創業140年、六本木の老舗寿司屋の「いなり寿司」

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柚子の香りを加えた「裏返しのいなり寿司」の元祖

創業140年、六本木の老舗寿司屋の「いなり寿司」

東京・六本木にある「おつな寿司」は、創業1875年(明治8年)。飲食店の入れ替わりが激しい大都会の中で、140年もの歴史を誇る老舗の寿司屋です。にぎり寿司やちらし寿司などもさることながら、この店の名を全国に知らしめたのは、「いなり寿司」の存在です。もとは、初代の近藤つなが六本木で茶店を開業したのが始まりで、油揚げを裏返しにして、柚子の皮を加えた酢飯を包んだ「いなり寿司」が評判になり、いつしか「おつなさん」といえばいなり寿司の代名詞になりました。現在は、5代目当主の近藤功夫さんがのれんを守っていますが、油揚げを炊く煮汁は、創業以来、継ぎ足し継ぎ足し使い続けている秘伝の味だといいます。甘辛く炊き上げた油揚げは、1枚1枚ていねいに裏返し、一晩置いてじっくりと味をなじませます。酢飯に混ぜ込む柚子は、四国産。11~12月、旬真っ盛りの時期に大量の柚子を取り寄せ、皮と身を分けて傷を取り除き、冷凍保存して、翌年まで1年間大切に使うのだそうです。

 

こうして作られる「いなり寿司」は、食べやすい一口サイズで、甘すぎずさっぱりとした味わい。六本木界隈は、テレビ朝日、TBSなどが近くにあるため、裏返しのいなり寿司は「裏(番組)を食う」という縁起物の差し入れとして、テレビ業界の関係者にも人気があります。4個入りから100個入りまで、希望の数で持ち帰り可能ですが、大量に購入したいという場合は事前に予約をしておくとよいでしょう。なお、以前は外苑東通り沿いにあった「ホテルアイビス六本木」の1階で営業していましたが、2013年末にホテルが閉館、ビルの建て替えのため、現在は仮店舗で営業中です。仮店舗は、六本木通り沿いにあるみずほ銀行脇の路地を奥に入った右手。2017年には元の場所に戻る予定です。

※掲載情報は 2015/05/23 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岸朝子

食生活ジャーナリスト

岸朝子

大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。

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