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開催史上最多エントリーの中でワールドベスト・カテゴリーに
「ワールド・ビア・アワード」は2007年からイギリスで毎年開催される世界のビールを対象としたビアコンペティションです。今年は36ケ国より開催史上最多の1,900以上の銘柄がエントリー。そのエントリービールは、「Taste」分野と「Design」分野で審査が行われます。
「Taste」分野では8カテゴリーに区分され審査します。審査は三段階あり、第一段階ではカテゴリー内のビアスタイルごとにブラインドテイスティングを行い、出品国内でのビアスタイルのベスト（カントリーウィナー）を決定します。第二段階ではそのカントリーウィナー同士がビアスタイル毎に競い、ワールドベスト・スタイルが決定。そして第三段階ではカテゴリー内のワールドベスト・スタイル同士で競い、最終的に「ワールドベスト・カテゴリー」が決定します。
今年は日本からも過去最多となる118銘柄が出品。その中でカントリーウィナーを獲得したのは41銘柄。そこから最終の第三段階の審査へ進むことができたのは、ラガーカテゴリーで、ワールドベスト・ドルトムンダーとなった田沢湖ビール（秋田）『ピルスナー』とワールドベスト・ヘレス/ミュンヘナーの富士桜高原ビール（山梨）『ミュンヘンラガー』、そしてベールビールカテゴリーでのワールドベスト・ビター4％〜5％でオラホビール（長野）『キャプテンクロウ エクストラペールエール』、スタウト＆ポーターカテゴリーでワールドベスト・フレーバードスタウト/ポーターで宮崎ひでじビール（宮崎）『栗黒』の4銘柄のみ。その中で『栗黒』が2017年の「ワールドベスト スタウト＆ポーター」に輝きました。これは4年ぶりとなる快挙です！
「ああ、おいしい」余韻の中で浮かぶ素直な言葉
実は、この『栗黒』は北米販売限定のビールです。
約5年前、宮崎ひでじビールはオリジナリティで日本らしいキャラクターのあるビールを北米向けに醸造することを決意します。そこで、現地の味覚や嗜好にフィットするハイエンドな商品作りにターゲットを絞ります。選んだのはハイアルコールのエイジングビール。これは、長期航海の輸出向きというメリットもあり、且つ長期熟成で好みのタイミングで楽しむことができるというビアマニアの心を大いにくすぐる魅力があります。
様々な商品開発を重ね、宮崎産の栗を使ったビールに決定します。限定醸造している『スタウト』をベースに、輸出に耐えるためにほぼすべての原料を通常の1.5倍使用。そして、栗をむき栗にしてペースト状にして加えます。ビールのラベルには宮崎県延岡市の内藤家の「天下一の能面」をモチーフとしたデザインを施し、日本の、そして宮崎の魅力をビール全体で表す『栗黒』が完成。いよいよ北米へと送り込みます。
栓を開けると、甘やかな栗の香りが鼻をくすぐります。そんな豊かな香りを楽しむためには、こんなビールはぜひラウンド型のグラスに注いでください。グラスにこもる豊かな栗の香を楽しんだら、ゆっくりと口を近づけます。最初に飛び込んでくるのはほっこりとした栗の甘さ。そして焼き栗のような香ばしさや栗の甘さを引き締める程よい苦味へと変化し、かすかな酸味も感じながら名残惜しくも喉の奥に消えていきます。でも、喉の奥には柔らかな栗の甘さがいつまでもいつまでも余韻となって、実に幸せな時が続いていきます。
出てきた言葉はシンプルに、「ああ、おいしい」。余計な言葉は要りません。
とにかくゆっくりと大事に愉しみたい、そんなビールなのです。
北米を訪れたら是非探してみてください
今回の受賞を受け、国内外から多数の祝福が届いています。国内での販売もぜひ期待したいですが、残念ながら2017年10月現在国内出荷は未定です。
現状は、アメリカのワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州、コロラド州 ニューメキシコ州、ミネソタ州、イリノイ州、ルイジアナ州、フロリダ州、ジョージア州 ノースカロライナ州、ワシントンDC、バージニア州、メリーランド州、ニューヨーク州、ニュージャージー州の18州で流通しており、販路は徐々に広がりつつあります。
入手困難と言われれば、ますます思いはつのります。北米を訪れたら、この日本の誇るビールをぜひとも探してみてください！
※このビールは日本の酒税法では発泡酒となります。
※掲載情報は 2017/10/22 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト/パンコーディネーター
宮原佐研子
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』（ワイン王国）、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』（宝島社）、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』（KADOKAWA）他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ？パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。
