日本でみつけた英国焼き菓子

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ティータイムを彩るバリエーション豊かな「焼き菓子」

日本でみつけた英国焼き菓子

1日に何度も紅茶を飲む英国人は、家族や親しい人たちとの語らいの場として、ティータイムを大切にしています。そのため、紅茶と共に楽しむ焼き菓子の種類が非常に豊富な国です。特に英国のケーキを語る上で外せないのが、「ビクトリアサンドイッチケーキ」。日本でケーキといえば「イチゴのショートケーキ」を思い浮かべる人が多いように、「英国ではケーキといえばこれ!」と言われるほど非常にポピュラーです。スポンジケーキの間にラズベリージャムをサンドしただけでとてもシンプルなのですが、スポンジはふわふわで軽いものではなく、どちらかといえばパウンドケーキに近い固さです。ビクトリア女王が気に入っていたことからこの名が付き、たちまち庶民にも浸透したティータイム定番ケーキの一つです。

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また、「カップケーキ」もとても人気があります。英国では、カップケーキのことを「フェアリー(妖精)ケーキ」と呼びます。中でも「バタフライケーキ」は、カップケーキの表面を少し切り、さらに半分に切ってケーキの上に蝶の羽根のようにのせることから、その名が付けられました。見た目も愛らしく、フルーツをデコレーションすることもあります。

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他にも、季節のフルーツを使った「タルト」や「パイ」もあります。英国土産として人気の高い「ショートブレッド」も焼き菓子の一つで、バターをたっぷり使っていること、厚みのある生地を焼き上げるのが特徴です。ざくっと噛むとほろほろと崩れる独特の歯触りは、ショートブレッドならではといえます。

 

さらに忘れてはならないのが「ビスケット」。「クッキー」も広い意味ではビスケットの一種なので、英国ではまとめて「ビスケット」と呼ばれています。略して「「ビッキ(bikkie)」と呼ばれることも多く、各家庭でそれぞれのレシピがあり、日常的に食されるお菓子です。中でも多いのが、生地を丸めて焼く「ドロップ型」のビスケット。材料を混ぜて焼くだけで作り方はとても簡単ですが、スパイスやレーズンなどを入れることでアレンジが利きます。

代表的な季節の焼き菓子といえば?

季節ごとの焼き菓子で代表的なものをいくつかご紹介します。まず、春には「シムネルケーキ」というイースターならではのケーキを食べます。ドライフルーツを入れて焼き上げた円形のケーキに、薄く伸ばしたマジパンをのせ、さらに11個の丸めたマジパンを飾ります。11個のマジパンは、キリストの12使徒からユダを除いた11人を表しています。

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※こちらの写真は英国大使館の「レモンドリズルケーキ」

 

初夏の頃には「レモンドリズルケーキ」がぴったりです。レモンシロップをしみ込ませたケーキの上に、レモン風味の白いアイシングをかけた爽やかなケーキです。そして、秋には「ブラムリー」などの「クッキングアップル」と呼ばれるリンゴを使った焼き菓子が登場します。クッキングアップルは料理・製菓用のリンゴで、酸味が強く香りが豊かな品種です。

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クリスマスの時期には「ミンスパイ」が欠かせません。もともとはひき肉(ミンチ)を入れて作られていましたが、時代とともに変化しました。現在では、刻んだリンゴやドライフルーツに数種類のスパイスを加えブランデーで煮込み、パイで包んで焼き上げたものが主流となっています。

英国の焼き菓子を堪能できる場所は東京麻布にあった

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東京「麻布十番駅」6番出口を出て徒歩8分程の場所にある「Mornington Crescent」は、英国伝統のお菓子教室を運営しています。日によってはお菓子教室だけではなく購入もできます。

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中に入ると、お菓子に使う柑橘類、様々な調味料や調理機器、そして英国らしくケーキスタンドが並んでいます。
こちらを運営しているのが、優しい笑顔が印象に残る英国人のステイシー・ウォードさんです。

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ステイシーさんが日本に住み始めて約15年。英国から遠い日本に初めて興味を持ったのは、ステイシーさんが5歳頃のこと。テレビで日本のお花見の様子を紹介していて、「お花の下でご飯を食べるなんて素敵!」と感じ、日本に良いイメージを持ったそうです。その後、時間が経ってもその想いは変わらず、大学で美術を専攻し、日本の美術を知るようになりました。そして、さらに日本に惹かれ、「日本に住んでみたい!」と思うようになったそうです。

