右手に火炎瓶、左手にカウボーイ。クラフトビール界に悪魔の双子がやってきた

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じつは北欧からやってきた悪魔の双子

今回は、クラフトビール界を賑わせているイーブル(悪魔の)ツイン(双子)についてのお話です。

 

NYのブルックリンを本拠地とするブルワリー、イーブルツイン。2010年創業、醸造は2011年からスタートとまだ若いブルワリーながらノーマやモモフクといった世界最高レベルのレストランでも提供されているクラフトビール界の注目株です。世界中のビール好きが投票する人気サイト、ratebeerの「2014 世界のベストブルワリー100」では19000もの醸造所の中からトップ10に選ばれています。

 

イーブルツインのオーナーであるイェッペ・ボルグ氏はデンマーク人。ブルックリン本拠地ということでアメリカンビールとして紹介されてしまうイーブルツインですが、じつは北欧発なんですよね。コペンハーゲンで科学の教師をしながら始めたイェッペのボトルショップは瞬く間に人気店となり、自家醸造していたビールも高評価され、縁が重なりNYへ拠点を移すことになったそう。

 

デンマーク人で、科学教師で、苗字がボルグ……ビール好きの方ならどこかで聞いたことのあるキーワードですね。そう、このイェッペ、じつはあのミッケラー創始者であるミッケル・ボルグと双子の兄弟なんです。イーブルツインは本当に悪魔の双子だった!

 

天才の名を欲しいままにしているミッケルと、そんな彼を凌ぐほどの才能とも言われるイェッペ。言われてみれば、マニアをノックアウトする複雑ながらバランスのよい味わい、フルーツやハーブを自在に組み合わせビールが苦手な人さえも魅了してしまうレシピ、尽きないクリエイティビティ、男くさい世界観、意味深で親父ギャグ的でもあるネーミングセンス……と共通項がたくさん。ラベルデザインが最高におしゃれなのも同じですね。

 

さて、そのイーブルツインの試飲販売がクラフトビールの店、ピガールで開催される!と聞きつけ雨の三軒茶屋へ行ってきました。あいにくの天候にも関わらず店内は大賑わい。まずは普段なかなか飲めないイーブルツインの生をいただきます。そしてインポーターの方にブランドヒストリーや詳しい商品説明を聞きながら気になるボトルを試飲し、お買い上げしてきました。

右手に火炎瓶、左手にカウボーイ。クラフトビール界に悪魔の双子がやってきた
右手に火炎瓶、左手にカウボーイ。クラフトビール界に悪魔の双子がやってきた
右手に火炎瓶、左手にカウボーイ。クラフトビール界に悪魔の双子がやってきた

ピガールに入荷するたび即売り切れてしまうという『ルクサス ワン』。白ビールですが程よく酸味が効いて、いま北欧で人気のサワーエールを思わせる味です。『Luksus』とはブルックリンでオープン間もなくミシュラン星を獲得した話題の店。世界一のレストラン『NOMA』でのシェフ経験もあるダニエル・バーンズがオーナーシェフを務め、イェッペがビールをカップリングする北欧料理のレストランで、普段はそこでしか飲めない一本なのです。ワインのような、フルーティだけど甘すぎない上品な味。原材料を見るとビーツ、そしてリコリス!それ、北欧人が大好きな味だ!!

 

カウボーイだったらこんなビールを好むはず……とボトルに記された『ザ・カウボーイ』は、スモーキーなピルスナー。伝統的に保存食の多い北欧では燻製料理が盛ん。北欧の市場に並ぶニシンの燻製なんかと合わせて飲んだらまたおいしそうです。

右手に火炎瓶、左手にカウボーイ。クラフトビール界に悪魔の双子がやってきた
右手に火炎瓶、左手にカウボーイ。クラフトビール界に悪魔の双子がやってきた

昨年のバレンタイン時、ピガールで「チョコレートにもあうビール」と紹介していた「モロトフカクテル」もおすすめの一本。オレンジやマンゴーの果汁を使った甘みと苦味がガツンと効いたコクのある味で、たぶんこれはリコリスにも合うと思います。日本にリコリス好きがどれだけいるかは謎ですが。

 

ちなみにモロトフカクテルとは火炎瓶の通称。フィンランドとソ連の間で起きた冬戦争中に、ソ連のモロトフ外相が「フィンランドの労働者を資本主義から解放しよう」と空爆したのを発端に、フィンランド軍では火炎瓶を「モロトフに捧げるカクテル」と呼ぶようになったのが始まりだとか。美しい響きとは裏腹に物騒な裏話ですが、ここにも北欧ネタがひっそりと絡んでいるのでした。

 

ピガールではイーブルツインを基本的に扱っているので北欧的ビール体験がしたい方はぜひ一度お試しを(時期によって入荷銘柄は変わります)。ミッケラーとの飲み比べも面白いかもしれませんね!

 

Pigalle Tokyo

住所:〒154-0004 東京都世田谷区太子堂2-15-8

Tel:03-6805-2455

web: http://www016.upp.so-net.ne.jp/pigalle/

※掲載情報は 2015/11/29 時点のものとなります。

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キュレーター情報

森百合子

コピーライター・北欧BOOK代表

森百合子

コピーライター。北欧BOOK代表。著書に『北欧のおいしい話』『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』『3日でまわる北欧』シリーズ(スペースシャワーネットワーク)、『北欧レトロをめぐる21のストーリー』(主婦の友社)など。フィンランドやスウェーデン大使館との仕事を通じて北欧の暮らしや文化への知識を広げ、執筆の他、監修、トークショーなど幅広く活動。定期的に北欧諸国を訪れて取材を重ね、食やコーヒー文化、ビンテージの生活道具などユニークな切り口で北欧の魅力を紹介している。東京・田園調布で北欧ビンテージ雑貨の店『Sticka スティッカ』も運営。http://hokuobook.com

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