途絶えていた家業の醤油作りを再興した男の物語

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醤油の本来の味と香りはこのミツル醤油の「気成り」だ!

途絶えていた家業の醤油作りを再興した男の物語

ぐるなびの「ippin」で商品を選ぶ時は、当然、みなさんに是非味わっていただきたい商品になりますが、個人的な想いで紹介したい商品もあるのです。今回は九州糸島市にある小さな醤油醸造元の「生成り濃口」です。日本の家庭で一番使われている調味料と言ったら塩の次に醤油ではないかと思います。醤油は大手5社のナショナルブランドで市場全体の50%、中堅9社で約16%を占めているのです。その他の30%強は約1600社の小さな醤油屋さんで占めています。実はその約1600社がそれぞれ独自の醤油を製造しているのをご存知でしたか。醤油の消費量が減り、地方の醤油メーカーはそれまで自分の醸造元で作っていた醤油を協同工場で作り、それぞれの醤油屋さんが生醤油を買取り最後の火入れをして、自社ブランドで販売する形態が多いのだそうです。

糸島市にあるミツル醤油もそんな1社でした。現在のミツル醤油の当代、城慶典さんは高校生の時にその事実を知り、東京農大醸造科学科に入学し在学中に昔ながらの醤油醸造元(7軒)に住み込みで修行して、家業の再興を考えていたのでした。その過程で、販売や食について学ぼうと、フードコーディネーターを養成する学校に通っていたのですが、その時、私はその学校の講師をしており、城さんは教え子の一人だったのです。2009年に市島の実家に戻り40年絶えていた醤油作りを開始したのですが、それは大変厳しい道のりだったそうです。そして、2013年に2010年に仕込んだ「生成り濃口 2010 が完成したのです。この時はじめて城さんの作った醤油を味わいましたが、醤油の命の香り高く、それでいて、料理の邪魔にならない、控え目だが、優しい味に出会ったのでした。

「生成り濃口」には製造した年がナンバリングされており、2010年、2011年を試しましたが、それぞれ、ワインと同じように微妙に違う香りと味が楽しめ、年度の違う醤油を味わうことの出来る時代になったんだと実感しました。本当に小さな、小さな醤油屋さんですが、料理人にもファンは多く、これからも応援したい醤油屋さんです。

※掲載情報は 2015/02/17 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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