 

大学を卒業して1年後、日本の高校や中学校で英語を教える「JETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme)」に応募。埼玉県川口市の高校に赴任することになり、初めて来日しました。

日本と英国のギャップ

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日本に来たばかりの時に驚いたことは「蒸し暑さ」。英国でも気温が高くなる日はありますが、湿気を伴うことはなかったのでびっくりしたそうです。しかし、「湿気は海外にいないと感じることができない!」とポジティブに捉えることで、刺激的で楽しい時間を過ごせました。

 

最初の3年間は、職場である学校で英語を話すことが求められたので、コミュニケーションよりも、本や書道で日本語と日本文化を学んだそうです。他に日本でギャップを感じたことは、「しょうがない」という考えでした。英国に住んでいる時、ステイシーさんの周りでは何かが起こった時に諦めることはなく、他に何ができるかとアイディアを思いつくのが普通だったそうです。しかし、日本では日常的に「しょうがない」という言葉を聞くため、この考え方に慣れるまでとても時間がかかったと話していました。

お菓子教室を始める準備

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3年間のJETプログラムが終わった後、知人の紹介でWeb制作会社に就職し、7年間勤務しました。ステイシーさんは母親の影響もあり、幼い頃から料理を作ることが好きで、ずっとお菓子教室をやりたいと思っていました。勤めていた会社は理解があり、退職する3年前ほどから、お菓子教室を始める準備をしていたそうです。

英国家庭のレシピを伝える

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ステイシーさんのお菓子教室のコンセプトは、「英国家庭の伝統的レシピ」。ご自身が教えることによって大きな発見もよくあるそうです。例えば、食パンを使う「ブレッド&バタープディング」。ステイシーさんは1930年代から40年代に生まれたものと思っていたらしいのですが、生徒さんに教えるために調べてみると、なんと1747年に発刊された料理関係の本にもその原型が記されていたそうです。

 

日本と英国の共通性

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ステイシーさんは幼い頃から、お菓子作りはもちろんのこと、学校の先生役になって出欠を取る遊びも好きだったそうです。なので、先生となり、お菓子教室をやるという人生の流れは非常に自然なことだったのかもしれません。元々英国菓子の販売も考えていましたが、一番やりたかったのは、やはり「お菓子教室」。日本に来て感じた日本と英国の共通点は、「好きなことができると、それに対してストイックに掘り下げていく人が多い」ということ。販売だとお客さんと接する時間はそう長くはありませんが、お菓子教室だとコミュニケーションが活発になるので、お菓子作りの楽しさを知った生徒さんから、ステイシーさんが知らないことを教えてもらうこともたまにあるそうです。新しい気づき、発見があるお菓子教室は、ステイシーさんの天職と言えるのかもしれません。

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笑顔がたえないステイシーさんのお菓子教室に通う生徒さんのほとんどは日本人。近隣の麻布にお住まいの方々が多いのですが、口コミやネットを見て、北は仙台、南は沖縄まで、遠方からいらっしゃる生徒さんもたくさんおられるそうで、今ではキャンセル待ちが出るほど大人気になっています。

 

英国家庭で伝統的に楽しまれているお菓子を学べ、購入もできる「Mornington Crescent」。ステイシーさんは、非常に気さくで、日本語も堪能な方です。気になる方はぜひ、遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

※掲載情報は 2015/08/26 時点のものとなります。

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駐日英国大使館

駐日英国大使館

駐日英国大使館、並びに、大阪の英国総領事館は、日本で英国政府を代表する機関であり、日本における様々な英国の利益をサポートしています。当館では、2006年から「A Taste of Britain」キャンペーンを展開しています。2012年には、エリザベス二世女王陛下の誕生祝賀会や、ロンドンオリンピック・パラリンピックを通して英国への注目が高まり、「美味しいイギリス」の今がより広く世界に知られるようになりました。

Food is GREATは、英国政府が2011年から世界に向けて展開するGREATキャンペーンのテーマの一つ。日本では、「Food is GREAT: A Taste of Britain ためしてみて、美味しいイギリス」として、パートナー企業のご協力のもと、英国フード&ドリンクのイベントを開催してきました。また、多くの方々に「美味しいイギリス」を体験していただける機会や、英国の食にまつわる様々な情報をFacebookで発信しています。ご家庭で気軽に「美味しいイギリス」を楽しんでいただけるよう、家庭用レシピもクックパッド「英国大使館のキッチン」で随時ご紹介しております。

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