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「テキーラの事を知りたいなら、メキシコに行って、本場のテキーラを体験してみて。メキシコの文化や歴史、メキシコ全体を理解する事でテキーラについて学ぶことが出来るから。」
ギリシャから初来日した世界No. 1テキーラブランドクエルボのグローバルブランドアンバサダーのステリオス氏からいただいたメッセージが、テキーラをもっと深く理解したいという探究心に火をつけました。
クエルボブランドを代表する「クエルボエスペシャル」については以前記事を掲載いただきましたが、今回はクエルボ社が1800年にはじめてテキーラを樽で熟成したことを記念してつくられた「1800」をご紹介したいと思います。
テキーラとクエルボ家の歴史を辿る
ステリオスの言葉の通り、私自身がいつも身に染みて感じるのが、テキーラを語る立場として、SNSやメディア・ネットニュースからの情報、人から聞いた話だけではテキーラの事を本当に理解して伝える事は出来ないということ。
130以上ある蒸留所のうち、この8年間で80箇所以上訪問しましたが、1年行かないだけで情報は全く違う事も多く、現地で自分が体験し学ぶ事がいかに大切か毎回メキシコに行く度に痛感します。
「メキシコの風を感じて欲しい。」と言われることが多いのですが、アガベ畑や蒸留所に実際立ってみると、土や風の香り、漂う空気の違いを感じることが多く、どんな場所で、どんな人達に、どのようにして作られているか、沢山の方に見て欲しいと思います。
テキーラという名前は、ハリスコ州の広大なアガベ畑の背後にそびえる火山が語源と言われ、テキーラという言葉は「切った石」を意味しています。
1758年に、ホセ・アントニオ・デ・クエルボは、当時の王室から初めてテキーラ村において正式にテキーラの原材料であるブルーアガベを栽培する権利を得ました。その後、1795年クエルボ・ファミリーは初めて商業的にテキーラの製造許可を、スペインのカルロス4世王から与えられたことからテキーラの歴史はスタートします。
現在、テキーラの生産地であるハリスコ州テキーラ地区の人口は約4万人。 メキシコ観光省から2003年に『Magical town of Mexico』と名付けられました。世界遺産にも登録されているこの地域の人口の約8割がテキーラビジネスに携わっていると言われています。
テキーラ村の中心地の蒸留所をかまえるクエルボ社の貢献は大きく、1900年代初期に鉄道を敷き、道路を舗装して町に水道を引き、時計を寄付したり学校を修築した記録が残っています。
今日でも、クエルボ社は様々なプロジェクトをサポートし、福祉や文化貢献を通してテキーラとそのコミュニティを支え続けています。
クエルボブランドを支えるアンバサダーの活躍
ステリオス氏は7年間クエルボのグローバルブランドアンバサダーを務め、メキシコ公式のテキーラの最上級資格テキーラコニサーを、メキシコ人以外で初めて取得しました。彼の話には、経験からくる幅広い知識と情熱を感じます。
テキーラコニサーは、テキーラに関する基本的な情報だけではなく、メキシコについての知識もないといけないため合格するには非常に厳しい条件となっているそう。
メキシコ人以外で取得するには、相当な苦労があった事でしょう。
また、テキーラのテイスティング技術を習得するには非常に時間がかかり、クエルボ社の場合、マスターブレンダーであるドン・フランシスコ氏がその役割を引き受けるまで40年の歳月を必要としたと言われています。
彼が現役の頃は、フランシスコ氏はアガベの畑のから製造工程まで、テキーラについての幅広い知識を習得しており毎週、最終製品がクエルボの名を冠するにふさわしい品質であるかどうかを見極めるためにテキーラを試飲し、彼の承認を得たものだけがボトリングされていたそうです。
そういったテキーラのプロ達と対等に語り合えるくらいの幅広い知識や経験を持ち合わせてこそブランドアンバサダーと名乗る事ができるのです。
「クエルボは素晴らしいブランドだけど、どのテキーラが好きかは個人の好みだから、まずはテキーラやメキシコの事をもっと知って欲しい。」
彼はクエルボという大きな看板を背負っていますが、メキシコはもちろんテキーラ全体の発展のために、勉強を重ねていて、発する言葉ひとつひとつにテキーラ愛が溢れ、国籍を超えた情熱を感じます。
もともと、テキーラはギリシャ語で「素晴らしい。立派だ。」という意味もあり、ギリシャの経済危機前には、アメリカ、メキシコに続いてギリシャがテキーラの消費国第3位の時期もあったそうです。ギリシャからテキーラの魅力に惹かれてメキシコに通い続けているうちに、テキーラのオフィシャル機関で働いたり、クエルボ社からの依頼で仕事をするようになり、現在に至ります。
プレミアムテキーラ「1800」をカクテルで味わう
インタビュー撮影や、来日記念イベントにセミナー、日本最大のお酒のイベント「Tokyo International BarShow 2019 」の出演など、様々な企画でご一緒する機会がありましたが、彼がつくるカクテルをいただくチャンスが一度だけありました。
それが六本木アガベで開催した来日イベントで提供された、「1800」のアネホをベースにしたテキーラマンハッタンです。
一般的にはマンハッタンはウィスキーで作られるカクテルですが、「1800」のアメリカンオークとフレンチオークの両方の樽で熟成したテキーラをブレンドした、オレンジピール、バニラ、バターなどのマイルドな香りや、アガベの甘みなど贅沢な味わいの特徴を生かした素晴らしいカクテルでした。
「1800」のテキーラのラベルには、「仕事」「情熱」「誠実」の文字が書かれていますずが芳醇で力強いインパクトがありながら、非常にエレガントで口当たりのよい味わいは、
歴史と伝統、そして正統派テキーラとしての誇りを感じます。
カクテルのポイントを聞いた時に、「美味しいカクテルに必要なものは2つだけ。笑顔と情熱」そう言って、テキーラについて熱く語る彼の顔はいつも明るく前を向いていて、テキーラやメキシコへの深い愛情が溢れています。
数あるクエルボ社のブランドから、ぜひテキーラとクエルボ家の歴史を感じながら「1800」をじっくり堪能してみてください。
※掲載情報は 2019/06/21 時点のものとなります。
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キュレーター情報
テキーラPRプロデューサー
目時裕美
アジア最大級のテキーラの祭典「TEQUILA FESTA/TEQUILA LOUNEG」の主催をはじめ、日本におけるテキーラの記念日となる7月24日「テキーラの日」&2月22日「マルガリータの日」のプロモーション・記念セミナーやイベントの運営を手がける。
テキーラの主要機関であるCRT(テキーラ規制委員会)とCNIT(全国テキーラ産業会議所)、メスカルの主要機関であるCRM(メスカル規制委員会)のサポートの元、情報誌「TEQUILA JOURNAL」を発行。
2011年から毎年メキシコに通い、134ヶ所あるテキーラ蒸留所のうち80ヶ所以上を訪問しテキーラ業界の動向や最新情報を日々ブログやSNSで発信し続けている
テキーラ生産者やブランドオーナー、海外のブランドアンバサダーなどテキーラ業界関係者との交流も深く、新商品のリリースやローンチ企画、来日セミナーやイベントのプロデュース、販売サポート等にも携わる。