カレー風味は万能調味料。かけるだけのお手軽カレー味

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カレー味の調味料。その扱いの難しさを軽々超える驚きの完成度

先日幕張メッセで開催されたFOODEXに出向いた。食品関係のトレーディングショーだ。業界の動向を見たり貴重な講演をやっていることもあるので、スーパーマーケットトレーディングショーと共になるべく行くようにしている。海外ブースが目立った感があった今回、日本のメーカーブースで気を吐いていたのが『エスビー食品株式会社』。大きなブースは赤と緑に塗り分けられており、大きく掲げられたテーマタイトルがイカしている。

 

一つは大ブームがやってきている「パクチーの魅力」。それと「カレーの可能性」。ストレートでとても良いと感じた。

カレー風味は万能調味料。かけるだけのお手軽カレー味

その中でかなり一点突破的なテーマ性を強く打ち出している提案、「日本全国 朝・昼・晩カレー化計画」というのがある。そうきたか。これは最高だ。カレーとスパイスの楽しさ、おいしさ、可能性を、あらゆるジャンルを超えて広げるというミッション。「普通の人たち」がスパイスの効果を気にし、草の根でのサークル等の単位でスパイスを学び、カレー外食も活況を呈している。10年ぶりのカレーブームともささやかれている今、業務用カレー粉市場で8割超えのシェアを持つメーカーが使命と考えて動くのは頼もしい。シンプルに原点回帰を打ち出したその勇気を強く支持したい。

カレー風味は万能調味料。かけるだけのお手軽カレー味

展示される新製品も多い中、わたしの目を釘付けにしたのがコレ。チューブ入りの「トッピングカレーペースト」だ。

 

これこそまさに「ありそうでなかった」ものの筆頭だと思われる。

 

トッピング調味料は数あれど、これほどまでにカレーを前に押し出すものはなかった。

 

想像だが、今までは製品企画の段階で「それってカレーそのものでしょ」という話になってしまったのではないだろうか。カレーは何の食材をあわせてもカレーになってしまうという強さとも難しさともとれる性質がある。カレーそのままでは調味料としては立ち行かない。それをあえて製品にしたのだ。俄然、興味が湧いた。

 

早々に入手して試してみることにしたのだが、これが面白かった。

カレー風味は万能調味料。かけるだけのお手軽カレー味

まずはスプーンに少し出して味を確かめる。第一印象は「あっ!これは赤缶マヨネーズかも」という感想。

 

そう、コンシューマー向けのエスビー食品の看板にして土台のあのカレー粉。赤缶の香りがする。これは良い。

 

赤缶のチャームポイントはあの香りと少し辛めに仕上がるところ。わたしも愛用しているが、あの特徴は生かすも殺すも腕次第で上手にやらないとどうしても「赤缶味」になってしまう。その面白さを知った上で使うと、万能のカレー粉になるものだ。このチューブ入り調味料はその香りがする。

 

それとマヨネーズ。味そのものではなくて、何にでもさらりと融合してしまうマヨネーズの中毒性と親和性。そこに近いものを持っているのではないか、という予感がする。

 

さて、使ってみよう。

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まずは単純に。揚げ物にかけるのはどうだろう。おや、これはいい。

 

エビフライと唐揚げを用意してストレートにかけてみた。意外やあまり強く主張してこなくて狐につままれたような気分である。香りはあのいい匂い、S&Bの赤缶を思わせる匂いが漂うが、それによってかけたものの味が一気にカレー味だけにならないのが使い勝手がいい。これは良いのではないか。

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ちょいと思い立ってチャパティを焼いた。
チャパティは小麦粉と水、塩だけで作るシンプルなインドの無発酵パンだ。これに野菜、芽キャベツのガーリックロースト、プチトマトをサンド。

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ここに「トッピングカレーペースト」にオリーブオイルと胡椒を混ぜてドレッシング仕立てにして使ってみた。単体で舐めてみると、主張ある強い味のS&B トッピング カレーペーストであったが、ドレッシング仕立てにして食べるとこれが不思議。

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カレー味が途端に裏方に回り、バランスよく自分のパートをこなす職人肌の仕事をしてくれる。これには驚いた。

 

主張の強さから野菜が負けるのではないかとおそるおそるかけたのだが、全く杞憂であった。野菜にはきついと思っていたのだが、思わずドレッシングに仕立てていないチューブの方を追加してしまった。これまた破綻ない。

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お次は豆腐サラダにも。豆腐はねっとりとクリームチーズのように味も濃く粘りある良いものを奢る。そして先ほどのドレッシング。これがまた、まったくうまい。

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思い余って用意したネギトロ巻き。

 

自分でも何をやっているんだ私は、と思いつつ、えいやっとかけて口に運ぶとあれれ!意外や違和感がない。これはどうしたことか。なんなんだ、これは。

 

なんというか、不思議で面白いバランスに着地させたものだと思う。

 

DJがスライダーをスムーズにスライドさせてターンテーブルを行ったり来たりするように、画家が美しくグラデーションを表現するように、カレー味だけにはならずに味がシームレスにカレーとその食材の融和点に向かってゆく感がある。手に馴染んだ道具のように自分の意思でコントロールできるのだ。強くもほんのりも、思うがままなのだ。

 

先ほども書いたが、カレーというもの。他の料理食材を飲み込んでしまうような強さと、難しさがある。それを上手にバランスさせている。まさかカレー風味調味料でこれだけのものが出てくるとは思ってもいなかった。本当に面白い。

※掲載情報は 2017/03/29 時点のものとなります。

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キュレーター情報

飯塚敦

カレーライター・ビデオブロガー

飯塚敦

食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が10年目で総記事数約4000、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする構成で読者の信頼を得る。インドの調理器具タンドールの取材で09年秋渡印。その折iPhone3GSを購入、インドにてビデオ撮影と編集に開眼、「iPhone x Movieスタイル」(技術評論社 11年1月刊)を著す。翌年、台湾翻訳版も刊行。「エキサイティングマックス!」(ぶんか社 月刊誌)にてカレー店探訪コラム「それでもカレーは食べ物である」連載中。14年9月末に連載30回を迎える。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。「ツーリズムEXPOジャパン」にてインドカレー味グルメポップコーン監修。定期トークライブ「印度百景」(阿佐ヶ谷ロフトA)共同主催。スリランカコロンボでの和食レストラン事業部立ち上げの指導など多方面で活躍。

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