地中海エリアを中心に世界中で愛されているオリーブオイル。日本ではイタリアのイメージが強いかもしれませんが、スペインがその生産量の約４割を担っています。世界一の産出国であるスペインのオリーブオイルは、品質や味わいも世界最高水準。ワインと同じように、品種や地域によって風味が異なり、料理によって選び味わうのが一番のおいしい食べ方。今回は、そんなスペイン産オリーブオイルの数々をご紹介します！

オリーブオイルソムリエの資格を持つ料理研究家の尾田衣子さんが魅了されたのは、白いボトルがスマートなエキストラヴァージンオリーブオイル「エグレヒオ」。日本で開催のオリーブオイルの国際コンテスト【オリーブオイルジャパン】で最優秀賞に輝いた一品。青草のような青々しい香り草木の風味が感じられ、口に含むとフルーティーさにスパイシーさ、辛みが伴いなんとも複雑なバランス。サラダや魚介よりもお肉に良く合います。

人口200人に満たないスペインの小さな村で作られている幻のエキストラヴァージンオリーブオイル「モンサセル」。青りんごのようなフルーティーな香りとまろやかで果実感豊かな味わいの中に、後からほのかにピリッとしたキレのあるスパイシーな辛味が広がります。香りも味わいも主張し過ぎず料理を選ばないので、日本フードバランス協会代表の小針衣里加さんは、抹茶塩やカレー塩に少量加えてバケットにつけて食べているのだそう。

スペイン・アンダルシア地方のグラナダ県アクラ村にある小さな家族経営の会社で作られるのが、「オーメッド」。ホヒブランカ・ピクアル・アルベキーナのオリーブ３種に柚子の実を10%加えて一緒に絞り、柚子の香りが豊かに広がるオリーブオイルです。日本から実を持ち帰ったという柚子が使われていることもあり、スペイン産にもかかわらず驚くほど和食に合う味わいで、味噌汁やうどん、いなり寿司との相性も抜群です。

世界一の産出国スペインで８割の生産を占めているのが南部のアンダルシア地方。そのアンダルシアにあり、ヨーロッパの一流レストランから高く評価されている『カスティージョ・デ・カネナ』社の「冷燻オリーブオイル アルベキーナ種」は、燻製のフレーバーのあるオリーブオイルです。エキストラヴァージンオリーブオイルの繊細な味をこわさずに、スモーキーな香りをプラス。生食でおいしいスモークオイルはお刺身と合わせてどうぞ。

スペインの侯爵家がオーナーの農園が造るオリーブオイル「スエルテ・アルタ」は、鮮度のために収穫して20分から2時間以内に搾油する驚くべき工程で作られています。赤いボトルのピクアル種100％オイルは、若々しく爽やかで独特の苦みがあり、肉料理などの強い味にも負けません。３種をブレンドした紫のボトルは、濃厚なオリーブオイルの香りを楽しめます。建築デザイナーでもあるオーナーがデザインした美しいボトルにも注目です。

スペイン南部のアルメリア砂漠地帯で作られる「オロ・デル・デシエルト」は、品質に徹底的にこだわり、オリーブの実を伝統的な手摘みで丁寧に収穫しています。無傷のままの鮮度抜群な状態で4時間以内に低温圧搾。酸度0.8％以下と規定があり、0.3%以下が最高級とされるエクストラヴァージンオリーブオイルの中でも、酸度0.1％という世界でも最高の品質を誇ります。フランスパンに合わせるだけでごちそうになるおいしさです。

スペインではオリーブオイルの生産にビクアル種が多く使用されますが、豊かな風味とやわらかい果肉の貴重なマンサニチャ種を使用する『アズ・ポンティス社』。そのエキストラヴァージンオリーブオイルをベースにしたチョコレート風味のフレーバーオイル「Vieru」は、ビンの蓋を開けると一瞬でチョコレートの香りが広がります。バナナにかければまるでチョコバナナ、アイスやパンケーキはもちろん、生ハムのような食材とも楽しめます。

アンダルシア地方セビージャ在住でオリーブオイルの専門家である田中富子さんがおすすめするエキストラヴァージンオリーブオイルが、『FINCA LA TORRE（フィンカ・ラ・トーレ）社』の「HOJIBLANCA（オヒブランカ種）」。無農薬有機農法として知られるバイオダイナミック農法で栽培され、フルーティー度が高い上級者向けのオイル。定番のサラダやパンはもちろん、卵かけごはんや納豆にもおすすめです。