの想いをしたためました。日本でも当然ですが我々が口にする食材には生産者が必ずいます。それは輸入されて日本に届く食材もまったく同じこと。日本の食材に関してはどんな生産工程で作られているか、どんな人が作っているのかは近年透明になってきています。ただ、輸入される食材に関してはどうでしょうか。日本と同様に、昔ながらの手法や、手作業にこだわって作る産品は非常に多いと思います。
そして生産、加工、流通、消費この行程には必ず人が介在します。いまさらながら、この「全てに人が介在する」という当たり前な事を、この「ソムオー」が教えてくれた気がします。そんなことを考え、ソムオーの果樹園を後にしました。
この続きは「タイの魅力を探るタイ食材現地ツアーvol.11」で報告します。
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※掲載情報は 2015/11/07 時点のものとなります。
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