ヌーヴォーだけじゃない、ボージョレの実力を存分に味わう

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美青年が生む「混沌」、「爆薬」という名のワイン

ヌーヴォーだけじゃない、ボージョレの実力を存分に味わう

ボージョレ・ヌーヴォーと聞いて、それが「ボージョレ地区で造られる新酒(ヌーヴォー)であること」までは知っていても、そのボージョレ地区で、「ヌーヴォーではない普通のワインが造られていること」、そのボージョレ地区も「さまざまな村があって、村によって格付けがある」、とまでご存知ないというかたもいらっしゃることでしょう。一言、「もったいない!」 とちょっと声高にいってしまいたいぐらい、ボージョレは日本のテーブルにあう素敵なワインの宝庫なのです。ガメイというブドウ品種の持つ軽やかさ、チャーミングさは、ミネラル感たっぷりの早摘みジャムのようで、これが不思議に和のお出汁やみりん、軽めの醤油などにあいます。さらに優れた区画、樹齢の古い木から生まれるガメイは、大地の豊かさ体に染み入る滋味が奥底に。軽やかなテイストの芯の部分に儚げながら力強さが宿ります。こうした恵みを生かしたボージョレのワインメイカーたちの挑戦は、ヌーヴォーの陰に隠れて見逃されがちですが、素晴らしいものなのです。

ヌーヴォーだけじゃない、ボージョレの実力を存分に味わう

ヤン・ベルトラン。まだ20代の彼もまた、ボージョレで注目すべきワインメイカーの一人。ボージョレ地区の中でも格付け村である、フルーリーとモルゴンにてワイン造りを行っていますが、そのどれもが彼のこの爽やかな写真からは想像がつかない複雑で大人びて、時に難解ながらも結局は飲みやすいという、どこか現実ではない世界に連れて行かれてしまうような不思議な感覚を受けます。特に樹齢60年のガメイをガメイとシャルドネの古樽(1995年~99年)で熟成させた「白ラベル」の『フルーリー キュヴェ・デュ・カオス』は、異色。美少年的なフレッシュな飲み口ながら後味、余韻は大人のいやらしさ。山小屋、暖炉の前、ふかふかのムートンの上で裸で抱き合うピュアな未成年、そんな背徳と美しい純粋さ。まさにカオス、混沌の世界。一方で、「赤ラベル」の『モルゴン キュヴェ・ビオ・ダイナマイト』は、樹齢70年のガメイをシラーとヴィオニエという南仏的な樽で熟成。明るく楽しい大人の飲み応え。カオスに比べてまさに、飲んだ人が陽気に弾けられる、可憐なダイナマイト。ボージョレという場所、ガメイというブドウを巡る楽しい冒険を、ぜひ。

※掲載情報は 2015/02/04 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岩瀬大二

ワインナビゲーター

岩瀬大二

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。

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