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こんな配慮もできるんだと驚いた器のオーガニック
今、私は妊娠・出産のオーガニック本を書いているなかで、安心して使える器にたどりついたのが、熊本県南阿蘇にある陽窯の器。
2003年に登り窯をつくり創作活動を続けてきた高島季恵さんの作品は、どれもしっとりしていて素敵。窯のある南阿蘇は世界農業遺産にも登録された大自然と田畑が美しい場所でもあります。この窯で使う薪は南阿蘇近郊の松や雑木などのもの。「切ったよ」と連絡があり直接取りに行けるのも、ここでの醍醐味とのこと。そしてなによりの特徴は、釉薬(うわぐすり)。
素焼きした陶器の表面の小孔を覆って水の浸透を防いだり、ガラス質に仕上げて美しく使いやすくしたりするには釉薬は必須ですが、ここ陽窯では自家栽培の無農薬・無化学肥料の作物の収穫後の藁や茎から作った灰を使用しているのです。
通常は、この釉薬に鉄や銅などの金属材料を入れ色合いや光沢を出すのですが、昔は木や藁などを燃やした灰を水に溶かして作っていたとか。ただ、仕上がりの安定性や木や藁などの材料調達の困難から、近年は使う陶芸家は少なくなっているのです。そんななか陽窯では秋に田畑から収穫した黒もち米、ゴマ、そば、高きびなどの灰を釉薬の材料としているそうです。
釉薬の溶ける温度は作物によって違うので、仕上がりの色合いが微妙に違う、それがまた作品の個性なので、手に取るたびにワクワクしてしまいます。
我が家では、手作りおやつの器はこれと決めています。優しい風合いが素朴なお菓子と相まってなんとも素敵なんですよ。
※掲載情報は 2015/07/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
日本第1号オーガニックコンシェルジュ
岡村貴子
4年間のオーストラリア滞在中に自然の中を裸足で暮らす原始生活を体験。
自然との共存の大切さを学び、2004年にオーガニック・コンシェルジュ協会、
同時に資格制度を立ち上げる。オーガニックの魅力を伝える{案内人}として講演、執筆活動のほか業界初のエコタレントとしてソニーミュージックアーティストに所属。メディアを通じてナチュラルなライフスタイルのあり方を発信する。
2010年によりオーガニックを楽しむ場としてオーガニック研究所を設立。
2013年、初産ながら自宅出産にて男児を出産。
現在はタイムラインエージェンシーに所属し、東京と九州の都会・田舎暮らしの
2拠点居住を実践しながらリアルオーガニックを追求中。
著書「オーガニック入門」(ソニーマガジンズ)