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カルダモンの香る、さわやかな味わいのヨルダンコーヒー
ヨルダンの文化のルーツを知っていただく上で欠かせないのが、「ベドウィン」と呼ばれる遊牧民の暮らしです。彼らはコミュニティを非常に大切にしながら、移動式のテントで生活しています。テントの内部には仕切りがなく、入口は開放されており、いつでも訪問者を受け入れ『コーヒー』でもてなします。
それぞれのテントには“コーヒーマン”と呼ばれる人がいて、テント内のコーヒーにまつわる全てを担当しています。コーヒー豆をローストすることから始まり、オリーブの木で作った「メフバシュ」という道具を使ってコーヒー豆を粗く潰し、ポットで約3時間ボイルすれば完成です。
アラビアの国々ではコーヒーに様々なスパイスを加えますが、ヨルダンの場合は「カルダモン」が主流です。長時間かけて煮出すため、エスプレッソのように濃厚な味わいとなります。コーヒーの味は家々によって違いがあり、メフバシュは家長から家長へと受け継がれていきます。
嬉しいときも、悲しいときも、コーヒーがいつもそばに
コーヒーが生活に密着しているヨルダンでは、一日に何回もコーヒーを飲むだけではなく、コーヒーマンがメフバシュを使い、トントン、カン!と豆を潰しながらリズミカルに音を奏でるのも特徴です。それは毎日欠かさず行われ、現在は来客時や特別な行事の際に行います。悲しいことがあれば悲しい音、嬉しいことがあれば喜びをあらわす音というように、その時々で音に違いが現れます。
コーヒーを使った独特の作法もあります。例えば、ベドウィンの人々は何か困ったことがあって家長のテントを訪れた際、コーヒーを飲む前にカップをテーブルに置くのですが、それは相談事のある印となります。
また、結婚を決める時にもコーヒーが重要な役割を果たします。花婿とその父親は、花嫁になってほしい女性のテントを訪れ、家長にお伺いを立てます。返事がOKであれば「どうぞコーヒーをお飲みください」と声をかけられますが、NOの場合はコーヒーを飲ませてもらうことなく引き上げます。
そして来訪者に対しては3杯コーヒーをふるまう習慣があります。1杯目は“ようこそ”という歓迎の印、2杯目はたくさんの食べ物とともにコーヒーを楽しんでもらうため、そして3杯目はコーヒーの味を純粋に楽しんでもらうため、という意味が込められています。
ヨルダン人は、もてなし好きでロマンチスト
ヨルダン人は、ホスピタリティあふれる精神で、おもてなしをとても大切にします。客人に食べきれないくらいの料理やお菓子を用意するのは当たり前。残されてもったいないとは考えません。特に、コーヒーと一緒に楽しむお菓子は「アラビアンスイーツ」とも呼ばれるもので、ナツメヤシ、くるみ、ピスタチオ、そして数種類のゴマもよく使います。オレンジの花やバラの花のエッセンスを作ってお菓子に加えるなど、繊細でロマンチックなところもあります。
ロマンチックと言えば、ベドウィンの男性たちはしばしば詩を作ります。水を求めて移動を続けるベドウィンの人々は、男性が家畜の世話をするのに対し、女性は水汲みやテントの材料となる布を織ったりして生活しています。色鮮やかな布を身に纏った美しい女性たちにインスピレーションを受けたり、美しい月を眺めて詩を作ることもあるんですよ。
JORDAN ORIENT SWEET
ヨルダンコーヒーに欠かせない伝統的なスイーツの詰め合わせです。
ナツメヤシ、くるみ、ピスタチオなどをふんだんに使い、見た目も美しいお菓子です。
※掲載情報は 2015/01/21 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ヨルダン・ハシェミット王国
海と砂漠をつなぎ、東洋と西洋との架け橋でもあるヨルダン・ハシェミット王国は、肥沃で千変万化のヨルダン渓谷から、広大で静寂に包まれた、人里離れた砂漠の渓谷まで、心を奪われるような美しさとコントラストを備えた場所です。 古代世界の 8 番目の不思議とも称されるペトラ遺跡は、ヨルダンが世界に誇る貴重な宝であり、観光の最大の目玉となっています。 2000 年以上前にこの地に定住した勤勉なアラブ人の一族ナバテア人は、切り立つ岩壁を削り、他に類を見ない大都市を建立しました。こうして誕生したペトラは、中国、インド、アラビア南部とエジプト、シリア、ギリシャ、ローマを結ぶ、絹や香辛料などの交易都市に発展しました。そして世界でも有数の壮大で神秘的な景観を持つヨルダンの死海の最大の魅力は、何と言っても温かく心地よい塩水。海水の数十倍もの塩分濃度で、驚くほど温かく、大きな浮力を持つ海水は、ミネラルを豊富に含んでおり、古代からエジプトの女王クレオパトラなどを魅了し、以来、多くの旅人を惹き付けてきました。多くの人々を魅了するヨルダン・ハシェミット王国の魅力を食を通じてご紹介いたします。