『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール

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フィンランド人に自慢したくなる日本生まれの北欧シナモンロー

映画『かもめ食堂』で一気に知名度を上げた北欧シナモンロール、みなさんは味わったことがありますか?北欧でシナモンロールといえばカフェやベーカリーの定番メニューであり、家庭で作る人も多い身近なパンです。北欧各国で親しまれていて、国によって成型が違うのも面白いところ。

『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール

『かもめ食堂』に登場するフィンランドのシナモンロールは、ぐるぐる巻いた生地を指でつぶすユニークな成型で耳のような形に見えることから、コルヴァプースティ(直訳すると耳ビンタ)というニックネームでも親しまれています。スウェーデンでは結び目のようなノット型、ノルウェーやデンマークではぐるぐる巻いただけのシンプルなスネイル(かたつむり)型をよく見かけます。

『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール
『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール

最近ではトップパティシエが作るちょっと上品なタイプや、オーガニックタイプ、サワードウを使ったものなど進化型シナモンロールも登場しています。でもやっぱり旅の途中で食べたくなるのは伝統的なシナモンロール。

 

北欧4ヶ国でシナモンロールを食べ歩いてきて、これは外せないと思うおいしさのポイントは「カルダモンが効いていること」そして「北欧菓子パンならではの食感」。日本の菓子パンのようなふんわりしっとり系ではなく、小麦の味が凝縮した、どっしりとした食感こそが北欧シナモンロールの魅力なのです。

『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール

横浜市泉区にあるベーカリー、薫々堂のフィンランド風シナモンロールを初めて食べた時、本場顔負けのどっしり感に驚きました。私も自分でよくシナモンロールを作るのですが、日本とフィンランドでは小麦粉の精製が異なるせいか、あの食感を日本で再現するのは難しいのではないか?と思っていたからです。しかもどっしりとしているのに口溶けがよく、きめ細やかな生地。「あなたの故郷の味を、日本の技術で丁寧に再現したらこんなにおいしいパンになったよ」とフィンランドの友人にも食べさせたくなる味でした。

 

北欧シナモンロールのレシピは、材料を混ぜるのにホイッパーを使ったり、バターを溶かして最後に混ぜあわせるなど、家庭で気軽に作りやすいやり方で、どこか素人っぽさもあります。実際、薫々堂の亀山シェフに伺うと「通常の製パンではありえない」ことばかりだそう。生地の固さを調整する際も通常は水分で調整するところを、粉で調整してしまいます。「家庭で作る場合は本場のレシピそのままでも良いと思いますが、やはりプロとして譲れない部分もあります。かといって安易に日本風にアレンジはしたくない。日本人に受け入れられる味、プロとして出したい味を守りながら、どこまで本場のやり方に忠実でいるか、それは異文化のパンを作る時の醍醐味でもあります」と亀山シェフ。

『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール

生地を伸ばすのも機械を使わずにあえて手で薄く伸ばして巻きのボリュームを調整。「巻きが薄すぎるとお菓子のような食感になってしまうので、手で伸ばせるぎりぎりの薄さにしました。フィンランドの人も美味しいと言ってくれるような味になったと思います」。

 

北欧の菓子パンにもともと興味があったという亀山シェフ。北欧に何度も足を運んでいるお客様からのリクエストもあり、フィンランド風シナモンロールに取り組みはじめました。そのお客様が持ち帰った現地のシナモンロールを試食しながら、同じくパン職人でありプロデューサーでもある夫人とともにあの絶妙な食感のシナモンロールに辿り着くまで数年かかったそうです。

 

食感だけでなく、北欧菓子パンにかかせないスパイス、カルダモンが思い切りよく入っているのも本場の味を知る人にはたまりません。「じつは本場よりも入れすぎていたかな?という時期もあったんですよ」と笑いながらご夫妻で試行錯誤の日々についてお話してくださいました。

『かもめ食堂』ファン必食。フィンランドにトリップできる北欧シナモンロール

ちなみに薫々堂さんのシナモンロールを最初に北欧イベントで紹介したのは私、というのは密かな自慢。『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』出版イベントのために、本場の味に近いシナモンロールを探していたところ、紹介されたのが薫々堂さんでした。いまや北欧イベントでひっぱりだこの人気ぶりですから、私としても嬉しい限り。

 

先日の『世田谷パン祭り』でもお目当てのお客さまが多く、かなりの数を用意したにも関わらず売り切れてしまったそうです。丸山珈琲で開催している『北欧式コーヒーパーティのすすめ』ではシナモンロールに加えてスウェーデン名物サンドイッチケーキを作っていただいたこともあり、今後も北欧イベントでコラボしていくのが楽しみです。

 

今回改めて北欧シナモンロール誕生の秘密についてお話を伺い、自分で作る際にも参考にしようと思いましたが……やはりあのおいしさは自分では無理!本場の味が恋しくなったら薫々堂さんに駆け込もうと改めて思ったのでした。

 

北欧シナモンロールを試したいけれどフィンランドはちょっと遠いなあ、という方。コーヒーを片手に薫々堂さんのシナモンロールを食べれば、ひとときフィンランドへトリップできますよ。

※掲載情報は 2015/10/21 時点のものとなります。

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キュレーター情報

森百合子

コピーライター・北欧BOOK代表

森百合子

コピーライター。北欧BOOK代表。著書に『北欧のおいしい話』『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』『3日でまわる北欧』シリーズ(スペースシャワーネットワーク)、『北欧レトロをめぐる21のストーリー』(主婦の友社)など。フィンランドやスウェーデン大使館との仕事を通じて北欧の暮らしや文化への知識を広げ、執筆の他、監修、トークショーなど幅広く活動。定期的に北欧諸国を訪れて取材を重ね、食やコーヒー文化、ビンテージの生活道具などユニークな切り口で北欧の魅力を紹介している。東京・田園調布で北欧ビンテージ雑貨の店『Sticka スティッカ』も運営。http://hokuobook.com

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