子供の頃に感動したお菓子 博多名物「鶴乃子」

子供の頃に感動したお菓子 博多名物「鶴乃子」

記事詳細


外側が玉子のようなら内側まで玉子のようだった

子供の頃に感動したお菓子 博多名物「鶴乃子」
子供の頃に感動したお菓子 博多名物「鶴乃子」

この菓子との出会いは、私がまだほんとに小さな子供の頃でした。あれはどなたのお宅だったのか、母といっしょに訪ねた先で、ふわりと軽い包みを一つ渡された光景を今も覚えています。そっと開けると、鶏卵よりは少し小さな、でも鶏卵のように真っ白な、それで鶏卵の形をしたものが出てきました。「玉子みたいだ」。そう思うと同時に「ひょっとして中身まで玉子みたいだったりして」と思いながら、ぱくっと半分口に入れたのです。今思うと、あれは少し日にちが経ってやや固くなっていたのかもしれません。かじり取った残りの半分に、私が期待したとおりに黄身のようなあんがあるのを見たときは、作った人の「ね!」という声が聞こえるようでした。

半世紀探し続けたそれは博多の名物だった

子供の頃に感動したお菓子 博多名物「鶴乃子」

子供は似せたり象ったりするのが好きです。お菓子で玉子を作った工夫が、私には面白くてたまりませんでした。それからまたあのお菓子が食べたいなぁと思いながら、結局それきり全く見かけることがありませんでした。でも、大人になっても気になっていて、あちこち出張するたびに土産物屋さんをのぞいては、あれがないかと探していました。ついに見つけたのがほんの数年前、博多名物「鶴乃子」がそれだったのです。黄身あんをマシュマロで包むハイカラさは戦後のアイデアかと思いきや、明治後期の発明です。当初は淡雪かん(卵白に寒天を合わせる白い菓子)で作り、すぐにゼラチンを使うマシュマロに切り替えたという先進的なお菓子だったのです。

※掲載情報は 2016/02/27 時点のものとなります。

  • 8
ブックマーク
-
ブックマーク
-
この記事が気に入ったらチェック!
子供の頃に感動したお菓子 博多名物「鶴乃子」
ippin情報をお届けします!
Twitterをフォローする
Instagramをフォローする
Instagram
Instagram

キュレーター情報

齋藤訓之

FoodWatchJapan 編集長

齋藤訓之

北海道函館市生まれ。1988年中央大学文学部卒業。レストランビジネスを志していたはずが、レストランビジネスに役立つ本を作る仕事にのめり込む。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、日経BPコンサルティングのブランド評価プロジェクト「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、農業技術通信社「農業経営者」副編集長等を経て、フリーランスのライター・編集者として独立。2010年10月株式会社香雪社を設立し、農業・食品・外食にたずさわるプロ向けの情報サイト「Food Watch Japan」をスタート。著書に「入門 日本の七十二侯と旬の食」(洋泉社)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、「創発する営業」(共著、丸善出版)、「創発するマーケティング」(共著、日経BPコンサルティング)など。

次へ

前へ