甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

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江戸時代の加賀藩によって、金沢「落雁」技術は高まった

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

石川県白山市にある麹屋さん「木村屋糀店」を訪れた時に出会った。発酵料理研究家としては、外せない。糀に関するいろいろなお話をしていると、冷たいお茶とお茶うけの和菓子を出してくださった。

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

諸江屋さんの「濃茶楽雁」という生落雁。口に入れた瞬間、甘さとほんのりとした苦みが広がり、思わずどこのメーカーのものか、すぐにパッケージを見直したほど。なぜなら、どこかで食べたことがある味なのだ。

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

一口食べると、中はこんな感じ。

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

加賀藩への献上抹茶を使い、石臼図案の型で作られており、中には粒あんが。原材料は、和三盆糖、寒梅粉、小豆、抹茶とそれぞれの特徴を活かした配合のため、調和の取れた、バランスよい甘さが癒してくれる。この味、色が違うがどこかで食べた記憶がある。確かにこの作り方や歯触り、どこかで舌が覚えている。

 

落雁を作る和菓子屋さんはたくさんあれど、この味は私が横浜で好んで買っていた生落雁に近い。それは、石原裕次郎氏が眠っている神奈川県鶴見区にある総持寺のお土産として、販売されている落雁だった。

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

気になって聞いてみると、やはり総持寺の生落雁は諸江屋さんがつくっているとのこと。不思議なもので、10年前に好みだった私の味の記憶は正しかった。お参りに行くたびに買っていたため、舌が覚えていたのだろう。

 

「濃茶楽雁」の図柄は、茶筅模様緞子(ちゃせんもようどんす)を表現したもの。包み紙と箱をリニューアルし、伝統的な和菓子に更に一歩近づいたような。諸江屋さんの和菓子作りへの誇りを感じずにはいられなかった。小松空港で自分用とお友達へのお土産用に、2箱購入。包装紙は、昔の金沢の地図が伝統を感じさせる。

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

夏で暑い夜だったこともあり、生のペパーミントティーと一緒にいただいた。和菓子の甘さが、さっぱりとした口当たりへと引き締まった。

甘さの中にほんのりした苦味。江戸時代から続く金沢・諸江屋の「濃茶楽雁」

抹茶や玉露もいいけれど、夏の爽やかさを引き立てるハーブティとの相性もよく、甘い「濃茶楽雁」を更においしくいただける新しい発見だった。

 

金沢の江戸時代の歴史を知り、日本三大銘菓が「落雁」であることからも、是非、茶道をしている方への手土産に。そして、金沢の歴史の深さを知るひとときを。

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落雁 諸江屋

※掲載情報は 2016/08/24 時点のものとなります。

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キュレーター情報

高橋香葉

発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー

高橋香葉

「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。

主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等

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