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酸っぱさの後ろに隠れた奥行きある旨み成分
「柿が赤くなると医者が青くなる」という諺があるほど、柿はヘルシーな果物として古くから親しまれてきました。 ビタミン類や食物繊維、ミネラルが豊富なことはよく知られています。島根県の松江や安来は柿の栽培が盛んで、秋の干し柿はブランド品として贈答用に大人気です。
安来市郊外に佇むさぎの湯温泉に泊まった時に見つけたのが今回ご紹介する百市の柿酢です。柿酢とは熟した柿の実を発酵させて作られる果実酢の一種です。 柿酢に含まれる酢酸は、健康維持を目指す人にうれしい情報が盛りだくさん。また柿そのものにも、老廃物の排出を助けると言われているカリウムや、抗酸化や抗菌効果があると言われているタンニンが含まれています。
そのまま味見をしてみると、突き抜ける酸味の後ろに隠れた旨み成分がなんとも言えない余韻を醸し出します。酸っぱいだけではないじわじわと味覚の奥行きが広がっていきます。まずはお刺身にそのままかけてみたいところ。新鮮な素材の旨みと重なっていくことがわかります。特に相性がいいのがタコやイカ、牡蠣などでしょう。ワサビ醤油とは異なる新しい味わいが楽しめるでしょう。
魚介類にふりかけたり、ドレッシング代わりに使ったりも
次はお豆腐。定番は生姜と醤油や塩ですがこれに柿酢をわずかにかけると見事な味変になります。豆腐自体がヘルシーな食材ですのでそこに柿酢を纏うと気分的にもスッキリですね。もちろんそのままドレッシング代わりに使うのもグッド!
またグラスに小さじ一杯分の柿酢をスパークリングウォーターで割ってみてください。爽やかな口当たりと後味はクセになるかもしれません。
百市の柿酢は樹齢350年以上の柿の木が広がる柿畑で丁寧な土づくりに取り組み、こだわって栽培した西条柿を皮ごと丸ごと使用。ワイン酵母を加えて甕で3年から5年もの長期間仕込みます。まさに柿100%のまろやかな果実酢です。この柿酢は東京日本橋にある老舗果実店御用達になっているほどです。自らを「熱血百姓」と言う福岡博義さん
手間暇かけて育てられた柿から作られた希少な柿酢。素材や料理の新しい魅力を引き立てるヘルシーな調味料としてぜひ食卓に常備しておきたい逸品です。
※掲載情報は 2022/01/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードビジネスデザイナー
嶋啓祐
全国の農村漁村をくまなく巡り、そこで使うホンモノの素材を探すことをライフワークにしています。ホンモノはいつも隠れています。全国の肥沃な土地で、頑固で不器用な生産者が作る「オーガニックな作品」を見つけて、料理人が少し手を加える。それが「ホンモノの料理」になります。毎月地方に足を運び、民泊に泊まり、地元の方々とのコミュニケーションを作るのが楽しみです。自然豊かな日本全体が食の宝庫です。自然、風土、生産者、素材、そして流通と料理人とその先にいる顧客。食に関わるすべての方が幸せになるような「デザイン」を仕事にしています。1963年に北海道は砂川(日本一になった美味しいお米ゆめぴりかの産地)で生まれ、18歳上京。大好物はイクラ、クレソン、納豆、ハーブ、苦手なのは天津丼などあんかけ系、豚足、焼酎。趣味は全国の神社巡りとご朱印集め。2018年より自宅料理コミュニティ「ビストロ嶋旅館」を主宰。