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9月、短い旬を駆け抜ける鳥取県のプレミアム品種
夏の疲れも出るこの時期、汗で失った身体の水分をみずみずしく補ってくれる嬉しい果物、梨。シャキシャキっとした食感が涼を呼び、冷たい果汁がゴクンと喉を通るとき、「梨は食べるジュースだなぁ」と幸せを感じます。
フランス語で梨はPoire(ポワール)。しかしそれはいわゆる洋梨のことを指し、 時々見かける日本の梨と同じ種類はそのままNashiもしくは、Pomme-poire (ポム・ポワール)、つまり“林檎梨”と呼ばれます。なるほど、林檎のような丸い形と歯ごたえのある食感&洋梨特有の豊かな果汁や甘さを併せ持つ果物ということ……。日本の梨は素晴らしい!と思わず世界に向けて自慢したくなります。
今シーズン、縁あって鳥取県のブランド梨「新甘泉」を味わう機会に恵まれました。皮の色は温かいオリーブ色、さらっとした手触りの早生(わせ)の赤梨です。「新甘泉」の歴史は浅く、鳥取県の園芸試験場で平成20年に登録された新品種、高糖度の赤梨「筑水」と青梨の代表格「おさ二十世紀」を掛けあわせた鳥取県のオリジナル品種だそうです。梨の栽培では100年以上の歴史を誇る鳥取県が「二十世紀」「幸水」に続いて梨界のスターになるようにとの願いを込めて、新しい甘い泉「新甘泉」と名づけました。
「新甘泉」は鳥取県内の梨選果場に運ばれると糖度センサーで検査が行われ、高糖度の果実のみを合格として出荷しているそうです。生産量は少しずつ増えていますが、出荷期間が2週間(8月下旬から9月上旬)と大変短かく、大きな流通には乗らないいため、ご存知の方が少ないようです。
「新甘泉」の出荷が終わるころ、さらにレアな品種「秋甘泉」〈あきかんせん〉の出荷が始まります、こちらは「新甘泉」誕生の翌年平成21年に「豊水」と「おさ二十世紀」を掛けあわせて誕生した品種。「新甘泉」よりさらに生産量が少ないため、見つけられたらラッキーですね。出荷時期はやはり2週間なので9月上旬まで!
梨は水分と食物繊維が多いのでお腹に嬉しく、カリウムが豊富なのでスポーツをする方、高血圧を予防されたい方には特にお勧めな果物です。一般的に梨は追熟しないので、手に入れたら待たずになるべく早くいただきます。冷やしすぎると甘みが薄まってしまうので、私は食べる1~2時間を見計らって冷蔵庫に入れます。甘みは梨の下部に集中するので、上下ひっくり返して。美味しい梨だからこそ食べごろを逃したくない!と貪欲になります。
梨は美味しいけどちょっと甘すぎる……と思う方にお勧めの楽しみ方、梨をスライスしてブルーチーズを載せてみて下さい。青カビの塩味と梨の甘みがとても合い、シンプルですがちょっと贅沢なデザートになります。緑茶、ジャスミンティーは梨の甘みをすっきりと吸収して、梨の香りととても合います。「新甘泉」は鳥取県の旬の美味直売所「わったいな」で、電話またはファックスでお取り寄せ可能です。日本が誇る果物、梨の旬を堪能しましょう
※掲載情報は 2015/08/28 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードプランナー&フランス語通訳
勅使河原加奈子
東京都生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒。ワイン専門商社勤務後、フランス人シェフ招聘ビジネスに7年半関わり、2000年フードデザイン&イベントプランニングCREMA設立。フランス人シェフの招聘を続ける傍ら、ハチミツ専門店のMD企画、ホテル・レストランのオープン・リニューアルのアドバイス、洋菓子専門誌編集、フランスわさび栽培コーディネート、百貨店内フードショップMD企画、仏レストランブランドの商品開発のアドバイス、洋包丁輸出コーディネートなどを経て、食イベントの企画制作、レストランのHP制作、食の撮影コーディネート、イベントのPRコーディネートなど食全般の仕事に携わる。同時に料理・ワイン・製菓・製パンに特化したフランス語専門通訳者および翻訳家(翻訳本「ジョエル・ロブションのすべて」)としても活動。2011年秋以降、地方創生、地方食材のリサーチとフランス人シェフへの紹介、国内外での燗酒の普及にも携わる。