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フードスタイリスト マロンさん
美味しいのはもちろんのこと「美しい」や「楽しい」もキーワードに、食のエンターテイナーとしてテレビや雑誌など、あらゆるメディアに活躍の場を広げているマロンさんは、フードスタイリスト日本第1号です。フードスタイリストとは、雑誌や書籍、テレビや映画などの撮影現場で、食空間をより魅力的にスタイリングする人のこと。料理を作る技術だけではなく、イメージに合う食器選びやテーブルセッティングなど、食に関する幅広い知識が求められるお仕事です。そんなマロンさんに、食の楽しさを味だけでなく視覚的な魅力として伝えるこれまでのキャリアを振り返りつつ、大切にしていることや「食」への思いを伺いました。
キャリアのスタートは雑誌から。トータルで「食」を提案。
Q:マロンさんと言えば、日本で最初の「フードスタイリスト」ですが、今まで具体的にどのようなことをされてきたのですか?
マロンさん:料理を作って、自分で写真を撮って文章も書くなど、フードスタイリストとしての活動方法は人によってさまざま。私の場合はインテリア、料理、それからファッション。この3つの要素で「食」という世界観を作り上げたいと考えています。80年代、雑誌が一番成熟している時期に独立したこともあって、最初は雑誌を中心にお仕事していました。例えば、「ELLE」にしても「Marie Claire(マリ・クレール)」にしても、洋書の日本版でスタートする時には必ずお声をかけていただきました。次にテレビ。今はインターネットもありますからね。それぞれに良さがあって、その時々で本当にいい時にいい人たちと仕事ができたと思っています。自分の中で何かを確立したいという気持ちで三十数年やってきたけれど、まだ確立はしていない。まだまだ続けていきたいですね。きっと、マロンだからできること、マロンにしかできないことがあると思うので。
「食べてほしい」と「見てほしい」の一心で駆け抜けた30数年。
Q:スタイリングする時に大切にしているのは、どんなところですか?
マロンさん:まず、テーブルがあります。そのテーブルを前にした椅子にはどんな人が座る? 座る人は1人しかいないわけでしょ? どんな時に、どんな空間で、どんな人が、どんな料理をいただくのか。そこを一番大切にしています。だから料理に対する思いとは、私の場合、人に対する思いなのかも知れません。雑誌でもテレビでも、やっぱり同じですよ。60年代のまだ子どもだった頃に、テレビの料理番組を見て「自分もあの中で料理がしたい」と思ったのが、私がこの世界に入ったきっかけ。どこでも良いわけじゃなくて、画面の中で自分が料理している姿に憧れました。「食べてもらいたい」と「見てもらいたい」っていう気持ちが人一倍強いんじゃないかな。いや、人百倍かも(笑)。この前、熊谷喜八さんに「マロンちゃんは料理が身体に染みてるね」って言われました。30年以上も料理でやってこれたからこその「染みる」だと思うから、嬉しかったですね。器、食べ方のスタイル、誰と食べるのか……。あとお酒ね。そういうことを考えながら料理をするのが楽しくて。だから、たとえ同じ料理でも、仕上がりはいかようにも変わるんですよ。
贈り物は「さりげなく」が、マロン流。
Q:ippinのキュレーターでもあるマロンさんは、どんな情報を発信するよう心がけていますか? 今後してみたい活動もあれば教えてください。
マロンさん:やはり自分が美味しい、美しいと思うものを、食べ物に限らず紹介したいと思っています。一番最初に投稿したのは地元名物の「いかしゅうまい」。故郷佐賀県の唐津大使を務めているので、地元の素敵なものをもっと知ってもらいたいですね。手土産を贈る時も、自分が食べたことのある美味しいものが大前提。ちょっと食べ物からは逸れてしまうけれど、もともと花を贈るのが好きなんです。贈る相手の色をイメージして、ラッピングは最小限にしてもらって、無造作にするのがマロン流。いただくのも同じで、好きな人からのさりげない贈り物は嬉しいもの。だから何を贈るのでも、仰々しくならないように“さりげなく”が理想ですね。ippinキュレーターとしてぜひ実現させたいのは、ippin×マロンによる、お店など人が集まるところでのイベント。空間ごとプロデュースして、お料理はもちろんのこと司会進行もマロン。楽しく歌も歌ったりしてね。何か新しい次のことを考え始めています。
【プロフィール】
大阪あべの辻調理師専門学校を卒業し、料理研究家、インテリアスタイリストのアシスタントを経験後、1983年に日本でのフードスタイリスト第1号として独立。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、新聞、広告、イベント、講演会など、あらゆるメディアを通して美味しい料理、料理の楽しさを提案し続けている。経験を生かして、調理器具の開発にも取り組み、現在発売中の「マロンパン24cm」が人気を集めている。レストランのシェフでも、料理研究家でもない、食のエンターテイナーとしてダイナミックに躍進中。長崎県に生まれ、佐賀県唐津で育ち、東京をこよなく愛すも、故郷や地方の食材、料理を紹介。唐津大使を拝命、首都圏と故郷唐津を繋ぐ、お仕事を思索中。活躍は国内にとどまらず、海外、アジア各国でも料理教室を主宰。また、料理以外の、歌でも活躍中。
※掲載情報は 2015/03/24 時点のものとなります。
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