東日本大震災が生んだ山形牛A5の手作り「幻のレトルトカレー」

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今回、ご紹介するのは銀座の和食鉄板焼きレストラン『朔月(さくつき)』さんの、A5ランク山形牛を1袋にたっぷり80gも入れた手作りレトルトカレーです。

 

「レトルトなのに手作り!?」と思う方も多いのではないかと思います。私も最初はそう疑問に思いました。

 

普通のレトルトカレーのように工場で大量に作られているのではなく、山形県の調理場でまな板と包丁で肉と野菜を切って、大きな鍋で作ったカレーを手作業で袋に入れてから、レトルトパックにしているという手間ひまかけて作られたカレーなんです。

 

『朔月』さんで使用しているA5ランクの肉の切り落としを山形県の調理場に送って、現地で手作業で作っているので大量生産が出来ず、毎月限られた数しか作ることができないそうです。

 

また野菜も肉も山形県産、調理場も山形県という拘りが。なぜ山形牛かというと、「南の方の牛肉は脂の香りが良くて美味しいけれど、カレーにすると少し脂っぽく、しゃぶしゃぶ向き。それに比べて北の方の牛肉は赤身部分がしっかりしていて肉らしい味がして、美味しい。鉄板で焼いたり、煮たりするのにむいている」からだそうです。

 

カレーはスパイスの香りが複雑に効いたものではなく、「日本のカレー」という感じの中辛です。1袋(1人前)250gとしっかりとボリュームがあり、満足感もあります。

料理長曰く「ご飯が残っているのに、ルーが無くなってしまった」ということがないように、ルーをタップリにしました」とのこと。

東日本大震災が生んだ山形牛A5の手作り「幻のレトルトカレー」

一緒に付いて来るご飯もJA関係のみで扱われている山形県のブランド米「つや姫」の「厳選大粒米1.95プレミアム」 です。銀座の高級レトルトカレーの存在は噂でも聞いていましたし、「幻のカレー」としてテレビでも見たことがあったので、知ってはいたのですが、実際に食べてみたら想像以上の美味しさでびっくりしました。

 

一般的なレトルトカレーのドロっと重たい感じの味とは違い、まるで台所のお鍋からよそったかのような自然な美味しさだったからです。普通のレトルトと何が違うのかと思わずスプーンにとってマジマジと見てしまったほどです。

東日本大震災が生んだ山形牛A5の手作り「幻のレトルトカレー」

一緒に付いてくるパックのご飯も、私が苦手とする味と香りの違和感がなく驚きました。実はそれまでパックのご飯になんとなく抵抗があり、食べたことがなかったので、「大丈夫かな」と思っていました。しかしカレーと一緒に食べてみると美味しく、やはりカレーとご飯がセットというのは「思いたった時にすぐに食べられて便利!」と思いました。

 

料理長が「拘り過ぎて原価が高くなり過ぎちゃいました」と笑っていたのが印象的でした。まさに妥協を許さない「職人さん」が作ったカレーなんですね。また最近では企業のお土産やノベルティーに利用されることも多いそうです。そういったまとまった数の注文には会社名のシールを作って化粧箱と紙袋に貼ってくれるという嬉しいサービスもあるそうです。

東日本大震災が生んだ山形牛A5の手作り「幻のレトルトカレー」

「日本を震撼させたあの日の出来事」から誕生したカレー

東日本大震災が生んだ山形牛A5の手作り「幻のレトルトカレー」

元々はお店のカレーが大好きな男性スタッフが牛肉の切り落としが溜まった時に賄いとして作っていたカレーで、商品にしようという考えは全くなかったそうです。

 

しかし2011年3月11日東日本大震災のあの日、ちょうど賄いでカレーを作っていて、さて賄いの時間!という時に地震が起きたそうです。都内のエレベーターは全て止まり、交通機関も麻痺して帰宅困難になり、飲食店は閉店、コンビニにも食べ物がない状態で、家にも帰れず、電話も繋がらない状態で不安な中、『朔月』さんは通常営業をしていたそうです。

 

その時に来店したお客様や、ビルの他のテナントのスタッフの方々にもたっぷりあった賄いカレーを食べてもらったそうです。皆が不安になっていたこともあってとても喜んで頂けたようで、後日「あのカレーがもう一度食べたい!」というお客様の声が沢山あり、要望に応えるかたちで肉の切り落としが溜まった時だけの特別メニューとしてお店で出すようになったそうです。

 

それを続けていくうちにテレビの取材を受けるようになり、「幻のカレー」と呼ばれるようになったそうです。震災当日にこのカレーを食べた方々にとっては一生忘れることのない「命のカレー」となったことは間違いないでしょう。

東日本大震災が生んだ山形牛A5の手作り「幻のレトルトカレー」

※掲載情報は 2018/01/18 時点のものとなります。

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キュレーター情報

売間良子

料理研究家

売間良子

外資系企業の役員秘書として従事。結婚後、インターナショナルスクールに通う5人の子供たちの子育てが落ち着いたのを機に、麻布で料理教室「グルメ クッキング ファクトリー」をスタート。家庭で簡単にレストランの味を目指す「おもてなし料理」と「健康&美肌クッキング」教室が好評。又、インターナショナルな環境で経験してきた外国人のホームパーティ、おもてなし術も伝授。料理教室での試食はワインとお奨めチーズと共に。友人宅のようにリラックスして楽しんで頂くことが心情。

(取得資格)
全国料理教会認定准教師資格
全国料理技術検定・上級
NPO日本食育インストラクター
ラフォンテ・イタリア料理研究家養成コース修了
Wiltonコース修了
CEYJapanケーキポップス・ディプロマ取得
食品衛生責任者

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