魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

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うまみ爆弾

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

これは広島・江波産の牡蠣を丸ごと高温でプレスして焼いたもの。厚さは2mmもない極薄で、かりっと焼き上がっているから煎餅のように見える。しかし、ぱりぱりと2〜3口噛んだところでうまみがどーんと爆発するのだ。

 

亜鉛っぽい匂いが鼻腔から抜け、天然のうまみが舌の上をひたひたと浸していく。合間にほんのり顔を出す上品な苦みもまるで牡蠣そのもの。これが広島の「巴屋清信」(ともえやきよのぶ)が作り出す「海鮮しぼり焼き」という逸品であります。

手焼き煎餅の技術を昇華

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

同社は昭和28年に創業し、地元の人たちに長らく愛されてきた煎餅店だ。生地を熱した型で挟んで焼き上げる煎餅は、両面に香ばしい焦げ目がつき、中はふわりと軽い食感に仕上がっている。ほんのり甘みのある昔ながらの味だ。

 

業種でいえば和菓子店に分類されると思うのだが、それがどうして魚介類を使うようになったのか。

 

平成21年のある日のこと。地元の漁業者が「牡蠣の加工品を作れないだろうか」と、生牡蠣を持って清信さんのもとに相談に来た。広島の牡蠣生産量は年ごとに減少しており、当時は最盛期の約半分にまで落ち込んでいた。単価も上がっているので、生牡蠣の出荷だけではいずれ立ち行かなくなるかもしれない。そこで、牡蠣の加工品を開発してくれる業者を探していたそうな。

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

しぼり焼きを開発した清信浩一社長

 

清信さんは、試しにその生牡蠣を煎餅の型で焼いてみた。すると牡蠣の水分が飛んでうまみが残り、美味しい牡蠣煎餅のようなものが出来た。

 

「これはいける」と清信さんは確信したのだが、実際の商品化にはその後1年半も掛かってしまった。というのも、プレスして焼いた牡蠣は、常温で半日程度しか保たなかったのだ。煎餅のプロとしては、常温で保存できる商品でなければ納得出来ないのである。

 

生牡蠣は身の約8割が水分といわれる。水分は変敗の元になるから、高温で一気に水分を飛ばす必要がある。何度も試作していくうちに、既存の煎餅の型ではうまく出来ないことが判った。

 

その後、専門業者と相談しながらオリジナルの焼き型を開発。商品パッケージにも工夫を凝らし、脱酸素剤などを同封した。そうして完成したのが保存料不使用、賞味期間1年の「海鮮しぼり焼き」シリーズなのだ。

味わったことのない魚介本来の風味

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

これは生しらすのしぼり焼き。原料は広島・江田島産の生しらす(片口いわし)だけで、塩すら使っていない。ひと口頬張ると、まずいわしの香りが立ち昇り、次にほんのりとした甘みと塩味がにじみ出てくる。

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

これは“はも”のしぼり焼き。一見、煎餅の中央にはもの切り身を乗せて焼いたように思えるが、そうではない。切り身をぎゅっとプレスした結果、柔らかい身の部分が広がり、上に皮が残ったのであります。

 

はもは淡泊な魚だ。しかしこうして食べてみると、意外にも脂が乗っているのが判る。香りは少しタラに似ている。しぼり焼きにすることで、今まで判らなかった本来の風味が味わえる。

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

これは「でべら」と呼ばれるヒラメの一種。こうなるともはや干物にしか見えない。しかし、これもしぼり焼きである。だから焼いたりせずこのまま食べられる。頭の部分はほろ苦く、腹の部分もちょいと苦いが、その中に肝の濃厚なうまみが含まれている。誠に贅沢な味である。

魚介の滋味そのものを味わう!広島のあらたな名物「海鮮しぼり焼き」

広島市中区にある巴屋清信本店。

 

海鮮しぼり焼きは、他にも「たこ」と「さより」が発売されている。冒頭の画像で、皿の一番上に乗っているのがさよりであります。

 

漁業者の要請に応えることから始まった同シリーズも、今では「ザ・広島ブランド」「瀬戸内ブランド」に認定されている。ぐるなび「こちら秘書室」でも「接待の手土産2016」を受賞するなど、多くの人から絶賛される商品へと育った。

 

価格は牡蠣(864円)、しらす(648円)、はも(972円)と、付加価値に見合った価格になっている。ギフトに最適のイッピンであります。

ごちそうさま!

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巴屋清信

※掲載情報は 2016/12/29 時点のものとなります。

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キュレーター情報

黒川勇人

缶詰博士

黒川勇人

昭和41年福島県生まれ。平成16年から世界の缶詰を紹介する『缶詰blog』を執筆。缶詰に精通していることから"缶詰博士"と呼ばれ、TVやラジオ、新聞など各種メディアで活躍中。国内外の缶詰メーカーを訪れ、開発に至る経緯や、製造に対する現場の“思い”まで取材するのが特徴。そのため独自の視点から缶詰の魅力を引き出し、紹介している。
著書は『おつまみ缶詰酒場』(アスキー新書)、『缶詰博士・黒川勇人の缶詰本』(タツミムック)、『缶づめ寿司』(ビーナイス)、『日本全国ローカル缶詰 驚きの逸品36』(講談社プラスアルファ新書)『缶詰博士が選ぶ!「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社プラスアルファ新書)、『安い!早い!だけどとてつもなく旨い! 缶たん料理100』(講談社)など。小曽根マネージメントプロ所属。
お問い合わせ Mail:k-k@kosone-mp.com

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