南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

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アフリカ大陸に伝わるオリジナルレシピ「パップ」

前回の記事で、南アフリカ料理には、マレーシアやインドネシアからの影響を受けた「ケープマレー」料理があるとお伝えしました。(https://ippin.gnavi.co.jp/article-8316/


南アフリカの歴史、人種の多様性が南アフリカ料理に多大な影響を与えました。肉料理はもちろん、バラエティー豊かな魚料理も楽しむ事ができます。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

えび、いか、かきの他、Kingklip(キングクリップ)という南半球の国々で好まれる白身魚は、フライ、焼き魚やムニエルとして、Snoek(スノーク)は南半球、特に南アフリカ沿岸で獲れる「ブライ」には欠かせない魚で、塩漬けやスモークにして食されます。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

他国の影響を受けた料理も広く食べられていますが、アフリカに長く伝わる料理も南アフリカの食文化を語る上で欠かす事はできません。その中でも、トウモロコシの実は、植民地が始まる前から、多くの部族によって育てられてきました。現在では、国土の約22%でMaize(トウモロコシ。 アフリカーンではMielie-ポルトガル語が語源)を生産しています。トウモロコシの実はまさに、アフリカ食文化の基礎となるものと言っても過言ではありません。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

現在でも、南アフリカの主食として愛されているのはトウモロコシを乾燥させた粉で作る「パップ」。アフリカに古くから食べられている料理で、野菜やお肉、カレーやシチューのつけ合わせとして食べられています。「パップ」はオランダ語で、英語のポリッジの意味。イタリアでは、ポレンタと呼ばれるものです。南アフリカでは、世界中で展開しているファーストフード店でも提供されている国民食ですが、民族によってそれぞれ微妙に作り方が違います。ある民族は、戸外で鉄の鍋を焚火にかけて作るため、パップに燻製のようなスモーキーな風味が加味されたパップが楽しめます。

世界中のエッセンスが加わったアフリカーナ料理

オランダ、ドイツ、フランスからの移民も南アフリカ料理に多大な影響を与えました。
オランダ料理をベースにフランスやドイツ料理の要素を加えケープマレー料理のスパイシーさを加味した南アフリカ料理は、それぞれの国に先祖をもつ南アフリカ人に郷土料理として愛されています。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

また、ドライフルーツや「ブルトン」’Biltong’と呼ばれるドライミートも南アフリカでは欠くことのできない有名な人気軽食です。空港やショッピングモールでも量り売りされています。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

オランダ人が持ち込んだ"Potjiekos"(ポイキコス)という伝統的な鍋料理が存在します。肉、野菜、スパイスを3本足の独特な鉄鍋で煮込んだシチューで、何時間もかけてじっくりと煮込まれます。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

また、ブルボスという牛肉や豚肉とスパイスで作られたソーセージもドイツ移民によって南アフリカに持ち込まれました。通常1本約1mで1~1.5kg。一口サイズに切って食べます。1本10-15人分くらいのボリュームがあります。ブルボスは、牛7:豚3の配合で作っています。


南アフリカのバーベキュー「ブライ」にブルボスやパップは欠かせません。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

ポルトガルから伝わったスパイスを効かした「ペリペリソース」も有名です。チキンやえびに付けて食べます。他にも味も種類も豊富なスパイシー・ソースが販売されていて、つけ焼きにしたりディップとして使ったり広く愛されている食品の一つです。

南アフリカで愛されるスイーツ

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

南アフリカでは、ヨーロッパ移民の影響もあったので、バリエーション豊かなスイーツを楽しむことができます。オランダのラスク、フランスのビスケット、ドイツのツヴィーバック(甘い卵入りのパンを薄切りにして焼いたもの)などです。スイーツの中でも、南アフリカで最も愛されるスイーツは「ミルクタルト」です。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

カスタードパイのような見た目ですが、生地に卵が入っていて、タルト部分は一般的なタルトよりやわらかく、サクサクとした食感が特徴です。フィリングのカスタードにはたっぷりミルクが入っているので、全体的にマイルドな味わいで、コーヒーのお供に欠かせないスイーツです。

南アフリカに伝わる伝統料理ってどんな料理?

このようにヨーロッパとアジアを中心にさまざまな料理のエッセンスが南アフリカの伝統料理となっています。これほど、世界中の料理の影響を受けている伝統料理は世界でも珍しく、「レインボーカントリー」と呼ばれる南アフリカの所以でもある彩り鮮やかで多様な伝統・文化を継承した独特の食文化として発展してきました。日本でも南アフリカの食材や料理を楽しめる場所がありますので、是非世界中の食文化が詰まった、南アフリカ料理を楽しんでみてください。新宿・荒木町にあるアフリカン・バル「トライブス」では、本格的な南アフリカ料理を堪能できます。(http://www.tribes.jp)

 

※トップ画像はホロホロ鳥のコンフィとクリーミーローストのトウモロコシ(Mielie) ペッパーデュー・ゼリーと赤オニオンのマーマレード添え。

※掲載情報は 2017/02/15 時点のものとなります。

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南アフリカ共和国大使館

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日本の3倍の国土に5400万人、20以上の民族が暮らすレインボーネーション‐南アフリカ共和国。17世紀東インド会社がアジア航路の寄港地、飲食料の補給地として開拓したケープタウン。200万haの自然保護区に、500種以上の鳥類、260種以上の動物、336種類の樹木が生息するクルーガー・ナショナル・パーク。19世紀ダイヤモンド採掘の際人力で掘った地球上最大の穴(鉱山跡)、キンバリー・ビッグ・ホール。豊かな大地で育まれた野菜・果物は、デザート、サラダや加工食品として重要な栄養源です。大西洋とインド洋に面し、魚介類が豊富で、鶏肉・牛肉が好まれ、バーベキュー(Braai)は生活の一部です。ルイボス茶は、本国以外では生育しないユニークな植物。抗酸化作用がありノンカフェインで子供や妊婦・女性に愛飲されています。ワイン造りは、東インド会社の初代総督がぶどうの木を植え、フランスからの移民らによって醸造が始まり350年以上の歴史を誇ります。ビールは世界12位の消費量です。様々な民族特有の食文化が融合した南アフリカ料理は、ワインやビール、フルーツジュースと共に饗されます。南アフリカの逸品をご紹介します。

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