最高の塩で素材を味わう「奥能登しおポテトチップス」

最高の塩で素材を味わう「奥能登しおポテトチップス」

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ポテトチップスって、ジャンクな食べ物だと思っていませんか? 少なくとも、私はそう思っていました。いろんなシーズニングで味が濃くつけてあって、食べたあとも口の中や鼻の奥や指先に香辛料の香りが残っているような……。それはそれでビールのお供にするにはちょうど良かったりしますし、時々無性に食べたくなったりもするのですが、今回ご紹介する「奥能登しおポテトチップス」は、そんな従来のポテトチップスとは一線を画すものでした。

 

原材料は、国産じゃがいもと、奥能登の揚げ浜式塩田製法で作られた塩のみという潔さ。従来のポテトチップスをイメージして口に運ぶと、一瞬「あれ? 塩味がしない?」と思ってしまうくらい、非常に薄味です。そもそも塩は素材の引き立て役。よい塩は、少量使うだけで素材の味わいを引き立ててくれる縁の下の力持ち。ということで、塩味が感じられるか感じられないか、そのぶんじゃがいものおいしさが前面に出てくる、ギリギリの配合量になっています。ものすごく「おいしいじゃがいもを食べている」という感じが強いのです。素材本来の味わいを最大限引き立てる。これぞ、良い塩を適量使った時にだけ楽しめる醍醐味なのです。

 

このポテトチップスに使われている塩は、石川県の奥能登にある揚げ浜式塩田で製造されています。かの地には古くから多数の揚げ浜式塩田がありましたが、塩だけの生産に留まり、あまり製品開発は活発ではありませんでした。しかし数年前から、しおサイダー、しおゼリー、しおシャンメリー、シーズニングソルト、そしてこのポテトチップスなど、さまざまな商品が発売されるようになってきました。いったい誰が仕掛けたのでしょうか?

最高の塩で素材を味わう「奥能登しおポテトチップス」

仕掛け人は、株式会社Anteの代表・中巳出 理さん。上品な佇まいの中に、熱く燃える情熱を持つ女性です。石川県加賀市に生まれ、華道の師範として活躍されていましたが、従来のやり方に疑問を覚え、新しい流派を創設。さらには30代から現代彫刻に目覚め、突如の転身。にも関わらず数多の賞を受賞し、国の奨学金を経てアメリカに留学。さらには、海外に着物文化を広げるECサイトを創設したり、その情熱と実行力は半端なものではありません。自らを「保守的な石川県では常に異端児で、これまでは地域に背を向けて生きてきました」と評しますが、60歳を過ぎて、残された付録の人生を地域に目を向けて生きていきたいという気持ちが強く沸き起こり、地元石川県に戻りました。そして、奥能登に広がる塩田の存続、つまり故郷の里山の存続に危機感を覚え、地域の特産品である「揚げ浜式塩田製法の塩」を活用した商品を開発するために、同社を設立するに至ったそうです。紆余曲折を経て、理念に共感してくれた塩職人の元にスタッフを修行に行かせ、自社で揚げ浜式塩田を設立したり、「しおcafe」を運営したり。生み出した商品は、数々の賞を受賞しています。

 

「私の人生に余生は無いとしみじみ感じています。生涯青春です」と話す中巳出さん。

 

中巳出さんの想いに共感したという方も、「ポテトチップスってジャンクな食べ物じゃなかったんだ」ということを体感したい方も、ぜひ一度、このおいしさをお試しあれ。

 

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株式会社Ante

※掲載情報は 2018/01/22 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青山志穂

ソルトコーディネーター

青山志穂

東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。

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