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みそ汁だけではなく、洋風野菜スープにも!
久しぶりに訪れた福岡で古くからの友人に誘われてお昼を共にしたのが市内桜坂の高台にある料亭、桜坂観山荘。天気のいい日に地下鉄駅からのんびりと坂を上るのは、とても心地よいものです。ほどなく途中に佇むその料亭はほどよいハレ感と品の良さを感じるところでした。ロビーには世界を代表する家具作家、ジョージ・ナカシマのクッションチェアが並び、まずはそこで暑さを鎮める一服を。
個室で夏のコースメニューをいただきながら、繰り出されるその繊細な味わいの料理。その時に感じたのは素材や調理法といったものではなく、器に盛られた料理を支える「出汁」の旨みだったのです。すぐに女将に尋ねたところ、板長が最もこだわるのが出汁であるとのことでした。
その出汁は商品化されており、2020年度日本野菜ソムリエ協会主催の調味料選手権で総合2位を獲得したほど。焼あごや昆布、椎茸に鰹節、鰯といった素材はすべて上質な国産を厳選。特筆すべきは素材のブレンド技術にあります。私は昆布と椎茸が底辺を支え、豊かな焼きあごの風味が中心に陣取り、鰹や鰯の旨みが脇を固めているといった風に感じます。
塩分も控えめで化学調味料・保存料無添加の上、小麦・大豆などアレルギー性の素材も使っていない出汁なのです。
普段の食卓では、まずはみそ汁に使ってみたいですね。上質な出汁を使うと味噌の量は少な目で済みます。いつものみそ汁が確実にバージョンアップするでしょう。私はこの出汁を洋風スープにも使っています。少し硬めのトマトと玉葱、キュウリなど夏野菜を入れて軽く煮込むと野菜スープの出来上がりです。このスープは冷やしても美味しくいただけます。そして残ったスープにご飯を入れて胡椒を振ると極上のリゾットにも早変わりです。
ちなみに出汁を取り終えたパックは中身を乾燥させるとふりかけに生まれ変わります。また、ピラフを炒めて盛り付けた後にふりかけるとふわっとしたやさしい香りが漂ってくるでしょう。
みそ汁、スープ、煮物、和え物など多くの料理の「旨み」となる桜坂観山荘の出汁で普段の食卓をより豊かにしてみてはいかがでしょう。
※掲載情報は 2021/08/22 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードビジネスデザイナー
嶋啓祐
全国の農村漁村をくまなく巡り、そこで使うホンモノの素材を探すことをライフワークにしています。ホンモノはいつも隠れています。全国の肥沃な土地で、頑固で不器用な生産者が作る「オーガニックな作品」を見つけて、料理人が少し手を加える。それが「ホンモノの料理」になります。毎月地方に足を運び、民泊に泊まり、地元の方々とのコミュニケーションを作るのが楽しみです。自然豊かな日本全体が食の宝庫です。自然、風土、生産者、素材、そして流通と料理人とその先にいる顧客。食に関わるすべての方が幸せになるような「デザイン」を仕事にしています。1963年に北海道は砂川(日本一になった美味しいお米ゆめぴりかの産地)で生まれ、18歳上京。大好物はイクラ、クレソン、納豆、ハーブ、苦手なのは天津丼などあんかけ系、豚足、焼酎。趣味は全国の神社巡りとご朱印集め。2018年より自宅料理コミュニティ「ビストロ嶋旅館」を主宰。