世界遺産認定も近い!? 伊豆で作られるクラフトビール「反射炉ビヤ」

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伊豆に縁ある二人の人物がビールになりました

伊豆にゆかりのある歴史上の人物、幕末の伊豆韮山代官の江川太郎左衛門英龍と戦国大名の北条早雲を彷彿させるクラフトビールがあります。伊豆地元で明治時代から造り酒屋を営んでいた蔵屋鳴沢が、太郎左衛門と早雲をイングリッシュペールエールとアメリカンペールエールをイメージして、伊豆の良質の水でクラフトビールつくりました。今回はその2つのビールについて、ご紹介します。

まもなく認定か!伊豆韮山の「反射炉」の歴史

世界遺産認定も近い!? 伊豆で作られるクラフトビール「反射炉ビヤ」

1853年、黒船襲来は当時の江戸幕府を大きく揺さぶる事件でした。1840年のアヘン戦争を契機に列強諸国に対抗するため、近代的な軍事技術や制度導入で軍事力強化の必要性を進言していた伊豆韮山(現:伊豆の国市)代官の江川太郎左衛門英龍は、国防強化のために鉄製砲などを造るための鉄を溶解する反射炉と品川台場築造の責任者に就任します。当初は、下田港に近い下田市内に反射炉を築造する予定でしたが、ペリー艦隊の水兵が工事現場に忍び込むという事件がおきたため、急遽、韮山に変更します。しかし、韮山での築造はなかなか進まず、太郎左衛門英龍は完成を見ることなく逝去。後を息子の英敏が引き継ぎ、安政2年(1857年)に韮山反射炉が完成しました。

 

(写真は、反射炉(左)とその前に立ち炉を見上げる太郎左衛門英龍の銅像(右))

太郎左衛門をイメージした看板のイングリッシュペールエール

世界遺産認定も近い!? 伊豆で作られるクラフトビール「反射炉ビヤ」

太郎左衛門英龍はその他にも、日本初の西洋式民兵部隊「農兵」も提案しその訓練の際に「右向け右」などのフレーズを考案。また、日本で初めてパンを作ったことから“パンの祖”とも呼ばれています。実は現代の私たちにも親しみ深い物事を作った人物でありながら、彼の名はあまり知られていません。そんな彼のイメージに重ねあわせ、反射炉のすぐ脇にある反射炉ビヤのブルワー阿久沢氏の造ったビールが、素朴な味わいながら奥深さのある「太郎左衛門(イングリッシュペールエール)」です。

 

2014 年に大幅にレシピをリニューアルしたという看板メニューのこのビールを口に含むと、奥深いモルトの味わいが口の中いっぱいに広がります。イギリスではペールエールのパイントをゆっくり味わうのが主流。反射炉の完成を心待ちにしていた太郎左衛門英龍の無念に想いを馳せつつ、モルトのスムースな苦味をゆっくりと味わってみてください。

北条早雲をイメージした下克上な?アメリカンペールエール

世界遺産認定も近い!? 伊豆で作られるクラフトビール「反射炉ビヤ」

さらに歴史を遡ること約400 年、伊豆韮山で活躍した歴史上の人物に北条早雲(別名:伊勢盛時)がいます。1493年、早雲が堀越公方足利政知の子茶々丸を襲撃して滅ぼし伊豆を奪った事件は、その後の戦国時代の幕開けとなり、下克上のはじまりともいわれています。その伊豆討入りを果たした早雲は、韮山に城を構え伊豆の国を統治します。一説には、一介の流浪人であった早雲が下剋上により戦国大名にまで伸し上がったともいわれ、そんな彼をイメージして造ったビールが「早雲(アメリカンペールエール)」です。 

 

その昔、大手ビールメーカーの天下だったアメリカは、もとは一個人であった自家醸造家たち(※)が立ち上げたクラフトブルワリーのビール旋風が近年巻き起こり、いまや大手に脅威すら与えています。その下克上のイメージと早雲を重ね造ったビールは、発酵時に数種のホップを使う他に、白ワインやレモングラスのようなハーブを思わせる香りが特徴のドイツ産ホップ ハラタウブラン(Hallertau Blanc)を発酵後のビールに投入し、香り豊かなアメリカンペールエールに。今年から新たに定番ビールにラインナップしたこのビールの、爽快で華やかなホップのフレーバーはきっとやみつきになります。

 

※日本国内では、アルコール度数1度以上の酒類の自家醸造は法律で認められていません。

まさに好対照なふたつのペールエールです

日本の製鉄技術導入の黎明期を象徴する韮山反射炉は、「明治日本の産業革命遺産」として日本政府がユネスコ世界遺産センターに推薦し、認定がまもなくと言われています。その報道を受けて、すでに観光客も増えているという反射炉周辺。緑溢れる中にそびえ立つ炉の姿を眺めつつ、この地を盛り上げた二人の英雄からインスパイアされた好対照なペールエールを、ぜひ飲み比べてみてください!

紹介しているお店
反射炉ビヤ(株式会社 蔵屋鳴沢)

※掲載情報は 2015/05/30 時点のものとなります。

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キュレーター情報

宮原佐研子

ビアジャーナリスト/パンコーディネーター

宮原佐研子

日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。

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