現存する最古の醸造所のビール「ヴァイエンシュテファン」で純粋令に乾杯!

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ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とすべし

現存する最古の醸造所のビール「ヴァイエンシュテファン」で純粋令に乾杯!

1516年、バイエルン公国の君主ウィルヘルム4世は「ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とすべし」というお達しを出しました。当時、ドイツの南部バイエルン地方周辺で醸造されていたビールは、大麦の他の穀物を混ぜてビールを造ることもあり、品質が安定していませんでした。一方、北ドイツで醸造されるビールは品質に定評があり、それに追いつけ追い越せと、この「純粋令」が発令されたのだそうです。この令は品質保証の法律として世界最古のひとつとも言われており、ドイツでは今もこの法律を遵守して、ビール造りを続ける醸造所がたくさん存在し、日本でもその影響を受け純粋令に則ったビール造りで醸造しているところも多数あります。でも、ドイツビールをよく知る方なら、ここでちょっと疑問に思うかもしれません。そう、ドイツにはドイツビールの代表のひとつと言える小麦を使ったビール“ヴァイツェン(またはヴァイス)”があります。でも、純粋令では小麦のビールは造ってはいけないことになってしまいます。

宮廷がこっそり飲んだ?現存最古の醸造所ビール

現存する最古の醸造所のビール「ヴァイエンシュテファン」で純粋令に乾杯!

この令が制定されたもうひとつの理由は、食料対策でした。当時、不作の時に小麦やライ麦をパンのために確保する為、ビール醸造には廻さないようにすることもその目的だったのだそうです。とはいえ、小麦を使ったビールのおいしさは多くの人が認めていて、この純粋令が施行された後も、宮廷直営の醸造所では小麦を使ったビールを醸造し、こっそり楽しんでいたのだそうです。

 

今回ご紹介するのは、純粋令が施行される前、725年創建された修道院を起源とするヴァイエンシュテファン醸造所のヘフェヴァイスという小麦を使ったビール。この醸造所は現存する醸造所の中で最古と言われており、バイエルン王室の醸造所でもありました。

 

小麦ビール特有の細かく白い泡。そして、ふわりと香りたつアロマはバナナのような甘い香りとクローブのようなスパイシーさもあり、ハチミツのような大人の甘味を楽しめる、世界中の人に愛され続けるロングセラーの人気ビールです。まるで上質の桃を食むようなこのやわらかなおいしさは、当時の宮廷の人たちが独占したくなるのも、おもわず納得してしまいます。

 

ビールの歴史にとって欠かせない、ドイツビールの歴史的な日がまもなくやってきます。ビールの歴史に想いをはせ、そしてその美味しさに感謝をこめて、「プロースト!(ドイツ語で乾杯)」と乾杯しましょう!

※掲載情報は 2016/04/17 時点のものとなります。

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キュレーター情報

宮原佐研子

ビアジャーナリスト/パンコーディネーター

宮原佐研子

日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。

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